自動走行モビリティで“ゆったり”と移動 高輪ゲートウェイシティ、ワクワクする新たな“駅前”が誕生!

JR東日本が推進する山手線・京浜東北線「高輪ゲートウェイ駅」(東京都港区)を中心とした再開発エリア「TAKANAWA GATEWAY CITY」(高輪ゲートウェイシティ)の一部が2025年3月27日に開業した。イノベーション(革新的な事象)や文化を生み続ける「100年先の心豊かなくらしのための実験場」をコンセプトとし、構想から20余年を経て誕生した。2026年春には現在建設中のすべての建物が完成・グランドオープン予定だが、今回オープンした箇所で注目した施設やお店をご紹介する。
日本と世界への玄関口・グローバルゲートウェイ
約150年前の江戸時代、高輪の地はまだ海で、江戸と日本各地を結ぶ玄関口(ゲートウェイ)の役割を果たしていた。
1872年に新橋〜横浜間で日本初の鉄道が開業した際には、海上に高輪築堤が造られて線路が通っていた。日本の築城土木技術と西洋の機械技術が交わり、イノベーションが生み出された場所だ。

そんな場所に造られた高輪ゲートウェイシティ。国内外の様々な共創パートナーを持ち、あらゆる人や文化、テクノロジーをつなぎ、アイデアやサービス、知をかけ合わせて、地球も人も健康であるための良い未来を作る新たなソリューション(解決策)を生み出すという。
「TAKANAWA GATEWAY CITYまちびらき前見学会」は、JR東日本マーケティング本部まちづくり部門の出川智之さんの力強い言葉から始まった。
「JR東日本グループは、このような交流とイノベーションの記憶を受け継ぎ、日本各地・世界への玄関口、グローバルゲートウェイとして交流を生み出し、次の100年を見据えた未来のイノベーションへとつないで参ります。
高輪ゲートウェイシティは『100年先の心豊かな暮らしのための実験場』です。この街に関わる様々な共創パートナーが持つアイデア、サービス、知をかけ合わせ、より良い未来に資する新たなソリューション(解決策)を生み出していく。そして、国内外からフィードバック(反応)を得て進化させ、多様な社会課題を解決し、未来に向かって共創し続ける街でありたいと思います。国内外のあらゆる人、文化やテクノロジーをつなぎ、良い未来を作っていきます。その先に目指しているのは地球益の実現です。地球も人も健康である未来を目指して、街で生み出される活動が地球にポジティブに貢献していく地球益の実現に取り組んでまいります」

オフィスやレジデンス(住居)を併設しており、KDDIやマルハニチロ(2026年3月、「Umios(ウミオス)」に社名変更)といった国際的な企業の本社が移転予定で、約2万人のオフィスワーカーが集うとされている。今回オープンしたツインタワー「THE LINKPILLAR 1」(ザ・リンクピラー1)のオフィスエリアはほぼ満床、「THE LINKPILLAR 2」(ザ・リンクピラー2)も含めると約8割の賃貸業務が完了しており、同社が推進する共創という理念に理解を持つ企業が入るのだとか。

国際水準を満たした高層・高級レジデンスは、外国人ビジネスワーカーにも対応。500戸超の部屋はすべて賃貸で、部屋の大きさやグレードによって変わるが、最も高額な物件の賃料はひと月100万円オーバー、なかには数100万円にのぼる部屋もあるという。国際的な高水準の教育需要に対応したインターナショナルスクールも入居する。
さらに2025年10月には、ホテルチェーン「マリオット・インターナショナル」の最上位となるラグジュアリーブランド・JWマリオット・ホテル東京が23〜30階に開業予定。スイートを含む200の客室、7つのレストラン・バー、屋内プールやスパ、宴会場などを擁する。
「ザ・リンクピラー1」北棟の6階と7階には、「Link Scholars’ Hub」の各語の頭文字から取った「LiSH」(リッシュ)が入っている。100社以上のディープテック(社会に大きなインパクトを与える発見や革新的な技術)分野のスタートアップをサポートする拠点となり、ビジネス創設プログラムを実施。東大医学部発のメディカル・スリープテック企業の「ACCELStars」(アクセルスターズ)や環境課題の解決に取り組む「イノカ」などが研究を行っている。環境やヘルスケアなどに関する基礎研究を行う実証実験部屋が用意され、オフィスワーカーや住民などに還元されるという。
駅前に広がる噴水を有した広場「ゲートウェイパーク」でも各種イベントや実証実験が展開され、多様な交流が開催される予定だ。

