新年度が始まった4月、退職代行サービスへの依頼が増えている。川越みずほ法律会計の清水隆久代表は、「今の時期は退職代行の件数は1日10件から20件。新入社員の人が今の時期は多く、例年よりも増えている」と語る。

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 入社1日目で「自分には向いていない」と判断し、代行サービスを利用して即座に会社を去る新社会人が後を絶たない。こうした「早期離職」の背景には何があるのか。「ABEMA Prime」では、転職を繰り返す当事者や専門家を交え、若者の労働観と企業の採用のあり方について議論が交わされた。

■20代で20社を転々

 専門学校卒業後、約20もの会社を退職してきた27歳のせわしさん。自身の労働観について「そもそも、この令和の時代において、週5日で8時間働くということが、自分の中ではちょっとおかしいなと思っている。自分の時間を、会社のために週5日、8時間使うことに『縛られている』という感じがするし、それに対しての給料が見合っていないというのが一番」と述べた。

 最初の勤め先は介護関係。「もともと、高齢者運動指導の枠で入ったのに、入ってみたら介護寄りの仕事で、仕事内容も合わないし残業代も1時間働いても30分しかつかないような会社だった。家は寮だったが、家賃を引いても手取りが14万円というレベルだったので、1カ月で退職した」。

 仕事に対しては「真面目に働きたい気持ちはある」とし、現在はトラックドライバーが1年以上続く。「1人で運転しているのが気が楽というか、自分に合っている。人は好きだが、仕事として人と関わるのが難しい。フリーとか、自分で会社を作るとかよく言われるが、普通の人にはそんな能力はない」。20代で、今の自分に合っているかもしれない職にたどり着けたことには「僕はラッキー」という感覚を持つ。

 一方で、戦略的な早期離職を選択する者もいる。24歳のユウジさんは、新卒で入社したITベンチャーを1年3カ月で退職した理由を振り返る。「2024年12月で、かなりAI(の進歩)が来ていて『このままシステムエンジニアやっているとまずい』と直感的に感じた」。さらに「(1社目は)ベンチャー企業で長くいるつもりはなかったし、得られるものは得た。自分でもかなり実力がついた部分はあった。AIのこともあったので、辞めてしまおうと思ったのがきっかけ。待遇も上がり、転職の中ではかなり理想的な方」と加えた。

 また4月から新入社員が退職する流れについては、転職経験者として「本当に難しい話で、人によるかなとも思うが、結局のところは企業とのミスマッチが、一番原因としては大きい。就活では(会社が)キラキラして見えるとも思うが、いざ蓋を開けてみれば全然違う会社も多いと思う。会社が人を欲するところに重点を置いた結果、こんなことになっている。ギャップが離職率の増加につながっている」と私見を述べた。

■SNSで情報「ノリで辞める人も多い」

 こうした若者の動きに対し、採用コンサルタントのひぐまあきのり氏は「SNSが発達したこともあり、すぐ辞めてもすぐ仕事が見つかる人を見て『他の人もしているなら、自分もいいのではないか』と、ノリで辞める人も多い」と語る。

 また転職市場にも触れ「やはり売り手市場というのが大きい。若い人はあまり出世したくないという話もある。次のステップが見つかるならば辞めていいと思いつつ、これまでのイメージのように『3年ぐらいは勤めておけ』という思いも少しある」と述べた。

 2ちゃんねる創設者・ひろゆき氏は、「僕は早く辞めてくれたほうがいいと思っている」と語る。「どうせ辞めるなら、1カ月居続けて、いろいろなトレーニングをして、社内のことを教えて辞められるより、最初から来ないほうがコストは安い。退職代行だろうとなんだろうと、初日から来ないほうがマシ」だという。

 さらに、若者が転職を繰り返せる状況には「本来なら、採用されないような人を採用している。結果として、根性がなくて辞めてしまうとか、初日から来ないような人まで採用してしまっている」と、採用基準の変化にも言及した。

 実業家の岸谷蘭丸氏は、若者が抱く将来への焦燥感を分析する。「みんな20代を無駄にしてはいけないという刷り込みが強いとすごく感じる」とし、「自分が何年間かその会社に投資することにあたり、会社側も『あなたが投資してくれた場合、あなたはこうなるし我々はこうなる』という明確な未来の発表と共有ないと頑張る気にならない」と語った。

 家具・インテリア用品の大手・ニトリでは、就職先人気ランキング(文系)で1位だが、2026年度から新卒総合職の通年採用を導入する。また実務経験がある若手を示す「第二新卒」に注目する企業も増えた。

 転職を繰り返したせわしさんは「辞めたいと思った人が辞められる社会の方が健全だと思う」とし、またユウジさんは「通年採用はどんどん広がっていくと思う。富士通もそうだ。新卒採用をやめるところもかなり多くなっているので、今後はいわゆる年功序列的な働き方がどんどんなくなっていく」と予想した。
(『ABEMA Prime』より)