優勝決定戦で敗れた大関・霧島が「来場所は綱取り」のなぜ 同じ一門の親方には豊昇龍の前例から「当然だ」の声があるも過去には「優勝→優勝同点」で横綱昇進が見送られたケースも
12勝3敗で並んだ大関・霧島との優勝決定戦を制し、小結・若隆景が25場所ぶり(4年2か月)ぶり2度目の優勝を果たした。復活Vに大きな声援が送られた一方、決定戦に敗れた霧島の今後についても、関係者の注目が集まっている。
若隆景は大関候補だった2023年春場所で右膝前十字靭帯を断裂して途中休場。その後、3場所連続全場で幕下まで転落するも、幕下、十両での優勝を経て、三役まで這い上がってきた。幕内優勝経験者が幕下以下に落ち、再び賜杯を抱いたのは照ノ富士(現・伊勢ヶ濱親方)以来となる。再大関に昇進した照ノ富士は横綱まで上り詰めている。
大関昇進の目安は「三役で直近3場所合計33勝」とされる。先場所、東前頭筆頭で8勝6敗1休だった若隆景は、小結で12勝をあげた今場所が大関への起点となる。千秋楽後、番付編成の責任者でもある浅香山審判部長(元大関・魁皇)は「今場所が大関への起点となるでしょう。こういう相撲を取って結果を出していけば上も見えてくる」と明言している。
そして、浅香山審判部長が触れたもうひとりが、優勝決定戦で若隆景に敗れた大関・霧島だった。「優勝に準ずる成績であり、来場所は綱取りとなる。(昇進には)レベルの高い優勝が求められる」とした。相撲ジャーナリストが言う。
「2横綱2大関1小結が休場し、三役以上で対戦したのが関脇・琴勝峰と小結・若隆景だけ。千秋楽に対戦すると見られていた関脇・熱海富士とも割りが組まれなかった。横綱・大関と対戦することなく平幕に3敗し、優勝決定戦でもいいところなく敗れたにもかかわらず、条件付きとはいえ審判部長が来場所の綱取りを明言したことに驚きの声が上がった」
その一方で、同じ時津風一門の若手親方は「当然だ」という声が聞こえてきた。
「昨年の初場所で横綱に昇進した豊昇龍のパターンでしょう。その前の九州場所では千秋楽に琴櫻と豊昇龍の両大関による相星決戦となり、琴櫻が14勝1敗で優勝。豊昇龍は13勝2敗で準優勝となり、協会は初場所がダブル綱取りになると明言した。結果、琴櫻は5勝10敗という成績に終わったが、豊昇龍が12勝3敗で巴戦を制して優勝。場所後に横綱昇進した。横綱昇進の目安が"2場所連続優勝、あるいはそれに準ずる成績"である以上、霧島も次は綱取り場所でしょう。戦国場所時代で優勝力士の成績が4場所連続で12勝ということも追い風になる」
昇進させるかは状況次第なのか
豊昇龍の時は、横綱・照ノ富士が2場所連続全休中で横綱が空位となる可能性があった。実際、照ノ富士は昨年の初場所4日目に2勝2敗となったことで5日目から休場し、6日目に引退を発表。協会としても喉から手が出るぐらい横綱が欲しかった。ただ、その豊昇龍は横綱昇進からの7場所で一度も天皇賜杯を抱いていないこともたしかだ。相撲担当記者が言う。
「豊昇龍は直前3場所の成績が33勝(8勝、13勝、12勝)で、横綱昇進には物足りないとして審判部のなかにも見送りとする声が少なくなかった。実際、過去にはもっといい数字で横綱昇進が見送られたケースもある。1993年には5月場所を優勝した貴乃花が綱取りの7月場所で曙、若乃花との巴戦に敗れて準優勝(優勝同点)だったが見送られた。この時は3場所38勝(11勝、14勝、13勝)の成績だったにもかかわらずです。
また、2022年11月場所で巴戦に敗れて準優勝となった貴景勝は、翌場所に12勝3敗で優勝したが終盤に連敗した時点で昇進が見送られることになった。協会はご都合主義。状況によって見送ったり、無理矢理にでも昇進させたりしているのです」
来場所は大関・安青錦が関脇に降格するため、2横綱2大関の番付となる。しかも、琴櫻がカド番となるため、霧島が横綱に昇進すれば大関が空位になる可能性もある。なぜ横綱・大関不在場所に12勝3敗で優勝決定戦も敗れた霧島を"綱取り場所"としたのだろうか。前出の相撲ジャーナリストが言う。
「昇進してから優勝できない豊昇龍、少しでも体に異変があるとすぐに休場する大の里という両横綱の不甲斐ない状況に加え、大関陣も盤石ではない。そのため、チャンスがあれば横綱や大関に昇進させたいというのが協会の本音でしょう。大関に昇進できる力士の可能性を広げるために、来場所は陥落する安青錦も含め4関脇になる見通しです」
ガチンコ全盛の先の読めない時代ゆえのことなのか。
