浦和の頑張りによって、むしろ問題点が浮き彫りに。土壇場でインテルに敗れた2つの理由【現地発】
浦和レッズにとって、後半アディショナルタイム2分にもたらされた、バレンティン・カルボーニによるインテルの逆転弾は、そうした表現がふさわしいかもしれない。
序盤に金子拓郎の仕掛けから渡邊凌磨の先制点でリードがもたらされてから、浦和は専守防衛とも言うべき状況に耐えながら、試合の終盤に差し掛かる時間帯までリードを維持した。
しかし、78分に左のCKを得たインテルが同点とする。ニコロ・バレッラの右足からのボールをエースのラウタロ・マルティネスが背面気味のシュートで決める。
「非常に残酷な結果になってしまった」と浦和のGK西川周作も認めるように、すでにリーベルプレートに敗れていた浦和に、2試合での敗退を突きつけるインテルの逆転ゴールだ。
もちろん、ゴール前でのクリアやフィニシャーに対する寄せなど、局面での対応の問題はあるが、それとは別の敗因が考えられる。
ローブロックで守備を固めるのは良いが、後半の途中からはあまりにも引きすぎて、ペナルティエリアにラインが吸収されてしまったこと。もう1つは、ボールを奪った後の攻撃時間が短く、インテルに持続的な攻撃を許したことだ。
ボランチで奮闘したサミュエル・グスタフソンは、「相手は非常にゲームをコントロールしていました。やはり日本のJリーグとはちょっと違うような、慣れていない形でもありました。ローブロックで本当によく耐えたと思いますが、そこから抜けることができなくて、やはり最終的には難しい試合になってしまいました」と振り返った。
インテルはトルコ代表のMFハカン・チャルハノールなど、本来の主力を何人かを欠く状況だったが、早い時間にリードを許しても、全体を押し上げながら、左右のウイングバックを高い位置に上げてボールをワイドに動かし、アルバニア代表MFのクリスチャン・アスラーニなどが、サイドチェンジを織り交ぜながら攻めてきた。
浦和は4バックだが、3バックの相手にはアウトサイドの上がりにサイドハーフが付いていくのが、基本的な約束事になっている。
それを繰り返されるなかで、浦和は自陣で6バックを敷くような時間帯が増えて、ミドルシュートで直接ゴールを狙われてもおかしくないところまで、ラインを下げる傾向だった。
それでもセンターバックのマリウス・ホイブラーテンとダニーロ・ボザを中心に、身体を張る守備で何とかシュートを跳ね返していたが、ボールを奪ってもすぐ失ったり、縦に急ぎすぎて前線が孤立してしまったりという状況で、攻守の切り替えが素早いインテルのプレッシャーから抜け出せなくなってしまった。
もっとも、何とか耐えていたが、決勝ゴールを挙げたカルボーニも含めて、クリスティアン・キブ監督が切る交代カードは実に効果的であり、逆に浦和サイドは選手交代に効果を発揮できなかった。
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最終的にはインテルが80%以上のポゼッションを記録したが、ほとんどの時間をインテルが攻撃することで、浦和の心身の消耗も激しくなっていたようだ。
終盤の2失点も浦和の守備が完全に決壊したわけではないが、これだけ攻められ続けると、どこかに歪みは出てしまう。そしてCLファイナリストでもあるインテルのような相手は、そうしたものを見逃してくれない。
グスタフソンは「集中は問題ないです。みんなオーガナイズしていた。ただ、相手の勢いが常にあって、我々は引き気味だったり、振られたりで、そこが大きなポイント。90分、それが続くと、このような結果が生まれてしまいます」と語り、さらに「我々にもチャンスはありました。ただし、このような試合、たとえば20回、インテルと戦ったら、あのようにコントロールされて、難しい試合がほとんどだと思います」と加えた。
マチェイ・スコルジャ監督としてはチーム力の差を認識したうえで、10回やったら1回か2回、勝てれば良いという相手に対して、この1回しかない対戦で勝利を掴むために、できる限りのことをした結果であることは分かる。
ただ、そのなかでリードを奪ってからも引いて守るだけでなく、攻撃に出ていくことで相手を一時的に下げたり、連続性のある攻撃をさせなかったりと、そうできることはある。
こうした国際舞台で、自分たちよりチーム力が上回る相手と戦う場合、ディフェンスの安定が勝利のベースになることは間違いないが、いかに攻撃にも出ていくかで、守備の時間や相手の攻撃の厚みも大きく変わってくる。
この日の浦和がそれをできなかったのは、内的要因も外的要因もあるはずだが、ここを改善していかないと、こうした舞台で上に行くことは難しい。それが浦和の頑張りによって、むしろ浮き彫りになったことは浦和、そしてJリーグ勢が糧にしていくべきだろう。
取材・文●河治良幸
