Image: Raymond Wong / Gizmodo US

2026年3月5日の記事を編集して再掲載しています。

スマートグラスを使う人もご用心を。

Ray-Ban Metaをはじめとして、昨年から今年にかけて続々と新しい製品が登場しているスマートグラス。内蔵カメラで撮影できるものも多く、プライバシーの問題が取り沙汰されることもよくあるようですが、何もスマートグラスのカメラを向けられる被写体だけの問題というわけでもないようです。

Metaの下請け業者に覗かれている

スウェーデンの新聞社Svenska Dagbladet社とGöteborgs-Posten社が共同で発表した調査結果によると、トイレに入る様子や服を着替えるタイミング、そして性行為中といったパーソナルな瞬間を捉えた映像が、Metaが雇用する外部委託業者によって無修正のまま閲覧されていることが明らかになりました。

調査では、販売台数が700万台を超えるとされるMetaのスマートグラスを通して撮影された大量の映像が存在しており、その映像がケニアのSamaと呼ばれる外部委託業者によって閲覧されていることが判明。

彼らはデータアノテーターと呼ばれる職種で、スマートグラスのカメラが捉えた映像を確認し、AIシステムが映っているものをより正確に認識できるよう、映像にラベルを付与する作業を担っているそう。

こうした契約業者のもとに届くトレーニングデータとしての映像は、送り届けられる前にほとんど選別されておらず、プライベートで、時にはより親密な映像が数多く共有されているといいます。

クレカ情報やメッセージのやりとり…だけじゃない

中にはお店での買い物を済ませるために使った特定個人のクレジットカードの情報や、スマホでのメッセージのやりとりなどもあり、契約業者からはこうした映像が意図せず見えてしまうといった報告が上がっています。

録画機能を切り忘れた際に誤って映り込んでしまう可能性がある映像もありますが、一部の契約業者はそれをはるかに超えた、想定外にプライベートな映像を目にすることも少なくないといいます。

ある契約業者は、ベッドサイドテーブルに置かれたままのスマートグラスを通して、部屋に入ってきた装着者の妻が着替える様子を審査したことがあるんだそう。また、装着者がポルノを視聴していたり、自ら性行為を撮影していたりする映像も確認されているのだとか(最近スマートグラスはアダルトコンテンツの世界でも急速に普及しているらしい…)。

スマートグラスの利用者の大半は、当然ながら第三者に映像を見られたくないと思っているでしょうし、契約業者もどちらかといえば目にしたくはないはず。なぜなら彼らの場合、ラベルを付与する作業を行なわなければならず、それができなければ、自身の仕事が失われるリスクもあるからです。

ある従業員は「他人のプライベートな生活を覗いているとわかっていても、ただ作業をこなすことだけが求められる。疑問を持つことは許されない。口答えをすれば、すぐにクビになる」と語っています。

解決策はあるのか?

映像を意図しない第三者に見られたくないユーザーへ、Metaが提示している唯一の解決策は「AIに利用・保持されたくない情報(センシティブなトピックに関する情報など)は共有しないでください」というもの。要するに他人に見られたくなければ録画するな、ということですね。

ただ、これはスマートグラスの装着者にとってすら理想的な解決策とはいえませんし、意図せずカメラに映り込んでしまった人々にとっては、解決策にすらなっていません。所有者は撮りたくないものがあれば電源を切るという選択ができますが、映り込む側の人間は、他人に勝手に撮影され、さらにその映像が別の見知らぬ他者によって審査されるわけですから。

監視社会の中で生きることだけでも十分に問題なのに、企業が消費者にお金を払わせて、その仕組みの拡大に加担させているという事実が、事態をさらに深刻なものにしています。

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