株式投資なんかしなきゃよかった。投資初心者「株価暴落」で必死の損切りも、アッサリ戻る相場に心が折れ…なぜこんなことが起きるのか?【経済評論家が解説】
近年では株式投資にチャレンジする人が増えています。しかし、相場はときに暴落することもあります。投資に長く取り組んで利益を出すには、いくつか知っておくべきことがあります。株式投資の経験が豊富な経済評論家の塚崎公義氏が、株式投資の注意点を解説します。
株価は「皆が下がると思うと実際に下がる」
株価は、ときに暴落します。悪いニュースが流れたタイミングが多いですが、悪い噂が流れただけでも暴落することがあります。人々が弱気になっているときには、悪い噂が聞こえてきただけで売ってしまう人が増えるからです。株価は「皆が下がると思うと皆が売るから、実際に下がる」ものなのです。
個別株が暴落する場合もありますが、平均株価が暴落する場合もあります。本稿では主に、平均株価の暴落について考えましょう。平均株価の暴落の場合には、株価暴落がさらなる株価下落を招くメカニズムが働きやすいので、一層注意が必要だからです。
暴落すると「売りたくない売り」が出てくる
通常時の株式市場では、上がると思う人が買い、下がると思う人が売るのですが、株価が暴落すると、上がると思っている人から「売りたくない売り」が出てきます。
ひとつは借金で株を買っている人です。株価が上がると思って買ったら株価が暴落したわけですから、「絶好のチャンスだ。さらに借金をして買い増しをしよう」と考えるわけです。しかし一方で、銀行は「株価暴落で投資家が破産するかもしれない。急いで返してもらおう」と考えます。そこで、銀行からの返済要請を受けた投資家は「買いたいのに、泣く泣く売らざるを得ない」ことになります。
もうひとつ、機関投資家は担当者に「損切り」のルールを課している場合が多いといわれています。「一定以上の損失を被った担当者は、持っている株を全部売って休暇をとって頭を冷やせ」というのです。損失が無限に拡大してしまうリスクを避ける、ということでもありますが、損が膨らんだ担当者は頭に血が昇って冷静な判断ができなくなるから、という理由もあるようです。
また、個人投資家の中には「これ以上の損が出ると老後の生活設計に支障が出かねないから、売りたくないけど売らざるを得ない」という人も出てくるでしょう。
投資初心者が「狼狽売り」に走る一方、投機家たちは…
「売りたくない売り」が出てくると、株価は「妥当な水準」を大幅に下回ることになりかねません。そうなると、投資初心者は何が起きているのか理解できず、「この世の終わりが来る」ような気がして狼狽売りをする場合も多いのです。
とくに「株価暴落で絶好の買いチャンスが来た」と思って買った株が、さらに下落を続けると、持っていることに耐えられなくなって狼狽売りをする人も多いようです。
このように、株価は一度暴落すると、さらに暴落を続ける場合が少なくありません。投機家たちはそれを知っているので、暴落したときに持ち株を売ってしまう場合があります。さらに値下がりしたときに買い戻せばよいからです。
本稿で紹介した順番は「売りたくない売り」「投資初心者の狼狽売り」「投機家の売り」ですが、実際に起きるのは「暴落」「投機家の売り」「売りたくない売り」「投資初心者の狼狽売り」という順番です。
初心者が狼狽売りをすると、どうして株価が戻るの?
「暴落」「投機家の売り」「売りたくない売り」「投資初心者の狼狽売り」と続いたあとに起きるのは「株価の戻り」です。初心者が狼狽売りをしたあとには、売り注文が残っていないからです。
売るべき人がすべて売り終わった頃、投機家たちは先に売った株を買い戻します。売ったときよりはるかに安い値段で…。機関投資家の担当者たちも、休暇を終えて復帰し、買い出動するでしょう。銀行も、株価が戻り始めたのを見て、投資家向けの融資を再開するかもしれません。
売り注文が少ないので、株価はスルスルと戻っていきます。狼狽売りをした投資初心者たちは、何が起きているのかわからず呆然としていて、買いのチャンスを逃す場合も多いでしょう。そればかりではありません。「株なんて懲り懲りだ。やらなきゃよかった」「今後は一切やるもんか!」などと頑なになり、将来の利益のチャンスを放棄してしまうかもしれませんね。
損切りはすべきだが、狼狽売りは避けるべき
上記は、投資初心者に狼狽売りを思いとどまるように促しています。一般に平均株価が暴落したときには、狼狽売りは避けるべきでしょう。まずは落ち着いて深呼吸をして、過去数十年の平均株価のグラフをじっくり眺めてみましょう。過去に何度も暴落していますが、そのたびに戻っているのですから、今回も戻る可能性が高そうです。
しかし、株価が暴落したときに冷静に判断して売るべき場合もありますので、要注意です。避けるべきなのは、「狼狽売り」なのですから。
たとえばイラン情勢が悪化して株価が暴落するようなことになったとすれば、冷静に情勢を分析して売るべきか否か判断する必要があるでしょう。
バブル崩壊によって株価が暴落している場合も、早めに売ったほうが傷が浅くてすむかもしれません。
個別株の場合には、その銘柄の魅力が低下したことで暴落する場合も多く、そうした場合には持っていても株価が戻るとは限りません。
結局、「狼狽売りはせず、冷静に判断しよう」ということですね。
本稿は以上ですが、投資判断等は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があります。
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塚崎 公義
経済評論家
