「映画祭を創る、女性たち。」vol.1 会場運用・調整 山下奈保子さん

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 日本で唯一の国際映画製作者連盟公認の国際映画祭であり、今回で第23回目を迎える「東京国際映画祭」(以下、TIFF)。毎年、世界各国から様々なジャンルの作品が集結し、豪華なゲストがレッドカーペットならぬ、“グリーンカーペット”を彩る事も話題を呼んでいます。でも、実際に映画祭がどうやって作られているのか、どんな方々が働いているのかは知られていないのが事実です。今回、才職兼美では、TIFFを作り、盛り上げる女性スタッフにインタビューを敢行。「映画祭を創る、女性たち。」の仕事ぶりに迫ります!

 第1回は、TIFFのメイン会場である、六本木ヒルズとの調整や、企画運営全般を担当している山下さんの登場です。

――まず、TIFFにおける山下さんのお仕事の内容を教えていただけますか?

山下:主に、会場の調整や運営まわり全般を管理しています。今年は会場が、六本木ヒルズを中心としていますので、森ビルさんと色々なキャンペーンをしていこうと企画したりしています。六本木ヒルズは、大きなスクリーンから小さなモニターまで映像を見せる装置がたくさんあるので、「ここに映像を流させてください」とお願いしたり。

――映画があれば、映画を上映する場所が必要。山下さんのお仕事は、映画祭を運営する上の“基礎”という感じですね。

山下:後は、六本木ヒルズがある港区全体を巻き込む施策も考えていて、区民や、訪れた方にTIFFをお祭りとして楽しんでいただきたいと思っています。

――日本には街全体を巻き込んだ文化的なイベントというのが、あまり無い様に感じます。なので、街全体を盛り上げるのは楽しい試みですね。

山下:港区って、大使館が80以上あって、国際的な交流に理解があるんですね。国際的な交流を通して、区民に文化を提供しようという働きが活発なので。また、東京国際映画祭も六本木に移ってきてから、「プレイベント上映会」という上映会も行っています。昨年の映画祭で観客賞を獲ったものなど4作品を港区の方向けに上映するイベントですね。

――港区という地域全体が、様々な国の映画を発信していくなんて素晴しいと思います。山下さんが、映画祭の仕事をするきっかけというのは、どんな事だったのでしょうか>

山下:もともとは全く違う仕事をしていまして、知り合いの方のご紹介で携わる事になりました。前の職場は、レコード会社だったので、元々エンタティメントの世界が好きというのもありますね(笑)。こうして、映画祭の仕事に関わる様になって思ったのは「映画業界」と「映画祭業界」って、結構違うんです。私はどこかの配給会社にいたわけでは無いので、正確では無いかもしれませんが、仕事の種類が違うと感じます。

――「映画祭」に携わっている方々は、映画の仕事が長いのかと思いきや、そういうわけでは無いのですね。

山下:みんなバラバラですよね(笑)。でもだからこそ、この仕事をしてないと出来ない出会いがあって、とても面白いです。

――特に、やりがいを感じる瞬間というのはどんな時ですか?

山下:イベントが1つ1つ終えていくごとに、大きな達成感がありますね。良い意味でメリハリがあるので、決まっている日にむかって、お祭りを創り上げていく楽しさは、他の仕事ではなかなか味わえないと思います。

――「映画の仕事がしたい」「映画祭に関わりたい」と思っている女性達に向けて、アドバイスを頂けますか?

山下:「仕事は選ばずに何でもやる!」という事でしょうか。どの仕事、業種でもそうだと思うんですが、特に高いコミュニケーション能力が求められると思いますね。クリエイターの方に向けた話し方と、森ビルさんのスタッフに向けた話し方は全然異なるものですし、港区や行政の方々との調整も必要となるので、臨機応変な対応が求められます。

――なるほど、映画祭という華やかなイベントは、多くの人々の交渉、調整に支えられているのですね。10月23日よりTIFFがいよいよ開催されますが、これから訪れる方、このインタビューでTIFFを知った方にメッセージをお願いします。

山下:「映画が嫌い」なんて人はいないと思うのですが、普段映画館で観る映画とは違う「映画祭で観る映画」の楽しさを知って欲しいですね。映画祭期間中は、映画を作っている監督、俳優さんなど普通に会場を歩いている事が多いですから、「あ、さっき観た映画の監督さんがコーヒー飲んでる!」なんて驚きもあります。上映の後に監督やキャストが出てきて、Q&Aを行う回もありますから、フルに映画を味わって欲しいですね。

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浅野忠信と永作博美を主演に迎え、傷つきながらも離れることなく、一緒に生きてゆく家族の絆を描いた愛の物語。別れた妻・西原理恵子に支えられ、アルコール依存症をのり越えた鴨志田穣の自伝的小説の映画化。

山下さんのおすすめコメント:人気漫画家、西原理恵子さんの叙情的作品と通じる部分がある、とても涙腺を刺激する作品です。西原さんの作品や、人物を知らない方でも「夫婦であり、同志である」2人の姿に、色々な事を考えてしまうはず。忌野清志郎さんの主題歌にもぜひ注目してください。