ホルムズ海峡経由しない原油の代替調達拡大…来月は米から前年比8倍、アフリカからもめど
中東情勢の悪化が続く中、政府や石油元売り各社はホルムズ海峡を経由しない原油の代替調達を拡大している。
政府は備蓄分と合わせて来春まで十分な量が確保できるとの見通しを示し、経済の減速につながりかねない供給不安の払拭(ふっしょく)に注力する。(長沼美帆)
■2週間弱で1割上積み
「6月の代替調達は『8割程度』まで引き上がる。これまでの備蓄放出決定分も活用すると、6月に必要となる原油量を上回る供給が可能となる」
高市首相は25日の記者会見で、官民一体で進める代替調達の進展に自信をのぞかせた。政府は5月中旬には、6月の代替調達が「7割以上」と説明していたが、2週間弱で1割分を上積みした。
2025年の原油調達量は日量236万バレルで、中東産は222万バレルと約94%を占めた。このうち大半がホルムズ海峡を通って日本に運ばれた。ホルムズ海峡の事実上の封鎖後、政府や元売り各社は海峡を通らない中東産の調達ルートのほか、米国、中南米、中央アジアなど中東以外の地域からの調達を拡大した。
経済産業省によると、代替調達は4月時点で日量59万バレルと前年の調達実績の25%にとどまったが、5月には60%に相当する約140万バレルと2倍超まで拡大した。さらに、6月は米国から前年比約8倍の原油を調達できる見込みで、新たにアフリカからの調達にもめどがついたという。
■備蓄放出抑制
国内の石油備蓄量は、今月23日時点で203日分ある。4月24日時点では212日分で、1か月経過したが消費したのは9日分にとどまる。代替調達が備蓄の放出を抑えている状況だ。赤沢経産相は26日、参院の経済産業委員会で「(新たな)国家備蓄の放出はなしとした」と述べ、現状では追加の国家備蓄の放出を行わない方針を強調した。
代替調達に加え、中東情勢悪化後にホルムズ海峡を通過した原油タンカーが日本に到着するケースが出始めたことも、備蓄原油の温存につながる。
25日には、出光興産子会社の原油タンカー「出光丸」が、1日の国内消費量の約8割にあたる200万バレルを愛知県の製油所に届けた。同様にホルムズ海峡を通過したENEOSグループのタンカーも日本に向けて航行中だ。
もっとも、ホルムズ海峡を安定的に通れるようになるのがいつになるかは依然見通せない。エネルギー事情に詳しい和光大の岩間剛一教授は「石油のほぼ全てを海外に依存する日本は、長期化に備えなければならない。今回の危機を教訓に、節約や省エネの意識も高めていくべきだ」と指摘する。