「100色の道」は美しい
なお、高輪ゲートウェイ駅の南改札を抜けると目に飛び込んでくるのは、東京在住のフランス人建築家でアーティスト、デザイナーのエマニュエル・ムホー氏が手がけたゲート型のアート「100色の道」だ。「100colors」は同氏の代表作であり、ニューヨークやパリ、ドバイなど世界各地で見ることができる。展示期間は2025年7月21日(月・祝)まで。

植栽から服部隆之氏が手掛けたオリジナルテーマ曲
「ゲートウェイパーク」の植栽には19本の高性能スピーカーが設置され、NHK大河ドラマのテーマ曲などを手がけた作曲家・服部隆之氏のオリジナルテーマ曲が流れる。演奏は高輪に拠点を構えるNHK交響楽団によるものだ。
色とりどりの美しい作品と素晴らしい音楽に、心は思わず高揚するだろう。
日本で初めて鉄道が走った光景をARで再現、空飛ぶクルマの展示も
「ザ・リンクピラー1」にある屋外スペースの「高輪リンクスケープ」にはかつて海の上を鉄道が走った場所とほぼ同じ位置にレールを敷設。先端技術を活用し、日本で初めて鉄道が走った当時の風景を感じられるAR(拡張現実)プログラムが楽しめる。
「かつて海の上を鉄道が走った場所とほぼ同じ位置にレールを敷設したり、発掘された築堤の石を植栽帯に活用したりと、150年前の記憶を今につなげてまいります。ベンチの素材には鉄道林の木材を使用するなど、当社ならではのランドスケープ(環境整備)を施しています」(出川さん)
この場でしか出来ない体験を通じて、この土地の歴史を新たな形で継承している。ぜひQR コードを読み込んで試してみてほしい。

その並びにある交通広場には空飛ぶクルマの1/3模型を展示。2028年の商業開始を目指し、発着拠点を作る。国内旅行のあり方が大きく変わるだろうというワクワク感に溢れている。
JR東日本マーケティング本部まちづくり部門の天内義也さんは、「空飛ぶクルマについては、商用化されれば、交通手段がつながっていない観光エリアがたくさんありますので、例えば、東北の南三陸に生のウニを食べに日帰りで行くといった新しいビジネスの拠点にしていきたいと考えています。地域の交通の足としても役立てられたらと、現在、港区と一緒に『みなのり』という、タクシーによる新しい移動サービスとして実証実験を進めています。
細い道や坂が多い高輪エリアの皆様の課題を解決していくために、マイクロバスよりも小型の車両を循環させることで、より効率的にお客様を目的地に届けます」と言う。
今後は、鉄道・タクシーはもちろん、路線バスや高速バスなど、さまざまな交通網がここに集う計画だ。

もちろん、鉄道での旅がより充実するようなサポートをしてくれる施設も。「高輪ゲートウェイ トラベルサービスセンター」は「ザ・リンクピラー1」北棟1階に設置されている。
東日本旅客鉄道株式会社 執行役員 マーケティング本部まちづくり部門長の高木浩一さんはこう話す。
「旅をデザインする新観光拠点『トラベルサービスセンター』では、チケット手配は当然のこと、新しい形のご案内の仕方を考えています。大型タッチサイネージに触れることでお気に入りの場所が表示されたり、いずれ実装される予定ですが、10年後の自分の顔が出てきて、その10年後の自分が、今の自分に合った旅行先を案内するといった、新たな取り組みを行っていこうと進めております。東日本エリアや高輪エリア、日本各地をつないで旬の情報を発信するなど、魅力的な国内旅行を提案してまいります」
開かれた空間でフリーで楽しむ未来型アクティビティ
山手線内に南北約1.6kmに渡る高輪ゲートウェイシティでは、水素由来の電気により充電された環境配慮型の自動走行モビリティ「iino」(イイノ)が走行している。将来的には、東京ドーム3個分となる街を行き来することになる。現在は屋外2階のビルをつなぐ広場ゲートウェイパークで5台が走る。
3人乗りのこのモビリティは自由に乗り降りすることができ、センサーで周りの障害物を検知して譲り合いながら進む。
とても素敵だと思ったのが、時速4kmという歩き程度の速度で走行していること。忙殺される日々を送る方が多いからこそ、広場の空気を受けながら、ゆったりとした気分になるのではないだろうか。
「Slow」と書かれているセンサーに手をかざすと時速は0.7kmまで落ちる。万が一急に人が出てきたり、障害物があったりしても検知して止まるので安心だ。
5台は「Kiha」、「subi」、「teyu」、「mete」、「kito」という、あえて存在しないと思われる2文字の名前が付けられ、語尾の母音があいうえおで統一されている。名前で呼ぶとますます愛着が湧く。
運行時間は10時から17時となっている。

