1971年4月3日は、怪奇アクションドラマ『仮面ライダー』の第1話「怪奇蜘蛛男」が放送された記念すべき日である。現在は最新作『仮面ライダーゼッツ』(2025年開始)が好評放送中であり、仮面ライダーシリーズの各作品は今や日本のみならず、海外にも熱烈なファンが存在する。生誕55周年を迎えた今年(2026年)は「仮面ライダー」の新章の幕開けとして、国内外においてさまざまな企画が立ち上げられているという。

2026年4月3日、都内にて催された「仮面ライダー生誕55周年発表会」では、今後の「仮面ライダー」がさらなる未来を見据えて、今まで以上に発展していくための、いくつかの施策が発表された。

左から、仮面ライダー(1号)、園田大策氏(石森プロ)、吉村文雄氏(東映)、仮面ライダーゼッツ(フィジカムインパクト)

サイクロン号と「仮面ライダー55周年」記念ロゴ

最初に発表されたのは、生誕55周年「仮面ライダー」メモリアル映像。仮面ライダー1号から仮面ライダーゼッツまで、さまざまな個性を備えた歴代仮面ライダーがオートバイで疾走するカットをつないだ、スピーディかつダイナミックな映像集が観られた。

○「仮面ライダー」を全世界で愛されるIPに

ステージに現れた東映株式会社 代表取締役社長 吉村文雄氏は『仮面ライダー』第1話「怪奇蜘蛛男」をリアルタイムで視聴していた子ども時代をふりかえりつつ「あのころ夢中になって観ていた仮面ライダーを、55年の時を経てみなさまにご紹介する機会を頂戴できて、感慨深く思っています」としみじみ話したのち、本日(4月3日)が「仮面ライダーの日」と制定されたこと、55周年の記念ロゴが作られたことを発表した。

サイクロン号にまたがって、東映の吉村文雄社長が登場

東映株式会社 代表取締役社長 吉村文雄氏

吉村氏は「仮面ライダー」を全世界で愛されるIP(知的財産)にしたいという「野望」をかかげ「全世界の子どもたち、大人たちが仮面ライダーと共に育ち、生活をし、夢を見る」という未来図を語った。続けて吉村氏は「ショッカーが掲げる無謀な野望ではなく、仮面ライダーならそれを実現させるだけの、大きな力があると信じています」と力強く語り、仮面ライダーという作品の魅力を今まで以上に広げていきたいと意欲を示した。

株式会社石森プロ 代表取締役社長COO 園田大策氏

続いて、『仮面ライダー』原作者・石ノ森章太郎氏の遺志を引き継いで、「仮面ライダー」シリーズの制作に携わる株式会社石森プロ 代表取締役社長COO 園田大策氏が登壇。石ノ森氏の次男であり、石森プロファウンダー最高顧問を務める小野寺章氏から寄せられた手紙を、園田氏は次のように読み上げた。「変身とは、単に姿を変えることではありません。時代の中で、どのように生きるのかを選ぶこと。その決意の象徴であると、父は考えていたのだと思います」

東映株式会社 上席執行役員 白倉伸一郎氏

東映・石森プロによる「仮面ライダー」55周年に向けた意思表明に続いて、東映株式会社 上席執行役員 白倉伸一郎氏から「仮面ライダー55周年」施策の全体概要についての説明が行われた。白倉氏は現在「キャラクター戦略部」を率いており「仮面ライダーに対する、愛と希望と野望と悪だくみ」を練り込む役割だと軽妙に語って周囲の空気をなごませた。

○2026年を彩る「既存作品」はこれだ!

