【フレイル予防座談会】元厚生労働事務次官・辻哲夫 × イオン責任者・久木邦彦 × キューピー執行役員・加納優子 ×マルタマフーズ社長・服部太郎
「イオン生活圏」で謳う精神
─ そして今年6月にはその参画企業が中心となった「日本フレイル予防サービス振興会」が発足したわけですが、理事長を務めるイオン責任者の久木邦彦さん、イオンとしてのフレイル予防へのスタンスとは。
久木 イオンには「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する。」という基本理念があります。これは我々の使命であり、お客さまのために、あるいは地域のために、もっとできることはないかと考えていました。その中で地域の健康課題にフレイルがある。
ならば、イオンとしても貢献したい。それがきっかけです。
フレイル予防には先ほどの3本柱が重要です。それらは日々の暮らしに密接に関わっています。イオンは、生活者にとって最も身近な存在として、これに貢献していきたい。買い物の場は顧客接点でもあります。だからこそ、地域に貢献できる場であると考えています。
しかし、多くの市区町村がフレイル予防を発信し始めていても、まだまだ生活者には広く普及しているとは言えません。ですから、まずは生活者にフレイル予防を知っていただくことが必要であり、当社も普及啓発活動に取り組んでいます。
そして、これは行政や各企業、有識者と方向性を同じくして進めていくことで力を合わせ、有効な取り組みに育つものだと思っていますので、フレイル予防推進会議と連動する形で、有志企業と日本フレイル予防サービス振興会を設立しました。
─ 具体的にどんな活動をする予定なのですか。
久木 有識者理事にはフレイル研究の第一人者である東京大学高齢社会総合研究機構の機構長を務める飯島勝矢先生が名を連ねています。飯島先生と当社とのご縁は共同研究が始まりでした。
当振興会はフレイル予防サービスを通して健やかな100年人生を応援するため、現在は食に関する企業に多くご参加いただいています。
まずは、この食の業界からフレイル予防をもっと盛り上げていきたいと。ここで皆さんの力が合わさる仕組みにするために一定のルールが必要だと考え、認証制度の導入を目指し、準備を進めているところです。
「食」の領域で健康に貢献
─ その食の領域ではマヨネーズなど卵にまつわる食品を主軸とするキユーピーが参画しています。執行役員の加納優子さんの思いを聞かせてください。
加納 はい。当社グループは「おいしさ・やさしさ・ユニークさ」をもって世界の食と健康に貢献することを目指す姿として掲げています。その中で高齢者の健康寿命の延伸はウエルネスの領域において最重要課題の1つであると認識しています。
先ほどの33柱のうちの1つである「栄養の改善」でフレイルの進行の抑制と回復を期待できることから、食の果たす役割は非常に大きいと思っています。
特に食によって筋肉の維持につながるタンパク質の摂取や高齢者に不足しがちなエネルギーの補給ができます。また、食事をしっかり摂るための前提となる「おいしく食べる喜び」も重要です。高齢期になると、粗食ではなくて、しっかり食べるということが大切になるのです。
その点、当社のマヨネーズを活用した料理を通じてエネルギーを補給する、手軽に摂取できる卵商品の提供を通じてタンパク質を補給するなど、当社は普段の食事における提案で、貢献できると考えています。
─ 食品企業であるからこそ提供できる価値ですね。
加納 ええ。ただ行政との連動も欠かせません。超高齢社会で多くの方が100年人生を生きるため、医療費や介護費は膨大になります。健康寿命を延伸することによる医療費や介護費の抑制は国家的な課題になります。
