日本第1号店の「IKEA Tokyo-Bay」当時は「IKEA船橋」、話題をさらった(C)日刊ゲンダイ

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 スウェーデン発の家具小売店「IKEA(イケア)」の原宿店と新宿店の2店舗が、2月8日に閉店した。

業績悪化で減収減益のニトリ 事業の新たな柱いまだ見いだせず

 運営会社のイケア・ジャパンは、これまで船橋や立川など、郊外で出店を続けてきたが、初の都心型店舗として2020年6月に原宿店を、続いて20年11月に渋谷店、21年5月に新宿店を出店した。

 都心型店舗では雑貨など小型の商品を拡充。都心への人口流入を背景に、消費者との接点を増やす目的があったが、思うような効果が得られなかったようだ。2店舗の閉鎖により、都心型店舗は渋谷店のみとなる。

「他社より出遅れていたEC(電子商取引)での売り上げにつなげる狙いもあったが、店舗が狭いため郊外型店舗より家具の品ぞろえが限られ、売り上げに貢献できなかったとみられる。車で家具を買って帰る客の来店も見込めない。レジャー施設のように訪れるだけで、何も買わない客も多かった」(流通関係者)

 従来型店舗の強みを生かせなかったようだ。IKEAの標準的な店舗の売り場面積は2万平方メートル以上だが、都心型の3店舗はいずれも5000平方メートルを下回る。

 もっとも、イケア・ジャパンは都心型店舗を出店する前から業績が悪化している。06年の1号店出店以降、規模を拡大したが、利益率は14年ごろから低下した。営業利益は17年8月期から19年8月期までの間、赤字で推移。

 翌年に黒字化を達成したものの、24年8月期には約21億円の赤字となり、25年8月期は48億円の赤字を計上した。近年の売上高は950億円前後を推移し、成長は鈍化している。

「家具は引っ越しなど移動時に買うもの。コロナ禍では巣ごもりで家具需要が伸びたが、住宅着工数の減少で人の移動が減り、業界全体が縮小の流れにある。成長したのは家具を低価格化したニトリぐらいだ。IKEAも安価だが、ニトリより組み立てに手間がかかり、利便性に劣る」(家具業界関係者)

 ニトリ1強の国内では、出店の余地が少ないという。

 イケア・ジャパンは13年に広島駅付近の土地を取得したが、店舗の建設は着手されず、21年には住友不動産に売却した。札幌での出店計画も撤回している。

■DIYの普及度も一因

 国内で展開する大型店は10店舗にとどまり、数十店舗を展開する欧州諸国とは対照的だ。前出の流通関係者によると、DIY(日曜大工)の普及度も、日欧で明暗を分けた一因だという。

 王者のニトリも22年度にピークを迎えて減収に転じ、25年度第3四半期の売上高は前年同期比2.5%減の6885億円を計上した。

 全世界で500店舗を突破し成長が続くIKEAだが、国内の事業環境は厳しい。都心型に加え、今後は郊外型店舗が閉店する可能性も見えてくる。

(ライター・山口伸)