「長風呂好き」は要注意…若年層がヒートショックになる“意外な要因”3つ。予防に効果的な対策は
お風呂から出た時に「くらっ」とめまいを感じたことはありませんか? 入浴時の寒暖差による「ヒートショック」は、じつは高齢者だけの症状ではなく、若年層にも起こりうる危険がある、と温泉療法専門医の早坂信哉先生は言います。今回、冬場にとくに気をつけたい入浴時の注意点について、早坂先生に詳しく教えてもらいました。

「ヒートショック」はシニアだけの疾患ではない
急激な温度差によって血圧が急上昇し、心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気を引き起こすヒートショック。一般的に動脈硬化が進んだ高齢者に起こりやすいと言われています。
しかし、早坂先生によると、若い世代が起こりやすいもう1つのヒートショックもあるそう。
「ヒートショックは、血圧が上がるタイプだけが問題ではありません。温泉やスーパー銭湯からお風呂を出たあと、若い人が立ちくらみにより意識を失って倒れるケースが意外と多くあります。これは入浴によって体が温められることで血管が拡張し、『血圧が低下』するタイプのヒートショックです」(早坂先生、以下同)
ヒートショックには、大きく2種類のタイプがあると言います。
「血圧の変化を山と谷にたとえると、寒暖差によって血圧が上昇するヒートショックを『山型』、血圧が低下するタイプを『谷型』のヒートショックと呼ぶこともあります。そして、この血圧低下型は、健康で若々しく見える40代、50代にも起こりうるのです」
谷型ヒートショックを招く危険な「風呂の入り方」

早坂先生によると、血圧低下型ヒートショックが起こりやすい「入浴環境」がある、と言います。私たちが毎日の入浴時に注意したい「危険な行動」を教えてもらいました。
●1:入浴前に水を飲まない
「濡れているので自覚がないかもしれませんが、一般的に、入浴時には500〜800mlの汗が出ます。脱水状態と血管拡張がかさなることで、血圧低下が加速します」
●2:42℃以上の熱いお湯に入る
「寒くなると、『寒いからお風呂の温度を上げよう』と考えがちですが、42℃以上のお湯は交感神経を刺激し、血圧の乱高下を招きます」
●3:20分以上の長風呂
「長風呂は血管が拡張し、血圧が低下しやすくなるため要注意です。20分以上風呂につかるのは避けておいた方がよいでしょう」
これらの3つの行動は、自分で意識しておかないと、ついやりがちなものばかり。
「とくに若い世代は、自分がヒートショックのリスクを抱えているとは考えないため、入浴時の行動にも無頓着になりやすいのかもしれません。その結果、転倒による打撲や骨折、浴槽で気を失うなどの思わぬ事故が起きています」
谷型ヒートショックの予防に役立つ生活習慣

血圧低下型ヒートショックを防ぐには、どのような入浴習慣を心がけるべきでしょうか。今日からできる5つのポイントを教えてもらいました。
●対策1:入浴前にコップ1〜2杯の水を飲む
「脱水を防ぐことが血圧低下を防ぐ第一歩です。入浴時の汗の量を考えると、事前の水分補給は欠かせません」
●対策2:お湯の温度は40℃を基本に
「42℃以上の湯の温度は、交感神経を刺激し血圧を上げます。ものたりなければ、入浴5分後に追いだき機能で徐々に温めるとよいです」
●対策3:入浴時間は10分程度が目安
「入浴時間が短すぎると、お風呂の温熱作用は得られませんが、逆に長すぎると血管が拡張して血圧が低下します。10分程度が最適なバランスです」
●対策4:浴槽から立つときはゆっくり立ち上がる
「ガバッと勢いよく立つと血圧が急低下します。手すりをしっかりつかんで、ゆっくり立ち上がりましょう」
●対策5:脱衣所や浴室を事前に温める

「入浴前に湯船のフタを開けて湯気を立たせたり、シャワーを1〜2分かけ流したりして、脱衣所と浴室、浴槽内の温度差を減らすことが大切です」
また、早坂先生によると「家全体の温度差を減らす工夫も効果的」だそう。
就寝時には寝室の暖房を入れておく、廊下ではスリッパを履くなど、一瞬の移動でも寒さに身をさらさない心がけが重要です。
まだまだ寒い日が続くこの時期、大事な健康を守るために、ぜひ参考にしてみてください。
