こんにちは、ガクミカ取材班で学生記者で福岡大学2年の「ミユナ」です! 気になる企業へのインタビューを通して、社会人経験のない学生が仕事への理解を深める「企業探訪ログ」。今回は「西日本新聞プロダクツ」の編集制作本部で校閲部のグループリーダー、樽海麻里奈さんにお話を伺ってきました!

みなさんは学校の授業で新聞を読む際、誤字や正しくない日本語表現がほとんどないと感じたことはありませんか。新聞は記者が記事を書いた後、発行される前に手作業で「赤字探し」をしている人がいます。それが校閲の仕事です。

ちなみに、間違いなどを赤ペンでチェックするから「赤字」というそうです。

似ている言葉の「校正」は漢字や表記など、日本語の間違いを正すことです。「校閲」は固有名詞や数字に関することなど、事実関係の間違いを探すほか、内容を深く読んだ上で分かりにくい表現や伝わりにくい文脈を指摘するという違いがあります。

新聞社の校閲業務は赤字を見つけるだけではなく、記事を書いた記者の意図をくみ取り、読者にとって分かりにくそうな点を相手に伝え、どう修正してもらうのかが鍵となるそうです。

記者が書いた記事はデスクと呼ばれる方がチェックしているので、デスクとのやりとりを経て修正することになります。校閲の仕事において一番神経を使うのは、ここだと樽海さんは言います。

「記者さんにも記事に乗せる熱意やこだわりがある分、私たちも修正箇所を突きつけるだけでなく、納得してもらうために根拠を明らかにして、記者さんの意見を尊重した言い方をしなければならない」

私は取材をする前、校閲という仕事はただ無心になって間違いを探し、指摘する仕事だと思っていました。「間違いを指摘する」ではなく、いかに「間違いや修正点を変更してもらえるように伝えるか」が大切なんだなと感じました。

樽海さんは校閲の仕事に携わる前、学習塾の先生をしていたそうです。その経験から「新聞は一次ソースの役割もあるため、子供たちが知識を学ぶための信頼ある教材でなくてはならない、と考えた上で校閲の仕事と向き合っている」と説明してくれました。

小学生から大学生まで教材としても利用される可能性がある新聞に間違いがあってはならない。その大きな責任を背負って仕事をしているんだなと実感しました。

次に人工知能(AI)が進化する現代社会において、校閲の役割とは何か聞いてみました。樽海さんは「もし間違いがあった場合、『この紙面のチェックをAIに担当させたので私は知りません』とは言えない。AIに責任を押しつけることはできない」と答えてくれました。

樽海さんの回答を聞いて、人間のミスの責任をAIに丸投げするというのは逃げにつながると思いました。人間だからこそ担える責任があるし、向き合うべき仕事があると感じます。

ですが、AIは将来、私たちが向き合っていかなければならない存在でもあります。西日本新聞でもAI校閲を試行していて、いずれは人間と分業する形で導入される日が来るかもしれません。

そんな時、AIは赤字を見つけたり、訂正する文の案を出してくれたりする一助になるでしょう。それでも、そのまま世に出すのではなく、人間が目を通して、人間が最後まで責任を持つことで、AIとの共存になると考えます。

間違いを見つけるにあたり、樽海さんたちはどんな視点で文章を読んでいるのでしょうか。樽海さんは「校閲の仕事はチームプレー。印刷する前の原稿ができあがったら、1人で読むのではなく、2、3人で回し読みする。そして最低でも1人3周は読み返す」とおっしゃっていました。

このようにいろいろな人が複数回、同じ紙面に目を通すことで、さまざまな視点から間違いを探せるのです。校閲歴10年という樽海さんの経験が生かされることもあれば、ベテランでも見落としがちな点に新鮮な視点がある新人が気づくこともあります。

そんな校閲の仕事に向いているのはどんな人でしょうか。「隅々まで見て調べることに抵抗がない人。本当にこれで合っているのか自信がなくて、たくさん調べようとするくらいがちょうど良いですね」と樽見さん。

付け加えて「校閲の仕事はチームプレーだからこそ、いろんなタイプの人がいていい。同じ記事を1人が10回見るよりも、10人が1回ずつ見た方が気づくことが多いこともある」とも話していました。

校閲の仕事は1人で黙々とする作業ではなく、記者さんや修正するデスクの方を含め、一緒になって赤字を探す仲間とのコミュニケーションも大切なんだと改めて感じました。

校閲は表立ってみんなが知るような仕事ではないかもしれません。それでも読者の手に渡る新聞が読みやすく、教材として利用されても問題がないように支えている人たちがいました。

また、読みやすくするために間違いを探すことが全てではなく、内容を深く読み込み、記事への思いをくみ取った上で、修正箇所を的確に伝えるコミュニケーション能力が鍵となります。間違いが許されない責任感と、正しい情報が世の中に伝わるように強い使命感をもって、日々の仕事と向き合っている姿勢が本当に印象的でした。

私も学生記者として、記事を書く際は真剣に言葉と向き合って、自分が執筆する内容や情報に間違いがないか、調べる努力を続けていきたいです。

読んでいただき、ありがとうございました!


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