歯医者の受付窓口で知り合いが働いています。マイナ保険証を提示すると年収がバレると聞いたのですが本当でしょうか?

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マイナ保険証を歯科医院などの受付で提示すると、年収が分かってしまう話を聞いたことがある人もいるかもしれません。しかし、このようなうわさがどこまで事実なのかは、制度の仕組みを丁寧に確認してみる必要があります。 本記事では、マイナ保険証に関連する情報の扱われ方や医療費制度との関係を整理しながら、何が実際に分かり、何が分からないのかを解説します。

マイナ保険証とは何か:カード自体に収入情報は含まれない

マイナ保険証とは、マイナンバーカードを健康保険証として利用する仕組みのことです。医療機関の受付ではカードを専用端末にかざすことで保険資格をオンラインで確認します。端末で確認されるのは、氏名・生年月日・保険者名など医療保険に必要な基本に限られ、年収や給与、勤務先などの情報が端末画面に表示されることはありません。
誤解されやすいのは、「マイナンバー=さまざまな個人情報とひも付いている」というイメージが強いためでしょう。しかし実際には、医療機関が閲覧できる情報は法律で厳しく制限されており、マイナ保険証をかざしただけで個人の財務情報が表示されることはありません。
また、窓口のスタッフがカードの見た目や色から年収を推測できるといううわさを聞いたことがある人もいるかもしれませんが、そのような仕様も存在しません。

年収がバレるといわれる背景:高額療養費制度の所得区分

では、なぜ年収がバレると誤解されるのでしょうか。その理由の多くは、高額療養費制度の仕組みにあると考えられます。高額療養費制度では、1ヶ月に支払う医療費が一定額を超えたとき、自己負担の上限が所得に応じて設定されており、上限額を判定するために、加入者はあらかじめいくつかの所得区分に分類されます。
マイナ保険証を使用する場合、医療機関の端末にこの所得区分が表示されるケースがあります。ここから、大まかな収入帯が推測され得るため、「年収が見られるのでは」と不安に感じる人が出てくるのです。
ただし、ここで表示されるのは区分であって、具体的な金額ではありません。区分は、「年収約○○万円以上」「○○万~○○万円」といった幅を持っており、給与明細のように正確な年収が知られるわけではありません。また、通常の診療では高額療養費制度が関係しないため、毎回この区分が表示されるわけでもありません。

プライバシーの懸念はあるが、制度理解で不安は軽減できる

確かに、大まかな収入帯でも区分が医療機関のシステムに表示されることは、プライバシー上ゼロリスクとはいえないでしょう。しかし、その情報は医療費制度に基づいた最小限のデータであり、年収の正確な数値や世帯構成などの詳細は分かりません。
また、医療従事者には守秘義務があり、業務上知り得た情報を不用意に外部へ漏らすことは法律で禁じられています。
マイナ保険証には、利便性という大きなメリットがあります。例えば、保険証の更新手続きが不要になり、転職引っ越しの後も資格情報が自動で更新されます。
また、過去の処方履歴や健診データを医師が参照できれば、重複投薬を防ぎ、医療の質向上につながる可能性もあります。医療費に関する情報が整理されることで、自分がどれくらい費用を負担するのかも判断しやすくなり、治療や手続きに関する選択をより現実的に行えるようになるでしょう。

まとめ

マイナ保険証を提示しただけで、受付スタッフに正確な年収が知られることはありません。ただし、高額療養費制度の所得区分を通じて収入帯のおおよその目安が医療機関の端末に表示される場合があることから、不安に感じる人もいるでしょう。
マイナ保険証と医療費制度の関係を正しく理解すれば、プライバシーへの不安を必要以上に大きくせずに、制度のメリット・デメリットを冷静に比較できます。
マイナ保険証の利便性とプライバシーのリスクを踏まえ、自分の価値観や生活スタイルに合った使い方を選択していきましょう。
 

出典

デジタル庁 マイナンバーカードの健康保険証利用
厚生労働省 マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)について
厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー