患者の血液型とは異なるドナーから腎臓を移植できるようにする技術が開発され、理論上はどの患者にも受け入れられる腎臓が作られたことが分かりました。腎移植を待つ患者の待機時間を大幅に短縮し、多くの命を救う可能性があります。

Enzyme-converted O kidneys allow ABO-incompatible transplantation without hyperacute rejection in a human decedent model | Nature Biomedical Engineering

https://www.nature.com/articles/s41551-025-01513-6



UBC enzyme technology clears first human test toward universal donor organs for transplantation

https://news.ubc.ca/2025/10/universal-organ-transplant/

Breakthrough: Scientists Created a 'Universal' Kidney To Match Any Blood Type : ScienceAlert

https://www.sciencealert.com/breakthrough-scientists-created-a-universal-kidney-to-match-any-blood-type

血液型は赤血球上に存在する抗原によって決まります。血漿中には抗体が存在し、異なる抗原を検知すると攻撃する性質を持ちます。A型にはA抗原、B型にはB抗原、AB型にはA抗原とB抗原の両方がありますが、O型にはどの抗原もありません。

現状では、腎臓を必要とする人は通常、同じ血液型のドナーから腎臓が提供されるのを待たなければなりませんが、O型の腎臓は普遍的に適合するため、しばしば他の人に移植されます。その結果、O型患者は通常2〜4年長く待たされることになり、多くの人が移植を待つ間に亡くなっています。ABO血液型不適合腎移植と呼ばれる手術などで異なる血液型でも移植することは可能ですが、体が臓器を拒絶しないように数日間の集中的な治療が必要であり、生体ドナーからの臓器提供が不可欠でした。



四川大学とブリティッシュコロンビア大学の研究者らが提唱した新しいアプローチは、患者ではなく移植する臓器に処置を施し、異なる血液型で腎臓の移植を可能にするものです。

このアプローチの鍵となるのは、ブリティッシュコロンビア大学の研究チームが2019年に発見した「A型血液を特徴づける糖を除去し、O型血液に変換する2種類の高効率酵素」でした。研究者らはこれらの酵素を「ハサミ」に例えており、「A型抗原の鎖の一部を切り取ることで、O型血液の特徴であるABO抗原を持たない状態に変えることができる」と説明しています。

酵素処理を施した腎臓を、家族の同意を得て脳死状態の患者に移植したところ、術後2日間にわたり、超急性拒絶反応と呼ばれる急速な免疫反応の兆候を示すことなく機能しました。3日目には軽度の反応を引き起こしましたが、損傷は血液型が適合しない場合よりもはるかに軽度でした。



研究を共同で主導したブリティッシュコロンビア大学のスティーブン・ウィザーズ博士は「ヒトモデルでこのような現象が観察されたのは今回が初めてです。長期的な治療成績を向上させるための貴重な知見を与えてくれました」と述べました。