記事のポイント
サイダーはトレンド対応の速さで成長し、ポップマートと提携した初の米国ブランドとなった。
TikTokや「気分を選ぶ」機能を活用し、収益7倍・アプリ5000万ダウンロードを達成した。
アルゴリズムとコミュニティ運営を自社構築し、1時間で4000着を売る販売力を築いた。


創業5年のファッションブランド、サイダー(Cider)は、スピードを重視し、市場に現れるトレンドにすばやく乗ることで、シーイン(Shein)といったブランドと競合する米国ブランドとしての地位を確立している。同社の最新の動きは、ポップマート(Pop Mart)との提携だ。サイダーは、話題沸騰中のこの中国の玩具会社と製品コラボレーションを行った初の米国企業だ。

サイダーもポップマートも、多くのファッションブランドが攻略しようとしているZ世代の女性顧客という重要な層をターゲットとしている。その点でポップマートとの提携は理にかなっていると、サイダーの共同創業者ユー・オペル氏はGlossyに語った。

収益は7倍、ダウンロード5000万回超



サイダーはZ世代の買い物客のあいだで人気が上昇中だ。顧客の70%近くが18歳から24歳で、130カ国以上で毎月数百万着を販売している。2021年に1億3000万ドル(約192億1800万円)の資金を調達して以来、サイダーの収益は7倍に増加、アプリのダウンロード数は5000万回以上となっている。特にTikTokを中心としたコミュニティへの同社のアプローチ方法は、若い買い物客をターゲットにしようとするブランドにとって参考となるだろう。

「現在、自社コンテンツがどれだけ閲覧されるのかをブランド側がコントロールするのははるかに困難になった」とオペル氏は言う。「客観的にみれば、当社がいま投稿しているコンテンツは、5年前にくらべて質が向上しているが、何十万ものビュー数を獲得するのは、以前よりも難しくなっている。コントロールできるのは、提携する相手と自分たちのコミュニティだ」。

サイダーは約100万人のフォロワーを抱える公式アカウントや数十人の公式インフルエンサーパートナーを通じて、TikTokに毎週何百本もの動画を投稿している。たとえば9月には、カナダのファッションインフルエンサーであるイザベル・アラン氏(@izzipoopi、インスタグラムのフォロワー数74万5000人)とともに「秋のムードレポート(Fall Mood Report)」キャンペーンを展開した。

アラン氏が「コースタル コア(Coastal Core)」といったトレンドや美的センスを紹介するこのムードレポートは、同社のWebサイトにある「気分を選ぶ(Pick a Mood)」機能と連動している。この機能では、顧客が数千ものスタイルを気分や美的センスで絞り込むことができる。現在サイトで購入可能な気分には「コープコア(オフィスウェア)」、ハロウィン、K-POPなどがある。

「数千ものの顧客インタビューを実施しているが、顧客のあいだで特に好評なのがこの機能だ」とオペル氏は話す。「画像検索で、さらに詳細に絞り込むこともできる」。

「気分を選ぶ」機能で1時間に4000着販売



この機能はサイダーの強力な販売ツールのひとつへと静かに成長を遂げた。同社の顧客の半数以上が「気分を選ぶ」機能を利用して買い物をしており、その機能をTikTokのコンテンツで紹介することで、販売力がさらに増している。最近ではレースのスカートが、同社のバイラルになったTikTok動画や、eコマースサイトのトップページに掲載された「気分」のひとつとして紹介され、わずか1時間で約4000着が売れた。

「気分を選ぶ」ページに掲載される商品は、マーチャンダイジングチームが厳選したアイテムと、消費者のプロフィールに基づいたアルゴリズムによるレコメンデーションを組み合わせたものだ。写真による検索は完全にアルゴリズムによって行われている。オペル氏によれば、サイダーは技術を重視しており、アルゴリズムによるレコメンデーションを含む同社のシステムの多くは、外部パートナーからライセンス供与されるのではなく、社内で構築されている。

オペル氏は自身とソーシャルチームが「慢性的にオンライン状態」にあり、コミュニティとの交流やコメントへの返信、顧客がフォローしている人たちのフォローなどに日々時間を割いているという。また、複数のチャネルにまたがる専用コミュニティも構築している。たとえば、1万5000人のメンバーを擁するブランド専用のDiscord(ディスコード)サーバーも設置している。

「Discordは詳細なフィードバックを得るのにすばらしい手段だ」とオペル氏は述べている。「ただし、一部のトップカスタマーにただメールを送って、Zoomで話したいとお願いするのも同じくらい容易かもしれない。当社はこれまで1000回以上の個別インタビューを実施してきたが、たとえ10人と話すだけでも、おそらくいくつか共通するテーマがみえてくるだろう」。

[原文:The strategies behind Cider’s millions of monthly sales to Gen Z]

DANNY PARISI(翻訳:Maya Kishida、編集:坂本凪沙)