【新刊】林家三平師匠、北野武氏、テリー伊藤氏などとの交流を語る、林家ペーさん『ヨレヨレ人生漫談』など4冊
夏本番も、もう目の前。暑さに頭がクラクラとしてしまう季節だからこそ、読書をして頭の中をリフレッシュしましょう! おすすめの新刊4冊を紹介します。
『性別違和に生まれて 父と子で綴った23年』松永正訓/中央公論新社/2200円
目が離せなくなる家族サスペンス。と書くとエンタメじゃないとお叱りを受けるだろうか。性別違和とはかつて「性同一性障害」とされたもの。性別違和に苦しむ娘の光さんに伴走した親の記録で、当事者である光さんの手記と交互に出てくる構成が読む者を両方の立場に導く。光さんが教師を諦めた経緯に自分も鈍感族の一人だと猛反省。感動を超え、物凄く深いものに触れた感じ。
『湾』宮本輝/新潮社/2420円
冒頭、昭和24年生まれで74歳の「わたし」(光太)の追憶の口調が物語の優美なアーチを予感させる。5粒の種を異父姉の皐月とともに棚田に植えた光太少年は、舞鶴で両親、親戚の爺ちゃんやばあちゃん達もまじる8人で暮らし始める。漁村の営み(かまぼこの美味しさ)、高度成長、京の老舗の確執、巨額の遺産など、一族の家族史は日本の戦後史でも。舞鶴湾の景色が圧倒的。
『ヨレヨレ人生漫談』林家ペー/小学館新書/1012円
昨年、漏電火災で事件ネタになってしまったペーさん。大阪での生い立ちや妻パー子さんとの出会い、林家三平師匠や海老名香葉子夫人との知られざるやりとり、北野武氏やピンクの衣装のきっかけを作ったテリー伊藤氏などとの交流を語り下ろす。我が人生を語って、日本の芸能史&テレビ史になるというこの希有さ、面白さ。まとめた「オバ記者」こと野原広子氏にも感謝です。
『リカバリー・カバヒコ』青山美智子/光文社文庫/880円
カバヒコとは公園にいる遊具のカバのこと。自分の体の不調部分と同じ箇所を触ると回復するというご近所信仰がある(リカバリーの中には確かにカバがいる!)。口は災いのもとでママ友達にハブかれる紗羽、恋していた男子同僚を有能な女子後輩にとられて難聴になるちはるなどの5話。最終話ではこの信仰の発案者とおぼしき張本人も登場。姑と嫁の関係がとても素敵だ。
文/温水ゆかり
※女性セブン2026年7月2日号
