何が飛んでくるか分からない? 富士山が「噴火のデパート」と呼ばれる理由と予測の難しさ【眠れなくなるほど面白い 図解 富士山の話】
溶岩、火山灰…… バリエーション豊富な「噴火のデパート」
富士山の噴火現象は予測しづらい
一般的な火山は、噴火の際に溶岩が多く流れる、あるいは火山灰が大量に降るなど、噴火の特徴がある程度決まっていることが多くあります。ところが富士山では、過去の噴火のたびに異なる現象が起きてきました。溶岩流、火砕流、火山灰、噴石など、噴火の様式が非常に多彩であることから、富士山は「噴火のデパート」とも呼ばれているのです。
たとえば、800年(平安時代)の延暦大噴火の砂礫で足柄道(関東と東海を結ぶ古道)が塞がれました。864年に起きた貞観大噴火では、砂礫が大量に降り注ぎ、同時に溶岩流も発生しました。一方、1707年(江戸時代)の宝永大噴火では、軽石に続き大量のスコリア(黒色の火山灰)が噴出・堆積(江戸でも数cm)しました。
溶岩流は比較的ゆっくりと流れますが、火山灰や噴石が火山ガスと一体となって高速で流れ下る「火砕流」が発生することもあります。積雪がある場合には、これらの熱で雪が解けて土砂とともに流れ下る「火山泥流」が発生する可能性もあります。
噴火口は必ずしも山頂にできるとは限らず、山腹や裾野に現れることもあるため、噴火対策が立てにくい点も、富士山の大きな特徴なのです。
富士山噴火のバリエーション
富士山は「どこから噴火するか」「どう噴火するか」「何が噴出するか」といったバリエーションが非常に多く、噴火前の予測が難しい火山です。
溶岩流噴火
山頂や山腹の火口から大量の溶岩が流れる。過去、最も多かった様式。
爆発的噴火
火山灰や軽石、噴石を上空に噴き上げる。
混合型噴火
溶岩流と爆発的噴火が同時に起こる。
火砕流
火山灰や噴石が火山ガスと一体となって高速で流れ下る。
溶岩流
噴火で流れ出た高温の溶岩が、斜面をゆっくり流れ下る。
火山泥流
積雪がある場合、噴出物の熱で雪が解かされて土石流となって流れる。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 富士山の話』監修:富士学会
【監修者情報】
富士学会
富士山と、その関連地域を対象として、自然科学から芸術、歴史、宗教の人文科学までを広く網羅し、富士山にちなんだ教育や、噴火を想定した防災など、総合的な領域の研究を進めている。富士山の本質と全体像の探求、関連地域の環境保全、防災、活性化などを目的として、学術大会・討論会・講習会などの開催、会誌・図書などの出版、関連教育・文化活動への協力と支援などをおこなっている。事務局は東京の日本大学文理学部地理学教室に置かれている。

