広島テレビ放送

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 4月27日(日本時間)に開幕したNPT=核拡散防止条約の再検討会議について、これまで特派員としてNPT再検討会議を取材した経験がある長島清隆解説委員が解説します。

■【合意文書の採択について】
 今回も見通しは非常に厳しいです。NPT再検討会議での合意文書は、191の国と地域が「全会一致」での採択が原則で、1か国でも反対すれば採択できません。それに対して国際環境はまさに逆風が吹いています。

【逆風】
・ロシアのウクライナ侵攻
・アメリカ、イスラエルとイランの軍事衝突
・イギリス、フランスの核戦力増強
・中国の核戦力の不透明性

 どれも核保有国が、NPTの原則に反するような行動を取っています
。その結果、核を持たない国や抑止力に依存しない国の信頼を損なっています。これをどのようにまとめるのか、議長の手腕も問われます。

 今回の議長国はベトナムです。会議は、日本時間の4月27日夜から5月22日まで約4週間開かれます。
 合意文書の草案は最終週あたりに出てきたりするのですが、外務省幹部によると今回は、議長が早ければ2週目あたりから草案を各国に提示して、調整を図っていく構えです。この調整は、国連の議場というオモテの場所だけでなく、国連以外の場所で少数の国のグループが集まって調整される場合もあります。日本も積極的に議長国をサポートしていく方針です。
 
 被爆者がニューヨーク入りしましたが、被爆者の訴えは各国の外交官の心に響きます。私が取材したときにも、涙目で被爆者の話を聞く外交官がいました。ただ、国際政治は冷徹です。いくら核兵器が悲惨なものだとわかったとしても、自分の国の安全保障が守られなければ、核や抑止力を放棄することはありません。つまり、被爆者の訴えとともに、被爆国である日本が核抑止に頼らなくても、平和を構築できるんだという説得力のある提案をする、この両輪が必要です。

 日本が普段から強調する、核保有国と非保有国の「橋渡し」をする力が問われています。

【2026年4月27日 放送】