〈従業員と子供に自社株を無償譲渡〉DX支援で成長を続ける『fonfun』
「社員がほとんど株についての知識や理解が無かったので、自分たちが働いている会社が上場企業であることの意味をよく考えてほしいと思った。そして、お子さんが株を保有することで、10年後、20年後に株価が10倍、100倍になっていれば、自分たちの親が頑張った結果なんだと実感することができるだろうと考えた」
fonfun社長の水口翼氏はこう語る。
企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)支援やクラウドサービスを手掛ける、東証スタンダード上場のfonfun。同社が従業員とその子供に自社株を無償譲渡したことで注目を浴びている。
実は水口氏、なんと8人の子供を育てるお父さん。会社の成長と子供の成長を両立させるための施策としてひらめいたのが、自社株を無償譲渡するユニークな株式報酬策だった。
水口氏は1982年東京都生まれ。青山学院大学在学中の19歳で個人事業主として起業。学生結婚をしたため、「自宅で子育てしながら出来る仕事をしようと考えた」のがきっかけだ。
2004年に企業のウェブサイト構築などを手掛けるシンクマーク(現サイブリッジグループ)を設立。IT中心の事業を展開しながら、M&A(合併・買収)を重ねて成長してきた。
その過程で、水口氏は2023年に自己資金でfonfunのTOB(株式公開買い付け)を実施。当時、水口氏自身がそれまでfonfunの第2位株主(社外取締役も兼務)であり、同社の株価が低迷していることに頭を悩ませていた。東証の市場改革に伴う上場維持基準(流通株式時価総額10億円)のクリアが課題となっていたからだ。
「株価を向上させ、上場廃止を回避するには、自ら資金を投じて、リスクを取って経営に関わっていこうと。これまで何社もベンチャー投資をしてきたが、成長するには時間がかかる。すでに上場しているが、低迷している企業を再生した方が早いリターンも見込めると考えた」
23年6月に同社の社長に就任して以来、約2年で9件の買収を実行。TOB時と今年8月下旬を比較して、業績は約3倍、株価も約5倍となった。
2026年3月期は、売上高19億円(前年同期比50・5%増)、営業利益2億円(同36・5%増)、純利益2億円(同14%増)の見通し。9月末時点の時価総額は約53億円だが、26年3月までに100億円へ、倍増させたい考えだ。
「地味でも、手堅く利益を出していて、成長が期待できる企業へのM&Aを今後も続けていく。今回の取り組みを機に、多くの方々に当社のことを知ってもらい、応援していただける会社へ成長したい」と語る水口氏。
8人の子供を育てる父・水口氏の挑戦はこれからも続く。
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