「ウニのトゲ」に着想を得た水流感知システムとは?

ウニのトゲが特殊な動き方をすることに着目した研究チームが、ウニのトゲを模した人工構造を開発しました。電池を使わずにリアルタイムで水の流れを監視できるとされています。
Echinoderm stereom gradient structures enable mechanoelectrical perception | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-026-10164-9

Sea urchin spines inspire self-powered underwater sensors
https://phys.org/news/2026-02-sea-urchin-spines-powered-underwater.html
香港城市大学のアナン・チェン氏らは、自然界の構造に着想を得た機械の開発に力が注がれていることを受け、ウニのトゲに着目してその構造を研究しました。
ウニは感覚専門の器官を持たないとされるため、チェン氏らはトゲが感覚ツールとして働いている可能性を疑い、実験室で生きたウニのトゲに海水を一滴垂らし、高速カメラを使ってトゲがどれほど速く動くかを測定しました。その結果、トゲが水滴の付着から1秒以内に10度ほど回転することが判明します。
詳細を確かめるため、チェン氏らはトゲの2つの異なる場所に電極を取り付けて電位差を測定。海水が先端に触れたり流れたりすると、トゲが最大約116mVの電位差を示すことを確認しました。生きているウニと死んだウニのトゲの両方がテストされ、どちらも電気信号を生成したため、チェン氏らは「この電気は生体組織や神経ではなく、トゲの物理構造によって生み出されるものである」と結論づけました。

鍵となるのは「ステレオム」と呼ばれる多孔質構造でした。これはトゲの内部にある骨のような部位に小さな穴が無数に存在している構造で、これらの穴は根元では大きく、先端に向かうにつれて徐々に小さく密集していきます。この不均一さが水の流れを変え、トトゲ表面で電荷の偏りが生じ、電位差につながるということです。
こうした構造が水の動きを感知するのに役立っている可能性を検証するため、チェン氏らはプラスチックとセラミックで人工のトゲを3Dプリントしました。そのトゲに水を流すと、ウニのトゲと同じように電気を生成したそうです。比較のために滑らかな構造の人工トゲを作成したところ、ステレオム構造のトゲの方が電圧出力が3倍、振幅差が8倍大きいことが示されました。
チェン氏らは「ウニのメカニズムを応用した人工トゲは、水中ロボットから海洋環境のモニタリング、水資源管理に至るまで、幅広い用途で活用できる可能性があります」と述べました。
