3月の国際Aマッチは難しい。ほぼ例外なく数カ月ぶりの招集になるからで、3月5日のニュージーランド戦も昨年11月19日のベルギー戦以来である。

 対戦相手の実力を考えれば、4ゴールより2失点が重い。後半はほとんどの時間帯で、主導権を握られた。守備のリスタートには、相変わらずひやりとさせられる。

 だが、4か月ぶりのゲームである。3対2で勝利したベルギー戦の延長線上で語れないのは、最初から分かっている。所属クラブから代表へ頭を切り替え、ピッチ上で代表のプレーを確認することが、この試合の第一義的テーマだった。

 今野、内田、長谷部、柿谷が欠場したことで、いつになく新鮮な顔ぶれとなった。ザックも(珍しく)交代枠をすべて使った。バックアッパーのアピールが注目された一戦だが、目についたのは遠藤なのである。

 後半開始直後の50分のプレーは、いかにも彼らしい。本田、吉田らとパス交換をしてリズムを作り、大迫がポストプレーから落としたボールをワンタッチで左サイドへ送った。浮き球のパスは、長友にわたる。走り込むスピードを落とさず、プレスバックしたサイドハーフが飛び込めないところへ。「ピタリ」という表現は、こういうパスのために使われる。
 
 国立の観衆も、テレビの中継も、カットインからシュートへ持ち込んだ長友のプレーに視線を奪われた場面である。それにしても、遠藤のパスがイメージを生み出したからか、イメージどおりだったからである。
 
 ベルギー戦に続いて後半途中から出場した遠藤には、スーパーサブ的な起用を望む声もある。1月で34歳になった年齢も、彼への評価を厳しくしているようだ。背番号7を見つめる周囲は、確かに変わってきている。
 
 遠藤自身はさらりとしたものだ。「自分ができることをピッチで見せればいい」と話す。
 
 長友を走らせたワンタッチパスは、まさに彼の「できること」だろう。そして、最終的に監督が頼りにするのは、自分ができること=いつもの自分を表現できる選手である。