白倉氏は続けて、今回の発表会は「個別の作品」の制作のみを知らせる「点」の発表ではなく、おのおのの作品が連なることで点が「線」となり、やがてシリーズが交錯して「面」になり、ブランドやIPに成長していくのだと語り、具体的には「仮面ライダー」の本格的な「世界戦略」を視野に入れつつ、意欲的な作品展開を構想していると明かした。

最初は「既存作品」すなわち現在放送中の『仮面ライダーゼッツ』を中心とした、テレビシリーズの新展開や恒例となった夏の「劇場版」について。次に、新たに立ち上げられる「映画」の3つのレーベルについて。そして完全新作の「アプリゲーム」プロジェクトについて。それぞれ担当者からの詳細説明をご紹介していこう。

さっそうとかけつけた仮面ライダーゼッツが、得意のポーズを決める





まずは「既存作品」の展開について。『仮面ライダーゼッツ』でプロデューサーを務めている湊陽祐氏と高崎壮太氏が登壇し、現在育休中のチーフプロデューサー・谷中寿成氏のぶんまで『ゼッツ』の熱い思いを伝えようと、エネルギッシュなスピーチを行った。





『仮面ライダーゼッツ』プロデューサーの湊陽祐氏、高崎壮太氏がゼッツと固い握手をかわす

『ゼッツ』は全世界14地域でサイマル展開をしており、中国地域では配信後48時間で450万回再生を突破し、中南米地域ではSNSトレンドワード3位を記録、北米では初回視聴者数が10万人を突破……など、日本の特撮テレビドラマとして前例のない快挙を打ち立てているという。





『仮面ライダーゼッツ』声優発表

そんな『ゼッツ』の後半展開を盛り上げるべく、新たな声優キャストの発表が行われた。カタストロフゴアナイトメア=平田広明、パニッシュゴアナイトメア=福山潤、ファントムゴアナイトメア=早見沙織、オブリビオンゴアナイトメア=竹内順子。そしてふたたび現れたゼッツから高崎氏へと渡された書面には、変身ベルト「ゼッツドライバー」のシステム音声を担当している山寺宏一の「声の出演」が決定したと書かれており、会場をさらにどよめかせた。

2026年7月24日公開『仮面ライダーゼッツ&超宇宙刑事ギャバン インフィニティ Wヒーロー夏映画2026』速報ビジュアル

次に、毎年の恒例というべき「夏の劇場版」として、2026年7月24日(金)に公開する『仮面ライダーゼッツ&超宇宙刑事ギャバン インフィニティ Wヒーロー夏映画2026』についての発表が行われた。例年では仮面ライダーとスーパー戦隊の劇場用新作2本立て興行だったが、今年はスーパー戦隊に代わって新シリーズ「PROJECT R.E.D.」がスタートしており、『仮面ライダーゼッツ』の同時上映作品も『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』となっている。

気になる『ゼッツ』劇場版の内容は、湊氏の口から「万津莫が挑むのは、かつてないスケールのミッション。諜報機関CODEのエージェントたちが暗躍する、大興奮のスパイアクション」だと説明された。現実の世界を白昼夢によって浸食し、ゼッツを全国民の敵に回そうとする希代の強敵が登場する中、莫は逃れられない絶望的な予知夢の運命に立ち向かうという。また、湊氏が「最大の注目ポイント」と語る、仮面ライダーゼッツと仮面ライダーノクスの「奇跡の共闘」にも大いに期待したいところだ。

東映ビデオ株式会社 中野剛プロデューサー

続いては、東映ビデオ株式会社 中野剛プロデューサーが登壇し、Vシネクスト『仮面ライダーカブト20th 天を継ぐもの』の発表を行った。

2026年11月6日(金)より新宿バルト9ほかにて期間限定上映 Vシネクスト『仮面ライダーカブト』メインビジュアル

2006年に放送開始し、多彩なキャラクターと、意欲的なストーリーの魅力で現在も根強い人気を誇る『仮面ライダーカブト』の20周年を記念して作られたこの作品は、監督:石田秀範、脚本:米村正二というオリジナルスタッフ、そして佐藤祐基、徳山秀典、加藤和樹、弓削智久、山口祥行、本田博太郎というオリジナルキャストが再結集し、「宇宙生物ワーム」と人間との共存をテーマにしたストーリーが繰り広げられる。

