北中米W杯の日本代表は2試合を終え、本職センターバックの選手を合計7人起用--。まさに“七変化”の守備陣でグループリーグ突破に大きく前進した。初戦オランダ戦(△2-2)にフル出場したDF谷口彰悟(シントトロイデン)は、ベンチに控えた第2戦チュニジア戦(◯4-0)の戦いぶりに「すごく良い刺激をもらった」と振り返りながら、第3戦スウェーデン戦に闘志を燃やした。

 今大会の日本代表は初戦で谷口、DF渡辺剛、DF伊藤洋輝を3バックで先発起用。左から伊藤、谷口、渡辺の並びで試合に入り、後半途中から渡辺に代わってDF冨安健洋を右CBで起用し、攻撃の迫力を高めた。続く第2戦では2人を入れ替え、左から伊藤、DF板倉滉、冨安が先発。後半途中から冨安に代わってDF瀬古歩夢を右CBで起用した他、本職CBの鈴木淳之介を左ウイングバックで投入し、W杯メンバーに選出されたCB7人全員が早くもピッチに立つこととなった

 このような起用法は世界的にも異例。その背景にはW杯アジア予選で負傷者が続出し、数多くの組み合わせを強いられたという特殊な事情もあったが、その期間に数多くの選手たちが台頭してきた“ケガの功名”がW杯期間中にも進化を続け、いまや攻守のオプションを大きく広げる日本の武器となっている。

 谷口はオランダ戦でハイパフォーマンスを発揮しながらも、続くチュニジア戦はベンチで見つめる形となった。この起用もおそらく、対戦国からするとサプライズとして受け取られるものだったはずだが、その谷口も手放しでチュニジア戦のCB陣のパフォーマンスを称え、大きなインスピレーションを得た様子だった。

「第1戦の反省点とか修正点を第2戦で活かせていたし、個人個人のパフォーマンスがすごく高かったので、すごく頼もしかったし、僕自身もすごく良い刺激をもらった。チーム内でもしっかり競争しながら、お互いが高め合いながら、自分の色を出していくという良い流れにあると思う。そこは次の試合も継続して、まだ誰が出るかは分からないけど、常に自分は良い準備をするというところを変わらずにやっていきたい」

「誰が出ても、どの組み合わせでも機能するというところはこれまで森保さんもかなり言っていたし、誰が出ても、誰と組んでも機能するというところはこれまでの活動を通してかなり積み上げてきている。こういうW杯の舞台でも変な戸惑いはなく、すんなりゲームができるところは日本代表のレベルが上がってきているのは間違いない。誰が出ても、誰と組んでもやっぱり機能しないといけないし、自分の色を出していかないといけない。それは良い流れだと思います」

チュニジア戦勝利の瞬間、ベンチでガッツポーズを見せたDF谷口彰悟

 果たして日本代表ではなぜこのような起用が成り立つのか。谷口自身も最終予選後、アキレス腱断裂の長期離脱から復帰し、親善試合を通して主力に定着したが、その立場から次のように語った。

「役割はある程度みんな理解をしているし、3枚で守るとか、5枚が並ぶ時とか、縦スライド、横スライドを含めた守備の構築はかなり積み上がってきているので、メンバーが変わってもベースの部分は変わらない。その辺はみんなが理解しているし、それにプラスして個人個人の色を出していくというのが日本の強みになってきていると思う。みんなの戦術理解度とか、それを表現する力が上がってきているからこそこういうことができるんだろうなというのは感じています」

 その基準の高さとバリエーションの多彩さを実現させているキーマンがオランダ戦に途中出場し、チュニジア戦に先発出場した冨安だ。絶対的な安定感の対人守備だけでなく、攻撃でも明らかな違いを生み出す後輩の存在には谷口も「相変わらず一つ一つのプレーのレベルが高いし、安定感もかなりあって、トミっぽいなというプレーが随所に見られた。そういうプレーを見せられるとこっちも良い刺激になりますね」と目を細めていた。

 もちろん谷口もこのままポジションを譲るつもりはない。グループリーグ第3戦で戦うスウェーデンはFWアレクサンデル・イサク(リバプール)とFWビクトル・ギェケレシュ(アーセナル)というプレミアリーグ屈指の強力2トップを擁する難敵。最大限の警戒を向けながら迎え撃つつもりだ。

「間違いなくこの大会の中でも強烈なアタッカーの2人で、彼らを自由にプレーさせない、気持ちよくプレーさせないのは間違いなく必要になる。そのためには距離感。間延びすると、スペースを与えると彼らの良さが活きてくるし、攻めている時のリスク管理も含め、距離感は一つポイントになると、第1戦と第2戦のスウェーデンを見ているとすごく感じる」

「逆に言うと彼らを孤立させてしまえば、チームとして押し込むことができる。出所を潰すとか、出てきたところで1対1で負けない、1対2で挟み込むとか今まで自分たちがやってきたことを徹底してやれれば彼らのような世界的アタッカーに対しても問題なく守れるかなというイメージはできているし、その自信もあるので、そこは後ろの大きな仕事かなと思います」

 谷口自身にとっても前回カタールW杯後、海外で積み重ねてきた個の力を試すことのできる「すごくやりがいを感じられる相手」。グループリーグ突破を自力で決めてラウンド32以降の戦いに弾みをつけるべく、「相手は世界を代表するストライカーだけど、そこで自分が存在感を示していきたい。日本代表としてもこの第3戦を勝って1位突破をしていきたい気持ちがある。自分自身こだわってバトルしていきたい」と意気込んだ。

(取材・文 竹内達也)