むしろなぜ入社したのか…「入社4時間で退職」する新入社員に“氷河期世代”は驚愕も…専門家が「いまの若者がスピード退職しても再就職への悪影響はほぼない」と断じる理由
“早期退職”という言葉は本来、「60歳や65歳の定年を迎える前に、退職金の増額など有利な条件を呑んで退職する」という人事制度を指すはずだ。ところが近年、「入社して1年も経たない若い社員が会社を辞める」ことにも“早期退職”が使われているのだ。実際、入社1年未満どころか「入社式の当日に退職する」という“超早期退職”さえ現実のものになっている。(全2回の第1回)
***
【写真を見る】新入社員と同じく2026年3月に大学を卒業した芸能人…復学した大学を61歳で卒業した美人タレントの振袖・袴ショット。かつての“おバカタレント”は39歳にして念願の大学卒業を報告
例えばテレ朝NEWSは4月5日、「退職する新入社員続出 初日に代行依頼殺到 『自分には向いてない』」との記事を配信した。

週刊新潮の4月23日号も「退職代行業は今年も大忙し! さっさと辞めた『新入社員』の具体例に茫然」の特集記事を掲載している。担当記者が言う。
「テレ朝NEWSも週刊新潮も取材の結果、『入社1日で辞めた新入社員』は都市伝説でも何でもなく、本当に存在することを伝えています。特に昭和世代は衝撃を受ける記事なのは間違いないでしょう。Xでも同じ話題で盛り上がっています。『入社式の午前中の4時間で退職代行使って辞めた新入社員』、『週5日、朝の満員電車に乗るのが辛いという理由で4月13日に退職が決まった新入社員』、『そもそも入社式に現れない』、『入社式に姿を見せず、連絡しても音信不通』──といったエピソードが話題を集めました」
中には「新入社員が寿退社で笑う。まだ4月中旬」という驚くべきポストがあり、今も拡散を続けている。ポストの真偽は不明だが、意外にも“あるあるネタ”として受け止められているようだ。「自分の勤務先でも昔、同じことがあった」という投稿が少なくない。
1日で辞める新入社員に対し、Xでの反応は様々だ。それこそ「根性が足りない」という昭和を思い出すようなポストもある。
大卒の1割が1年未満で退職
「『どれだけ適当に就職先を選んだのか』と呆れる声や、『自分に向いている仕事など地球上に存在しない』など、“石にかじりつくつもりで働け”という先輩社員のアドバイスも、よく表示されます。その一方で、『自分も満員電車は嫌だった』、『嫌な会社なら早く辞めたほうがいい』と理解を示す投稿も目立ちます。中でも最も多いのは『あまりに早く退職すると、再就職が難しくなる』と心配する声です」(同・記者)
厚生労働省が2022年に発表した「新規学卒就職者の離職状況」によると、2017年から2021年までの5年間、入社1年未満で離職した大卒は10・6%から12・2%の間で推移している。つまり大卒の1割が1年未満で辞めるわけだ。
意外に多いと言えるだろう。そのため就職・転職支援企業や、人事コンサルタントなど複数の企業が公式サイトに「1年未満の退職はリスクも高い」と警鐘を鳴らす記事を掲載している。
ある支援企業は自社の調査結果として、1年未満に退職してしまうと再就職で非正規雇用の割合が増えるというデータを発表している。
日本経済新聞(電子版)は2025年5月、「若手のタイパ重視離職に落とし穴 『勤続1年未満お断り』の企業も」との記事を配信した。
「退職代行とは取り合わない」企業
記事では人材紹介サービスの担当者が取材に応じ、顧客の企業から「前の会社で勤続1年未満の人は紹介しないで下さい。選考自体しません」との要望を《よく受ける》と説明。少なからぬ企業が「入社1年未満で会社を辞めた新入社員」は「再び離職するリスクが高い」と判断していると指摘した。
この担当者は「石の上にも三年」という諺を引用し、「キャリアを判断するための期間として3年間を目安にするのが良いだろう」とアドバイスしている。
また退職代行業者に対する風当たりも強くなっているようだ。東京商工リサーチは4月15日、「『退職代行』からの連絡、企業の3割取り合わず 有給や退職日の交渉などの通知を3割が経験」との記事を配信した。
記事によると、2024年1月以降、退職代行業者を利用した退職があった企業は全体で8・7%。大企業が21・3%で中小企業が7・8%と大企業のほうが2・7倍多かった。
退職代行業者から連絡が入った場合、「業者を間に挟んで、従業員との退職手続きを進める」が41・3%で最多だった。だが、2位は「非弁行為が含まれる可能性があるため取り合わない」で30・4%に達した。
「退職代行を利用すると
さらに「求職者の『退職代行』の利用歴は影響しますか?」の質問には、「利用歴が分かった場合、採用に慎重になる」が49・3%で最多。2位は「利用歴が分かった場合、採用しない」が26・0%だった。
大学ジャーナリストの石渡嶺司氏は就活の問題にも詳しく、『ゼロから始める 就活まるごとガイド2027年度版』(講談社)などの著作がある。
石渡氏は「確かに私も『新入社員なら3年ぐらいは働いたほうがいいかな』と思うことも、なくはないですね」と言う。
「とはいえ、『入社日に会社を辞めたとしたら、再就職に悪影響が出ますか?』と真面目に質問されれば、これまでの取材・調査結果を踏まえて『世間一般で想像されているような悪影響はありません』と答えます。そもそも就職氷河期の時代でも、『この会社は合わない』と早期退職し、2回目の就職活動を頑張って再就職に成功した人はいました。まして今はバブル期を超える超売り手市場です。超早期退職の事実が明記されている履歴書で応募しても、『面接で会ってみたい』と考える企業は決して少なくないのです」
なぜ「入社当日に辞めた人でも気にしない」という企業が存在するのか、第2回【新入社員の“スピード退職”に悩む企業に共通する「2つの問題点」 専門家が指摘する「初任給を上げた企業」の“予想外のリスク”】では、ブラック企業の意外な影響など、2000年代に入って生じた様々な変化について詳細にお伝えする──。
デイリー新潮編集部
