客30人を出禁にして「年商2倍」に。飲食店が“迷惑客”を切り捨てたら優良客が戻ってきた納得の理由
◆7年で約20人を出禁に 「暴言を我慢して心を病むのなら、はっきり伝えたい」
東京都目黒区内でバー「CASUAL BAR Don’tCry」を経営する神田芳朗さんは’23年2月、店舗のGoogleレビューに書き込まれた口コミに対してこう書き込んだうえで、客側への「出禁」を通告した。
元のレビューは「帰り際にグラスを割ってしまったら、客の心配よりまず第一声に、あ、弁償になるんで、と言われました」と来店時に起こったトラブルを暴露、店側の対応を非難する内容だ。
それに対し、神田さんは「そのまま帰る可能性が高いので(そう伝えた)」「まずは『割ってしまってすみません』じゃないんですか?」と、事細かに反論。店側がここまで「本気の返信」をすることは珍しいが、なぜこうした対応を取ったのだろうか。
「元のレビュー内容を他の客に鵜呑みにされると、店にとってマイナスでしかなかったからです。とくに個人経営の飲食店は、客の暴言を我慢しすぎて体を壊したり、メンタルを病んで死に追い込まれることも多いと聞きます。それもあって、自分の精神を守るためにも日頃からはっきりとした伝え方をしています」
神田さんは’19年から店を経営しており、これまでに出禁を宣告したのは20人程度。バーという性質上、対象は酔っぱらい客が多い。「大半はナンパやウザ絡みが多いですが、相手が明らかに嫌がっているのに、注意してもやめない場合に、出禁や退店を促します」と語る。
直近で出禁にしたなかで、最もひどかったケースを聞いた。
「男性3人客のうち1人がトイレで嘔吐して吐瀉物まみれにしていました。清掃後、それを伝えたところ、『俺たちはやってない』としらばっくれる始末。次に同じことをやったら清掃料を支払うように伝えると、うち1人が僕の顔面を殴ってきたので警察に通報。警察官立会いのもと、迷惑料を支払わせたうえで出禁にしました」
◆HPに出禁の条件を告知する店も 「敬遠していた客が戻ってきてくれた」
「出禁」の通告は、店によって色々なやりかたがある。大阪・天王寺の会席料理「松宮」は、店のホームページ上で「ご予約時間の来店、並びに離席のタイミング等に配慮が感じられない行動を行われる場合」「当店の備品、装飾品の故意の破損が発生した場合」などと全6項目にわたって、出禁の条件を細かく掲載している。
来店経験のない客にとっては緊張感が走る内容だが、店主の松宮剛さんは「ホームページに書いているのは全部実際に被害があり、出禁にしたケースです。『この店面倒くさそうだな』と、来店を控える方がいても気にしません」と話す。
店をオープンしたのは、新型コロナ禍である’20年。カウンター8席、ワンオペで店を切り盛りしていることもあり、「少ない労力で店を守る」というねらいのもと、’22年から計30名以上に出禁通告を行ったという。
「出禁の理由は勝手に持ち込んで食べたお菓子の残骸を放置したり、店の備品や装飾を故意に破損したり、お食事の提供タイミングを合わせたいのに長時間タバコで離席したりとさまざま。再三の注意に応じていただけない場合、『次回のご来店はお断り』とお伝えしています」
個人経営の飲食店で出禁を通達するのは、なかなかの勇気が必要に思える。

