インドネシア戦で久保と交代してピッチに入った佐藤。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 2023年8月26日、当時FC東京U-18所属の佐藤龍之介がプロ契約を締結。2017年11月1日にFC東京とプロ契約した久保建英と同じ16歳(佐藤の生年月日は2006年10月16日)での決断だった。

 その会見で「久保選手を意識することはありますか?」との著者の質問に佐藤は次のように答えていた。

「(久保と)比べられるのは恐れ多いというか、まだまだ比べられる存在ではありません。ただ、目指す場所でありますし、久保選手はプロ契約時点ですでにJ1の試合に出場していて、ゴールも決めているということなので、到底追いついていませんが、ここから努力して近づけるように頑張りたいです」

 それから約1年10か月。2025年6月10日に開催された北中米ワールドカップ・アジア最終予選のインドネシア戦(日本が6−0で勝利)、69分に18歳の佐藤が笑顔で久保とタッチしてピッチに入ろうとする。かつて“到底追いついていなかった”選手との特別な時間だった。
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 交代の瞬間、佐藤は久保と「一緒にプレーしたい思いがあった」。ただ、何かを感じ取ってもいたようで、「意味がある交代とも思いました」とコメントしている。

 これまで辿ってきたキャリアがこの交代シーンを演出したのか。それは神のみぞ知るところだが、特にFC東京のファン・サポーターにとっては感慨深い瞬間だったはずだ。

 「交代の時、久保選手に何か声をかけられましたか」と聞くと、本人はリラックスしたような表情で回答してくれた。

「なんか楽しんでみたいな、正確には覚えてないですが、一言声をかけられた気がします」

 いずれ佐藤がA代表でキャリアを築いたとき、今度は佐藤が“後輩”に「楽しんで」と声をかける時が来るだろうか。とにかく、佐藤にとって久保との交代の瞬間は特別なものだった。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)