漫才賞レース「THE SECOND〜漫才トーナメント〜」が5月16日に生放送される

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 漫才賞レース「THE SECOND〜漫才トーナメント〜」(フジテレビ系)の第4回大会が5月16日に生放送される。結成16年以上のベテラン漫才師たちが鎬を削ってきた過去の大会は、お笑いファンから支持を集めてきた。一方、お笑いファン以外の反応はどうなのか。今年も決して「全国的に売れている」とは言い難い芸人たちが多く名を連ねる。しかも今大会は4時間40分という長尺の生放送(一部地域を除く)だ。今年から総合演出(過去3大会は演出担当)を務めるフジテレビの角山僚祐氏に、「熱い漫才を届ける」ことと「数字(視聴率)」を両立する工夫や思いを聞いた。

【インタビュー】総合演出を務めるフジテレビの角山僚祐氏、「熱い漫才を届ける」ことと「数字(視聴率)」を両立する工夫とは?

────THE SECONDは、第1回大会から演者や関係者からの評判はとてもよかったと思うんです。その一方で、一般視聴者への認知度という点では、まだ課題もあるかと思うのですが、どのような手応えを持っていますか?

角山 そこはすごく心配していたのですが、実は第1回大会から、同じ時間帯に放送されている番組の中では、コア視聴率(※)は毎年トップを取り続けています。昨年は認知度も上がってきて、コアは大差をつけてトップ、個人視聴率でも1位に0.2ポイント差まで詰め寄ることができました。もちろん、まだまだ満足はしていないんですけれども。(※フジテレビでは男女13〜49歳の個人視聴率のこと)

────この渋過ぎる出場者の顔ぶれを見ると、大健闘といえるんでしょうね。

角山 周りの人から言われるのは、漫才自体はものすごくおもしろいから、と。ネタのクオリティーはTHE SECONDの最大の武器だと思うんです。お笑いに興味がない人にも刺さるものって何かといったら、結局、それしかないと思っていて。だから、方向性は、そんなに大きく間違っていないと思っています。本当に芸人さんたちには感謝しかありませんね。

────大会が始まって以来、今回、初めて総合演出が日置祐貴さんから角山さんにバトンタッチされました。ただ、ここまでは、大きく何かが変わるという感じではない気がしています。

角山 僕も立ち上げから日置(祐貴)さんとずっと一緒にやってきたので、そう大きくは変わりません。ただ、総合演出が変わったことで「大会がつまらなくなった」「盛り下がった」と言われることだけは絶対に避けなければならないので、身が引き締まる思いです。

────よくM-1(グランプリ)は「青春」、THE SECONDは「人生」みたいな言い方をしますけど、ネタのおもしろさや熱量でいうと、大会中、何度となく「M-1を越えている」と思える瞬間があります。

角山 漫才師の背景の深さや厚みでいうと、THE SECONDの芸人の方が濃い部分はあるのかもしれません。だから、より広い層に浸透させるには、結局、大会を続けるということしかないと思っています。地道な広報活動も大切にしながら。

「4分半のPR映像」に託した思い

────今回、新しく制作されたプロモーション映像があるそうですが、どのようなものなのでしょうか?

角山 今年は、さらに上を目指すために、初めて約4分半の番組PR映像を作りました。今大会は全部で152組が参加してくれたのですが、決勝にたどり着けなかった漫才師たちの熱いコメントや裏側の映像が大量にあるんです。それを埋もれさせておくのは、あまりにももったいない。彼らにもスポットを当てることで、「これだけ多くの漫才師たちが人生をかけて戦い、その中からこの8組が勝ち上がってきたんだ」という背景を伝えたかったんです。

────お笑いの賞レースはいわゆる演芸番組と違って、制作サイドができることには限りがあると思うんです。そこはバラエティ番組というより、スポーツの中継に近い。そういうPR映像も含めて環境を整えたら、あとは試合頼みというか、好ゲームになることにかけるしかないですよね。

角山 組み合わせも、まさにそうなんですよ。コントロールできない。演芸番組だったら、トップは客席を温めてくれる、明るく元気なコンビを持ってきて、トリはもっとも知名度が高く、技術の高いコンビで締めるとか、ある程度、こちらで流れをつくることができます。でも賞レースは抽選なので、そこは操作ができません。

────今大会の組み合わせも、楽しみだけど、怖さもありますよね。第1試合が金属バット対ヤング、第2試合がタモンズ対黒帯。今大会のファイナリスト8組を陰と陽で分けるなら、金属バット、ヤング、黒帯は「陰」と表現していいと思うのですが、より男臭い、よりブラックなコンビが前半2試合に集中してしまいました。

角山 逆にそれこそがTHE SECONDの醍醐味ですよね。確かに彼らのネタはややブラックかもしれませんが、なにせ、おもしろいですから。そこで視聴者がドハマりしてくれる可能性もあると思うんです。

「すぐにトップスピードに」

────昨年は年明けから、いわゆる「フジテレビ問題」が世間を騒がし、CMが激減し、大変だったんですよね。でも、今年は冠スポンサーとして、アサヒビール(株式会社)が戻ってきたりと、そのあたりは少しずつ改善されつつあるようです。とはいえ、フジテレビがまだ完全に立ち上がり切れていない中、方々から「できるのか?」という声が聞こえてきましたが、いつ頃、ゴーサインが出たのでしょうか。

角山 去年の9月か10月には、できるという話になっていたと思います。

────単に視聴率がいいからとかではなく、THE SECONDのような中身のある、存在意義のある番組を継続していくことが再建途中にあるフジテレビにとって今、いちばん大事な気もします。

角山 僕ら現場サイドはもちろんそのつもりで、いつも準備しているんですけど。唯一、予算のことは毎年心配しています(笑)。

────あと、これはM-1などでもよく指摘されるところですけど、お笑いの賞レースはオープニングが長過ぎるのではという問題があるじゃないですか。つまり、ネタに入るまでが冗長になりがちなのではないか、と。

角山 そこは全国ネットに関していうと、今年は早いんです。例年だとさまざまな事情で、第1試合が始まるのは19時30分前後になっていたのですが、今年はそこまでお待たせしないのでトップスピードで始まる感じになると思います。

────しかも、そこで金属バットとヤングのネタが観られる。

角山 19時台前半という、お茶の間のど真ん中の時間に、アングラシーンを支えてきた2組が激突するのは興奮しますよね。これぞTHE SECONDです。怖いですけど、伝説の回になるかもしれないという期待もあります。

■取材・文/中村計(ノンフィクションライター)