「ザ・リンクピラー 1」のB2F「高輪ゲートウェイシティ未来体験シアター」では、無料で来年春のグランドオープンから先の未来を圧巻の映像美とストーリーで描いている。2024年開催の横浜アリーナ単独公演を発売後3分で即完させたオルタナティブロックバンド「羊文学」による書き下ろしの楽曲にも心躍った。開催期間は2025年6月28日(土)まで。混雑時は整理券の配布になるが予約不要でフラッと入れるのは魅力だ。

期間限定のイベントが目白押し!
「マチとマチの出アイ」、「マチへのアイを語る」場所というテーマで造られている「マチアイ」というイベントスペース。
5月6日(火)までは、港区の魅力を発信すべく、港区内のコーヒーやパン店やビールやワイン、日本酒などの醸造所のお酒といった様々なラインナップが一堂に介する。コーヒースタンドや角打ちスペースなどもあり、良質なものに触れたいときにピッタリだ。
なお、5月中旬からは廃棄になってしまう花を利用したロスフラワーをテーマにした提案を計画中なのだという。これらは、高輪ゲートウェイシティが掲げるサステナブルやラボ、アートといった様々な切り口から展開される。 テーマは半月からひと月程度で入れ替わっていく予定だ。

ハイエンドな価値観とサスティナビリティが共存する “HIGH-STAINABLE”をコンセプトにした複合型イベントスペース「ZERO-SITE Takanawa Gateway」。平日夜はナイトミュージアムバーとして、週末夜はミュージックバー/クラブとして、国内外で活躍するDJのプレイなどが楽しめる。お酒やフードは環境配慮型のエシカルで上質なものを提供。
3階には日本初上陸となる「DANLEY SOUND LABS」のサウンドシステムを導入。高い解像度と革新的な新機構で繊細かつ迫力のあるサウンドにより、深い音楽体験につながるはずだ。
2階はクリアな音質でトップDJからの支持も厚いイギリスの音響機材メーカー「VOID ACOUSTICS」によるサウンドシステムを構築するなど、ミュージックラバーにはたまらない空間となっている。開催期間は2025年7月31日(木)まで。

「MAISON CLASSIC」はさまざまな楽しみ方を提案
高輪ゲートウェイシティ内のあちらこちらには腰をかけられるスペースが点在。そんな場所でホッとひと息つきながらいただきたいのが3つの業態を展開する「MAISON CLASSIC」(メゾンクラシック)による逸品だ。
改札内に位置するカフェと、駅構内を見渡すことができる3階のシュークリーム工場、ティーサロンとなっている。
カフェでは自家焙煎したコーヒーや濃厚な味わいのジェラート、階上の工場で焼き上げた、焙煎玄米粉とフランスパン専用粉をブレンドしたサンドイッチなどが楽しめる。
テイクアウト専門のシュークリームは、とろりと柔らかなホイップクリームとカスタードクリームが入る「クラシック」(555円)がベース。そこに強力粉を加えることで、生地を硬めに仕上げた「モダン」(580円)、「ストーン」(580円) の計3種類。
「モダン」と「ストーン」は厚みの異なるサブレ生地をシューの上に被せることで、ザクザクの食感を演出している。「モダン」のシュー生地を使い、11時から2時間おきで60食ずつ、計240食の数量限定商品が「ブリュレシュークリーム」(780円)がレコメンドメニューだ。
それぞれの中のクリームも異なるのでいろいろ試してみたくなる。
「クラシック」と「ブリュレシュークリーム」を食べてみたが、生地の美味しさが実感できつつもふんわりとしていて、中のクリームもエアリー。とても軽やかにいただけるので、何個でも食べられそう。

「MAISON CLASSIC FACTORY」(メゾンクラシックファクトリー)のシュー生地を使ってパンケーキを焼き上げているのが、その向かいにあるティーサロンだ。パンケーキはもっちりとして食べ応え十分なんだそう。最初はそのままで、あとは好きな具材をのせてお好みでいただきたい。しょっぱいものと甘いパンケーキでは生地の味を変えているのとか。
ティーサロンでは基本の「クラシック サロン ド ティー」(1000円)をはじめ、全13種類のティーメニューを置く。「トップ アップ ティー」(2200円)は90分間、いろいろな茶葉が飲み放題なのだそう。

