がん治療の1つ「光免疫療法」の流れはご存じですか?医師が解説!
光免疫療法の治療の流れはどのようなものでしょうか。メディカルドック監修医が光免疫療法の治療の流れについて解説します。
※この記事はメディカルドックにて『がん治療の1つ「光免疫療法」とはどんな治療法?治せる病気や費用も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
木村 香菜(医師)
名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。
「光免疫療法」とは?
光免疫療法は、がん細胞に特異的に結合する光感受性薬剤を投与後、がん部に近赤外線を照射してがん細胞を選択的に破壊する新しい治療法です。
がん細胞のみを狙い撃ちでき、副作用が比較的少ないことから、従来の治療が難しい症例でも効果が期待される治療として注目されています。
現在日本では、薬剤アキャルックス®️(セツキシマブサロタロカンナトリウム)の投与とレーザー光照射を組み合わせた治療法が、頭頸部のがんに対して保険適用となっています。
今回の記事では、光免疫療法の費用や効果、流れなどについて解説します。
光免疫療法の流れ
光免疫療法は以下のような流れで行われます。従来の手術や化学療法とは異なり、がん細胞に結合した薬剤に光を当てることで選択的に細胞を破壊するため、治療のタイミングや手順がとても大切です。
診察・検査
最初に行われるのは、腫瘍の状態を正確に把握するための検査です。
CT・MRI・PET などの画像検査で 腫瘍の大きさ・浸潤範囲・周囲の臓器との位置関係 を詳細に評価します。特に頭頸部は血管や神経、気道が複雑に入り組んでいるため、治療の安全性を確認するうえで欠かせません。
加えて、アキャルックス®が作用するかどうかを判断するために、EGFR(上皮成長因子受容体)陽性かどうか の確認を行います。
抗体医薬を用いる治療であるため、アレルギー反応などが起きないか、血液検査や既往歴の確認も丁寧に行われます。
なお、治療適応の可否は、「腫瘍が照射可能な範囲にあるか」「頸動脈など重要臓器に接していないか」など複数の要素から総合的に判断されます。
治療計画
治療が可能と判断されると、次に光照射のタイミング・角度・照射範囲などを設計する治療計画を作成します。
取得した画像データを専用ソフトに取り込み、腫瘍の形状や位置をmm単位で解析します。頭頸部ではわずかなズレが正常組織への損傷につながるため、以下が詳細に検討されます。
・どの角度から光を当てるか
・どの範囲に照射するか
・どの程度の出力で照射するか
照射時に口腔内に光ファイバーを挿入する場合や、皮膚表面から照射する場合など、腫瘍の場所によって照射方法が変わるのも特徴です。
また、薬剤投与後に光を照射するタイミングも非常に重要で、投与から24時間後がもっとも細胞破壊効果が高い とされています。
治療
治療の流れは以下のようになります。
1.アキャルックス®を静脈から投与
2.24時間後、近赤外線を専用レーザーで照射
照射された腫瘍細胞は数分~数時間以内に膜が破壊され、細胞死へと向かいます。
治療自体は痛みが少なく、局所麻酔で行われることがほとんどです。
治療後
治療後は一時的に腫れ・痛み・嚥下困難が出現する場合があります。
腫瘍の壊死による炎症反応で発熱することもありますが、ほとんどは数日~数週間で改善します。
退院後は定期的な画像検査を行い、腫瘍の縮小や治療効果を確認します。
もしも追加治療が必要と判断された場合、4週間以上空け、繰り返し行うことも可能です。
「光免疫療法」についてよくある質問
ここまで光免疫療法を紹介しました。ここでは「光免疫療法」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
光免疫療法の完治率はどれくらいなのでしょうか?
木村 香菜(医師)
治療成績はがんの部位・大きさ・進行度により異なります。臨床試験では、腫瘍縮小率が高い症例が多く報告されており、再発例にも効果が期待されています。
ただし、光免疫療法は比較的新しい治療であり、長期予後に関するデータはまだ限定的です。今後の研究によってさらに明確になると考えられます。
まとめ
光免疫療法は、がん細胞を選択的に破壊し、副作用を抑えながら治療できる革新的な治療法です。手術や化学療法が難しい症例でも治療の可能性を広げる選択肢として注目されています。一方で、適応が限られていたり、保険適用外の場合は高額となったりなどの課題もあります。治療を検討する際は、大学病院やがんセンターなど、がんの治療に精通した専門医のいる施設で十分に相談することが大切です。
「光免疫療法」と関連する病気
「光免疫療法」と関連する病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
頭頸部外科系
咽頭がん喉頭がん口腔がん鼻副鼻腔がん
消化器内科系
食道がん婦人科系
子宮頸がん腟がん
外陰がん光免疫療法が行われるケースがある病気としては、上記のようなものがあります。
「光免疫療法」と関連する症状
「光免疫療法」と関連している、似ている症状は16個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
のどの違和感
飲み込みにくい(嚥下障害)
声がれ(嗄声)
首のしこり口の中の痛み・しみる
舌の違和感・舌の動かしにくさ
口内の出血
耳へ響くような痛み(放散痛)
食事がつかえる感じ
体重減少
外陰部のしこり・腫れ
外陰部の痛み・灼熱感
デリケートゾーンの出血(性交時出血・不正出血など)
腟の違和感・腫れ
おりものの増加・においの変化
下腹部~骨盤の痛み
こうした症状が続いたときに検査をきっかけに腫瘍が見つかり、条件を満たす場合には光免疫療法が選択肢の一つとして検討されることもあります。早期発見のためにも、症状が続く場合は医療機関の受診が推奨されます。
参考文献
医療用医薬品 : アキャルックス
光免疫治療の適応と実際. 日本レーザー医学会誌. 2024
光免疫療法について | 国立がん研究センター 東病院
婦人科系がんに対する光免疫療法の医師主導治験の開始について 北海道大学
口腔外科医による、初めての「頭頸部アルミノックス治療」(光免疫療法)を実施 - 楽天メディカル
抗体ー光感受性物質複合体アキャルックス®️と光免疫療法. Drug Deliverly System. 2025
