そんなに悪いことか、陸上自衛隊の歌姫が自民党大会で国歌独唱
12日に東京グランドプリンスホテル新高輪で行われた第93回自由民主党大会で、陸上自衛隊の歌姫といわれる女性自衛官が、国歌を歌ったことに賛否両論が集まっている。
国会で追及しようとする政党もある。直系の上司のトップである陸上幕僚長はコメントしているが、本人は発言することも許されていないと思うので、本人の気持ちを代弁することを試みる。
いささか自民党寄りの意見のように思われるかもしれないが、国家の防衛という崇高な任務を担う自衛官の応援団の意見としてご容赦いただきたい。
まず、論点を整理してみると3点あり、それらについての考えは以下の通りだ。
1.自衛官が政治活動をすることになり、法律違反ではないか
今回は、党大会を任されたイベント会社が本人に直接オファーを出したものであり、本人も上司の許可を得て出演している。最終判断がどのレベルで出されたかは不明だが、防衛省の内局レベルまで伝わっているものと思われる。本人としては何の疑問を持たずに出演したものだろう。
問題とされて以降も、自衛隊の最高指揮官である高市早苗総理大臣も小泉進次郎防衛大臣も「問題ない」と言っている。
責任者がいずれも問題ないと言っているので、本人の処分もないだろう。法律違反と主張するのであれば、告発すればいい。
2.自民党が自衛隊を政治利用しているのではないか
自由民主党は直近の衆議院議員選挙で、国民の圧倒的支持を得た政権政党である。政権政党の70周年という記念行事でもある党大会で、国家の防衛という崇高な使命を果たしている陸上自衛隊の歌姫に、国歌を独唱してもらおうということが自衛隊の政治利用になるとは全く思えない。
逆に自民党としては、党を挙げて自衛隊を支持しているという決意のあらわれと理解する。
3.私的に参加したとしているが、制服を着用しているので公務としての行動ではないか
私的に参加したとしても、陸上自衛官3等陸曹である本人に変わりはない。何を着ていくかについて、本人は誇りをもって自衛隊の演奏用制服を着用したものと思われる。
音楽大学を卒業している女性であれば、ロングドレスの何着かは所持しているだろうが、多数の国会議員が出席する晴れの舞台にふさわしいのは、やはり自衛官の制服姿と考えるのが自然である。
制服姿をめったに見ない自衛官、制服=公務は的外れ
今回の件については、いわゆる保守派からも、わきが甘い、自衛官の政治活動であり、好ましくないという意見がかなりある。特に制服の着用が焦点となっている。しかしながら、制服=公務というのは全く的外れである。
我が国では、日常生活で軍人(自衛官)の制服姿はほとんど見かけない。特に東京などでは防衛省周辺でさえ、制服姿はめったに見られない。米軍の将兵も我が国では制服で外出しないように指導されているようである。ゆえに、制服着用時は公務活動と思われがちだが、そうではない。
外国では、軍服姿はごく日常であり、自衛官も制服の使用が禁止されているわけではない。
現状、国家の防衛という崇高な役目を担う自衛官が、制服での往来をためらうというのが正常だろうか。防衛省としても、制服での外出、出退勤を奨励するべきではないか。
小泉防衛大臣が自身のSNSから、歌姫とのツーショット写真を削除したことが問題になっている。
これも当然の処置だ。現在、歌姫本人は悩み苦しんでいると思う。小泉防衛大臣にとって、部下である自衛官を心ない誹謗(ひぼう)中傷などから守るのが務めである。
中道改革連合などが国会で追及しているが、論点が不明確。一人の女性自衛官が党大会で国歌を独唱したことが、そんなに悪いことなのか。むしろ、各政党は、しかるべき党行事の冒頭で自衛官に国歌を歌ってもらい、全員で斉唱するのが国政を担おうとする政党として普通ではないか。
自衛官は、野球場、競馬場等いろいろな場所で制服をまとって歌い、自衛隊の活動を国民に知ってもらうことに誇りを持っている。ましてや、国民の代表である国会議員が多数出席している場で、国歌を歌い称賛を浴びれば、この上なく誇りに思うことだろう。
自衛隊は国家の宝物である。もっと大事にしてほしい。
文/島本順光 内外タイムス
