「女性がガツガツ稼ぐ」ことへの冷ややかな視線。それに直面したとき、多くの女性は立ち止まるか、周囲に合わせようとしてしまう。
 しかし、勝友美氏は「関係ない」と一蹴する。ロールモデルがいなかった20代、自らが先例になる覚悟を決めた彼女にとって、他人の目は歩みを止める理由にはなりませんでした。
 本稿では、勝氏がいかにして「アウェイな戦い」を信頼へと覆してきたのか、その「自分の軸」の作り方と、役割意識を捨てる強さの秘密に迫ります。
 みんかぶマガジン連載「バリキャリ女性社長のワークライフ・ルール」全4回の第2回。


「女性が稼ぐこと」への周囲の視線



 日本ではいまも、女性がガツガツ稼ぐことへの視線が、どこか冷たいと感じる場面がある。起業した当時はさらにそうだった。専業主婦になるのが当たり前という風潮がまだあった20代後半に、女性がビジネスの最前線に出ることには、追い風よりも向かい風の方が多かっただろう。

 しかし勝社長は「そういう視線はあんまり気にならなかった」と言う。「感じないわけじゃないけど、だから何っていう感じ。関係ないかな、くらいだった」

 その背景には、当時から**「ロールモデルがいなかった」**という現実がある。女性が生涯キャリアを積み、自分でビジネスを動かすという生き方を体現している先人が、身近にほとんどいなかった。参照できる前例がないなら、自分がその先例になるしかない。その覚悟が、視線を受け流す強さになっていた。

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「なんなんこの子」から始まる逆境。信頼を勝ち取るために彼女がやり続けたこと



 とはいえ、現実に壁はあった。知名度がない時代にメディアやラジオに出る機会があると、最初の空気が違う。「男性の経営者だったら『すごいね、話聞きたい』となるところが、私だと最初ちょっと**『なんなんこの子』みたいな雰囲気から始まる**」

 話し終わった後には敬意が生まれる。でも、そこまでに余分なパワーが必要になる。与えられた舞台で、持てるものをすべて出し切ってようやく、フラットなスタートラインに立てる。そのハンデを、勝社長は冷静に受け止めている。

「ただ、つべこべ言っても仕方がない。与えられた環境の中で戦っていくしかない、と思っているので」

 代わりにあるのは、「自分の軸をちゃんと持ち、それを伝え続ける」という姿勢だ。軸がある人間には、それが男性であれ女性であれ、必ず敬意や信頼を感じてもらえると信じている。

 これは理想論ではなく、実績に裏付けられた確信だ。Re.museは今や女性オーダースーツの先駆けとして業界に認知され、勝社長自身も経営者として多くの場に招かれるようになった。「なんなんこの子」という最初の空気を、仕事の中身で塗り替えてきた10年がある。

 信頼は、広告費では買えない。しかし信頼が積み上がると、口コミや紹介という形で新規顧客が生まれ、長期的には最も効率的な集客になる。そしてその信頼は、メディアやお客様との関係にとどまらず、人間関係そのものを変えていく。