ピンク色のミサイル・小銃・軍用車…少女を前面に出したイランの思惑
ピンク色のミサイル、小銃、軍用車両……。イランの兵器に施された明るいパステルカラーが世間の注目を集めている。先月、テヘランの街頭で開催された「イランのための犠牲(Jan Fada−ye Iran)」という行事には数千人の女性が参加し、ピンク色に塗られた軍用車両や機関銃を装着した車両を自ら運転し、バイクに乗って都心を行進したと、イラン・インターナショナルが伝えた。一部はピンク色の小銃を手にしたり、国旗を振ったり、ベビーカーを押したりながら行進した。彼女たちは、イスラム革命防衛隊(IRGC)傘下の準軍事志願民兵組織「バシジ(Basij)」に所属する女性隊員だ。女性も国家防衛の準備ができていることを示す行事だったという。
イランの「ピンクミサイル」の写真はX(旧ツイッター)などのソーシャルメディア(SNS)でも注目を集めた。IRGCのテレグラムチャンネルに投稿された写真のミサイルはピンク色に塗装されていて、表面には「革命的な少女の要請に対する応答」という黒い文字が書かれていた。イスラエルメディアのエルサレムポストは「幼い少女がピンク色のミサイル発射を要請したと伝えながら攻撃を感情的かつ大衆的な方法で包装した」と分析した。
明るい色と恐ろしい兵器の矛盾した組み合わせにはどのような意図があるのか。単なる軍事訓練というよりも政治的メッセージを込めた「演出」という分析が多い。英紙テレグラフは「ピンク色の兵器や装備を前面に出した場面は、軍事的な意味よりも象徴性と視覚的効果を強調した宣伝の性格が強い」と指摘した。
イランの文化・社会研究者オラ・ヘンデルマン・バブール氏はイランインターナショナルに対し「暴力をかわいく見せようという試みであり、若い世代にアピールしようとしている」とし「戦争とミサイルをより軽やかで理想的な方法で提示している」と述べた。イランの大衆文化専門家シアバシュ・ロクニ氏も「こうした写真はSNSのフィードやグループチャット、放送やヘッドラインを埋めるためのもの」とし「イラン国内の人々は演出と現実を区別しているが、海外ではこれを正常な状況だと誤解しかねない点が危険だ」と指摘した。
女性の前面登場も目を引く。現地の兵役規定上、女性は戦闘員としての役割に制限があるが、バシジなどの志願民兵組織には参加できる。特に今回の行事では一部の女性がヒジャブを緩く着用して前髪や髪の一部を露出させた姿や、低く結んだポニーテールや緩いウェーブスタイルなど比較的自由な姿も見せた。通常すべての髪を隠すべき規範とは異なる演出だ。
イランの政治分析家アラシュ・アジジ氏は「イスラム共和国は画一的な社会を目指してきたが、今はそのイデオロギーの一部を放棄しなければいけないという点を認識しつつある」と分析した。イランインターナショナルもこれを「ミサイルとファッション、戦争と大衆文化を結びつけた新しい宣伝戦略」と評価した。
