地域医療めぐる動き 進む“集中”と“選択”
スタジオには、高岡医療圏を取材している梅本記者です。
梅本さん、今回、厚生連高岡病院が地域包括ケア病棟を廃止した背景には何があるのでしょうか。
人口減少や少子化が加速する中で、患者の減少や看護師などスタッフの確保の難しさにより病院経営への影響が懸念されること、そして国や県などが各医療圏の公的病院に対し役割を明確にするよう求めていることがあります。
今回、厚生連高岡病院は急性期医療の拠点としての役割に集中するとしていますが、どういうことなのでしょうか。
病院での医療は
・病気のなり始めや救命救急で速やかな手術や治療が必要な急性期
・日常生活への復帰に向けてリハビリなどを行う回復期
そして
・再発を防ぐ慢性期
に分けられます。
もともと厚生連高岡病院は、高岡医療圏の中で救急医療やがん診療の拠点となっています。それをさらに高度化しようという狙いです。また国は今年、診療報酬を改定し、急性期医療をより大規模に行う病院への診療報酬を加算するなど、地域医療での役割を明確にしようとしています。厚生連高岡病院は、2024年度の決算が5億円の赤字で、赤字の幅は前の年度より拡大しました。病院は、役割の明確化が経営改善にもつながると、期待しています。
高岡医療圏の公的病院の役割分担に向けては、高岡市も動き始めていますね。
高岡市内には「厚生連高岡」「高岡市民」「済生会高岡」「JCHO高岡ふしき」と4つの公的病院があります。出町市長は今年4月、この4つの病院長との
会合をスタートさせ、機能の分担や連携の必要性について議論を始めました。
高岡市 出町市長
「高岡市という自治体の首長としてですね、高岡市全体の医療をやはり守っていかなきゃいけない」
「役割分担、機能分担、どんなことできるんだろうということをですね、やはり話し合ってですね、一歩踏み出さなきゃいけない段階にきてるんじゃないか」
がんや感染症の治療、災害拠点としての対応など、それぞれの病院が持つ強みを踏まえて、役割を固めていく見通しです。
こうした公的病院の役割分担への動きは、高岡医療圏だけではありませんね。
県は、県内の医療のあるべき姿を2040年ごろを目標として定める地域医療構想の議論を今年度から始めています。
議論のポイントは何でしょうか。
スタッフの確保が難しいなど、限られた医療資源の中でも医療の質を維持するため「病院の役割分担」が大きなテーマです。県内の公的病院は今年10月から、厚生連高岡病院がきょう発表したような病院ごとに目指す機能や役割を知事に報告することが義務付けられるということです。県は3年間かけて「地域医療構想」を完成させる方針です。
ただこうした役割分担への議論は、病院ごとの利害や地域の事情が影響する面もありますよね。
例えば南砺市には「南砺市民病院」と「南砺中央病院」の2つの公的病院があります。市は、2つの病院ともに現状を維持するのは財政面などで困難だとして、救急や手術などの急性期医療を南砺市民病院に集約する方針を示しています。しかし南砺中央病院がある福光地域の住民などから懸念や不満が相次ぎ、合意形成をはかることの難しさがあらわになっています。
公的病院のあり方は地域の医療に直結するだけに十分な議論が必要ですね。
高岡市医師会の白崎文朗会長は「公的病院を持続可能なものにするためには、地域の開業医の役割と患者側の理解も欠かせない」と話します。
高岡市医師会 白崎文朗会長
「いつもどんな状態でもこの病院(同じ公的病院)に行かなきゃいけないということではなくて、役割をある程度理解していただいて、そこの病院あるいは診療所、軽い病気であれば診療所のほうを使っていただく、というふうにしていただければ思っています」
県によりますと、新しい地域医療構想が目標とする2040年頃にかけては85歳以上の人口が増えていき、介護と連動した医療体制もさらに考える必要があるということで、先を見越した議論が欠かせません。