仮面ライダーガタック/加賀美新役・佐藤祐基さんが登壇

「アトラスゼクター」同梱版(完全受注生産)のDVD&Blu-rayも発売される

2026年11月6日(金)より新宿バルト9ほかにて期間限定上映されるほか、DVD&Blu-rayの発売も予定。2027年2月10日(水)には通常版・特別版(初回生産限定)を発売、2027年6月9日(水)には、新たなマスクドライダーへの変身アイテム「アトラスゼクター」同梱版(完全受注生産)の発売が明かされた。

○新たに立ち上げられた3つの「映画」レーベル

東映株式会社 映画事業部門長 出目宏氏は、新しく「仮面ライダー」で3つのレーベルを立ち上げることを発表し、それぞれの詳細を説明した。

東映株式会社 映画事業部門長 出目宏氏



『THE KAMENRIDER CHRONICLE』は、歴代の仮面ライダーをベースとした作品を扱うレーベル。当時作品を観てくださったファンはもちろんのこと、初めて作品に触れる方々にも楽しんでいただけるような作品性を目指し、映画をきっかけに、テレビシリーズに興味を持ってもらえるような作品作りを目指す。



『THE KAMENRIDER ANIMATED』は、アニメでしか表現できない新たなる仮面ライダーを作るためのレーベル。国内外問わず、アニメファンをメインターゲットに据え、仮面ライダーを知らなくても楽しめる作品を目指している。過去作、オリジナル作を問わず、さまざまなパートナーと手を組み、アニメーションという手法の中で「仮面ライダー」をどう表現できるか、模索していくという。



『THE KAMENRIDER PREMIUM』は、特別感のある仮面ライダー映画を作るという、ブランド志向のレーベル。今まで仮面ライダーのファンではなかった方でも楽しんでいただけるような作品作りを目指している。ターゲットは国内外のヒーロー&アクション映画ファン。現在はまだ詳細が明かせないが、2028年の公開を予定して企画がすでに進行中とのこと。

『仮面ライダーアギト』仮面ライダーアギト/津上翔一役・賀集利樹さん

『THE KAMENRIDER CHRONICLE』の第1弾は、2001年放送の『仮面ライダーアギト』の25年後の物語となる『アギト―超能力戦争―』。ステージには仮面ライダーアギト/津上翔一役・賀集利樹が現れて、オリジナルキャスト・スタッフが集合し、さらには豪華な新キャストを迎えて盛りだくさんな『アギト―超能力戦争―』の期待を大いに煽った(2026年4月29日(水・祝)全国公開)。

『アギト―超能力戦争―』メインビジュアル

2026年4月24日(金)からは、池袋サンシャインシティ展示ホールAにて、『仮面ライダーアギト』放送25周年記念『真アギト展』が開催される(5月12日まで)。

『真アギト展』メインビジュアル

新作映画と合わせて『仮面ライダーアギト』の魅力を再確認、再検証できるに違いない。

白倉氏が『仮面ライダー電王』映画構想を語る

続いて『THE KAMENRIDER CHRONICLE』の第2弾にあたる作品として、2007年に放送されて以来、幾度も続編映画やスピンオフ作品が作られた人気作『仮面ライダー電王』の映画企画が始動していると、白倉氏から発表があった。

『仮面ライダー電王』20周年記念ロゴ

『電王』20周年記念のロゴも早々と作られたが、実際に『電王』が20周年を迎えるのは来年(2027年)である。これについて白倉氏は「見切り発車です。電王ですから(笑)」と、仮面ライダーシリーズ唯一無二の「電車に乗る仮面ライダー」という『電王』にちなんで軽快に語り、ほがらかな空気を作り上げた。ファンの注目が集まる『電王』だけに、記念映画を作るのみならず、他にも20周年を盛り上げるためのいろいろな展開、大きな広がりがあるかもしれないと語り、続報に期待を持たせた。

