中国人が「経営・管理ビザ」目的でホテルや介護施設を買収し、本国で高値売却……ブローカー行為の実態
昨年、予約したのに連絡がとれないと騒ぎになった千葉県銚子市の「ホテルニュー大新」と「大新旅館」。11月上旬から休業状態にあったと市が発表し、複数のメディアでも報じられた。
同ホテルと旅館をめぐっては、2024年6月に中国籍の女性が買収し、経営権を取得していた。その女性は中国ビジネスを手がけるコンサルティング会社の社長だ。昨年12月26日に現地で謝罪し、2026年春の営業再開を目指す意向を示していた。
しかし、GWに突入した現在も、そのホテルと旅館は休業中だ。そればかりか、これまで表面化しなかった杜撰(ずさん)なM&Aの実態がTBSの報道番組で明らかになった。
その中国人社長は2020年から、関東を中心にホテルと介護施設を少なくとも37カ所買収していた。そのうち24カ所が休業・廃業していた。介護施設(千葉・船橋)の元施設長はTBSのインタビューに「家賃を払えず、水道代やガスなどの光熱費なども払えずに督促状がたまっていた。従業員への賃金未払いが続いた」と話した。その介護施設は昨年10月に休業し、廃業した。
東京商工リサーチによると、銚子のホテル・旅館も昨年11月に営業停止して電気・ガス・水道が止められ、従業員への賃金未払いによって多くが退職していた。買収された他のホテルや介護施設も、おそらく同じような状態ではないかと推測できる。
TBSの取材によれば、その中国人社長は介護施設を100~500万円程度で買い取り、北京で投資セミナーを行って、安くても4000万円程度で売却していた。高い物件だと8000万円~1億円するものもあったという。ホテルや介護施設のオーナーになれば、日本で起業する外国人の在留資格「経営・管理ビザ」が取得できるというのが、セミナーでのうたい文句だったようだ。
経営・管理ビザ取得目的でM&A
中国人オーナーが支払う金額にはビザの手続き費用も含まれていたといい、「経営・管理ビザ」を目的とした悪質なM&Aだったことがうかがい知れる。
さて、「経営・管理ビザ」をめぐっては、昨年10月16日に省令が改正され、資本金が500万円から3000万円に引き上げられるなど厳格化された。日本移住のために悪用したり、ペーパーカンパニーを設立したりしている人々がいたためだ。そうした人々を徹底的にあぶり出して調査を行うことは言うまでもなく重要だが、一律に要件のハードルを上げると悪影響のほうが大きくなる。
例えば、街なかには中華やインド料理など小規模飲食店が多数あるが、それら店舗にも同要件が適用される。経過措置として2028年10月16日までは現行基準だが、それ以降は資本金3000万円になるよう増資が必要となる。小規模飲食店にはかなり高いハードルになるかもしれない。
まじめにコツコツ働いている外国人が淘汰(とうた)されて、悪い外国人ばかりがのさばる事態になりかねないのが、今回の「経営・管理ビザ」厳格化なのである。
文/横山渉 内外タイムス
