◆AIによって社内で“コンテンツ爆発”が発生

当然のことながら、AI疲労はエンジニアの世界に限ったことではない。AIツールを活用した営業支援事業を展開するamptalk社長の猪瀬竜馬氏が話す。

「AIが調べ物や資料作成、セールスフォースなどの営業支援ソフトへの入力などをある程度自動化してくれて営業効率が高まる一方で、ビジョンもなく時流だからとAI活用を掲げる企業の営業部隊のなかには疲労感が増しているところもあります。社長の実績や考え方を詰め込んだ“AI社長”やAI本部長”をつくる企業が増えているのですが、以前だったら営業先への提案書を作成したら上司にレビューしてもらって仕上げるというフローだったのに、最近では『まず、AI社長と3回ぐらい壁打ちして煮詰めろ』と言われるので、余分なフローが生じている。

一方で、営業部長クラスだと、かつては一日1、2件、部下の営業に同行して、ほかの部下からの報告書をチェックするのが大まかな仕事だったのに、今は10人のチームなら10人全員がその日の打ち合わせ内容をAIで全部書き起こし、基の録音データも一緒に提出するので、それをチェックしてフィードバックするだけで多くの時間を要するようになりました。AIによって社内で“コンテンツ爆発”が起こって、管理する側の人間がそれを処理しきれなくなっている」

いつか、そんなAI疲れから解放されるのだろうか? 福原氏は「優しさがキーワードかもしれない」と話す。

「先日、マイクロソフトのエンジニアと会ったら『あえてAIに関係ない仕事に振り切るのも手だね』と話していました。AIが進化し続けても、必ず残る仕事や領域はあって、そのスキルを身につけるのもいいと。その例として挙げていたのが、“優しさ”なんです。とにかく部下を気遣いまくって、異常に優しくなった人がいるようで、『AI社会での戦略的な生き残り策は人に優しくなることかもしれない』と話していた(笑)」

AIに疲れたときこそ、人に優しくあれ!

◆AI疲れを訴える人たち

「“AI会長”に激励されても……」という新入社員が続出。入社式ぐらい、AI任せにせず、本人の口で語れ!(テレビ局報道部・20代男性)

AIでレポートを書いてくる学生が増えたせいで、教授陣もAIに「この論文はAIで書いたものか調べて」と調査を依頼する意味不明の状態に……(某大学准教授・40代女性)

「ChatGPTは〇〇万円の損害賠償金がもらえるって言ってるから、先生、お願い」って、おれたちはAIの下請け業者か!?(弁護士・40代男性)

部下がAI任せで提案書をつくるので仕事の効率は上がったけど、コンサルの陳腐化が加速している(経営コンサルタント・40代男性)

「AIがその薬の定期的服用はよくないと言うのでやめた」と、医師よりもAIの助言を信じる患者が増えている……(精神科医・40代男性)

AIは働かせ放題の部下みたいなもの。遊ばせておくとむしろ不安になるので、就寝前にも大きなタスクを投げておくが、出力されるたびに起きて新たなタスクを……というAI依存症になっている(エンジニア・40代男性)

【米IT企業シニアPM 福原たまねぎ氏】
大学卒業後、ベンチャーを経て’16年に外資系ITへ。Webプロデューサー、プロダクト・マネジャーを務め、’22年に米国本社へ転籍
【amptalk代表取締役社長 猪瀬竜馬氏】
大学卒業後、旭化成、米医療機器メーカーでの営業を経験して、’20年に起業。今夏に営業のAI活用について詳述した著書を出版予定
※2026年5月5日・12日合併号より

取材・文/週刊SPA!編集部

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