株式会社 白組 畑中亮氏(左)と株式会社アニプレックス 鳥羽洋典氏

『THE KAMENRIDER ANIMATED』でも、すでに仮面ライダーアニメ映画の企画が進み始めているという。ステージには「株式会社アニプレックス」の鳥羽洋典プロデューサーと、さまざまな分野で活躍する映像制作チーム「株式会社 白組」の畑中亮プロデユーサーが登壇し、アニメーションでの仮面ライダーをどのようなアプローチで作り上げるのか、そのイメージを少しだけ明かした。鳥羽氏は「ワールドワイドな展開を目指した完全新作・オリジナル作品を企画中」と話し、一枚のイメージボードを公開した。鳥羽氏によれば「3Dルックなグラフィカルではなく、みなさまになじみのある日本のマンガ的なルックのアニメーションを、白組さんと一緒に日々開発しています」と語り、まだ全貌を明かすことができないものの、かなりの意欲を作品に盛り込んでいることを説明し、目を輝かせていた。

『Game Project HENSHIN』ロゴ

続いて、株式会社バンダイナムコエンターテインメントによる完全新作アプリゲーム『Game Project HENSHIN』のショートムービーがスクリーンに映し出された。スマホを手にした男性が仮面ライダークウガに変身する動画が想像力をかきたてるこのアプリゲームは、「IOS」「Android」にて国内限定配信される予定。なお、ゲーム内容、サービス開始時期などは、今後の発表を待ってもらいたいとのこと。

○令和仮面ライダーシリーズ第8作は『仮面ライダーマイス』

発表会の最後を飾るのは、東映株式会社 映像企画部プロデューサー武部直美氏による『仮面ライダーゼッツ』の「後番組」についての情報である。

東映株式会社 映像企画部プロデューサー武部直美氏

従来なら夏ごろに発表される新ライダー情報だが、誕生55周年となる記念すべきこの日に、タイトルのみ明かされることとなった。そのタイトルは『仮面ライダーマイス』。

『仮面ライダーマイス』タイトルロゴ

「神話」や「作り話」「俗説」といった意味の英語「MYTH」にハイフンが入った(MY−TH)マイスの説明をした武部氏は「仮面ライダーなんて、そんなものはいないよ、といったところから、ただひとり未来を切り拓く希望となり、やがて神話的な存在となっていく……という物語への思いを込めています」と、マイス命名の由来を語った。

まだ仮面ライダーマイスがどんな姿をしているのかは明かされていないが、武部氏によると「バッタの力で戦うヒーローからスタートした『仮面ライダー』ですが、最新作は同じく意外なモチーフの『小さい生き物』が最強の力を発揮して戦うヒーローになります」とヒントを出し、まだ見ぬ新ライダーへの期待をふくらませる役割を果たした。そして「放送を楽しみにお待ちください。ただいま製作中です。仮面ライダーマイス、どうぞよろしくお願いしマイス!!」とおちゃめな挨拶を残し、仮面ライダー55周年発表会をしめくくった。

登壇者が全員集合

生誕55周年を迎えた『仮面ライダー』





仮面ライダーの愛車・サイクロン号









55年の時を越えて出会った2人の仮面ライダー





今回、出番を終えた登壇者の方々はオートバイに乗るジェスチャーをしつつ「GO!GO! ブ〜〜〜ン!!」と叫びながら上手へハケていくパターンを貫き、それぞれが仮面ライダー55周年に思いをはせた















最後は全員そろって「GO!GO!」

(C)石森プロ・東映 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映 映画「ゼッツ・ギャバン インフィニティ」製作委員会 (C)テレビ朝日・東映AG・東映 (C)2026 石森プロ・バンダイ・東映ビデオ・東映 (C)2026「劇場版アギト」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映ビデオ・東映 (C)Bandai Namco Entertainment Inc.

秋田英夫 あきたひでお 主に特撮ヒーロー作品や怪獣映画を扱う雑誌・書籍でインタビュー取材・解説記事などを執筆。これまでの仕事は『宇宙刑事大全』『大人のウルトラマンシリーズ大図鑑』『ゴジラの常識』『仮面ライダー昭和最強伝説』『日本特撮技術大全』『東映スーパー戦隊大全』『上原正三シナリオ選集』『DVDバトルフィーバーJ(解説書)』ほか多数。 この著者の記事一覧はこちら