『NEWoMan TAKANAWA』で先行オープンしていた2店舗
2026年春には約200のショップがオープンする「NEWoMan TAKANAWA」(ニュウマン高輪)。「ザ・リンクピラー 1」南棟の「BLUE BOTTLE COFFEE」(ブルーボトルコーヒー)では、バリスタが丁寧に淹れたコーヒー(583円〜)の豊かな味わいと香りが楽しめる。なかでも高輪カフェ先行発売という「バナナパウンドケーキ」(702円)の美味しさが印象的だった。
このニュウマン高輪はルミネの商業施設だが、ルミネといえば20代、30代の女性がメインターゲット。しかし、そこにプラス男性や成熟した方々など幅広い年齢層に向けた施設づくりが進められている。
「高輪の方々に向けた商品、サービスを提供してまいります。高輪は大型スーパーやカフェなどの機能が欠落しているエリアだと認識しており、お住まいの方々に日々の暮らしにプラスアルファの提案ができるような商店街を整備してまいります。温浴施設といった体験型を伴う新しい形での展開を予定しています」(出川さん)

また豊かな時間が過ごせること間違いなし!と気になったのは「ザ・リンクピラー 1」北棟は「Nicolai Bergmann Takanawa」(ニコライバーグマン高輪)のフラワー、カフェ、スクール、リビングの4つのテーマを組み合わせた店舗だ。高輪店限定のフラワーボックス(5500円〜)だけでなく、日本や北欧から厳選したコーヒーやお茶、オリジナルのフルーツバー(各486円)なども並ぶ。
フラワーデザインスクールも行われる予定で、仕事帰りにお花と触れて自宅に飾ったり人に差し上げたりすることで、日頃の疲れもきっと癒やされるだろう。
この2店舗ともオフィスに隣接しているので、ちょっとしたブレイクタイムやプレゼントを探したいときなどにもすごくいい。

いずれにしても、インバウンド(訪日外国人客)にも受けるに違いない。
高輪ゲートウェイシティについて、高木さんは改めて次のように話す。
「100年先の暮らしを見据えた街づくりをビジョンに掲げています。土地の歴史を継承しつつ、新しい価値をどう創造し、街の価値を高めていくかということをしっかりやっていきます。街づくりにおける鉄道会社の取り組みは、やはり駅・街が一体ということ。山手線の内側で、13ヘクタールという規模での開発はおそらく後世にないのでは。鉄道という、1700ある駅で日本各地が物理的につながっている、あるいは1日1500万人の方のご利用があるなかで、新幹線を含めて鉄道で地方各地とつながる、この広域でのネットワークの街づくりが、当社らしい特徴だろうという思っています」
まだまだ発展を続ける高輪ゲートウェイシティ。利便性の高い場所でワクワクに満ちた時間を過ごせることだろう。
『イベントスペース マチアイ』(高輪ゲートウェイ駅南改札外2階)
営業時間:平日11:00〜21:00、土日祝11:00〜19:00
『MAISON CLASSIC CAFE』(高輪ゲートウェイ駅南改札内2階)
営業時間:月〜土7:00〜21:00(L.O. フード20:00 /ドリンク20:30)、日祝8:00〜20:00(L.O. フード19:00 /ドリンク19:30)
『MAISON CLASSIC FACTORY』(高輪ゲートウェイ駅南改札外3階)
営業時間:月〜土11:00〜20:00、日祝11:00〜19:00
『MAISON CLASSIC SALON』(高輪ゲートウェイ駅南改札外3階)
営業時間:月〜土11:00〜23:00(L.O. フード22:00 /ドリンク22:30)、日祝11:00〜22:00(L.O. フード21:00 /ドリンク21:30)
『BLUE BOTTLE COFFEE』(NEWoMan高輪 South)
営業時間:11:00〜17:00
『ZERO-SITE Takanawa Gateway』(ZERO-SITE高輪ゲートウェイ)
期間:2025年3月27日〜7月31日
営業時間:17:00〜23:00
※3月27日のみ12:00〜23:00営業
※日曜休業(イベントにより不定期で日曜営業有)
文・写真/市村幸妙
いちむら・ゆきえ。フリーランスのライター・編集者。地元・東京の農家さんとコミュニケーションを取ったり、手前味噌作りを友人たちと毎年共に行ったり、野菜類と発酵食品をこよなく愛する。中学受験業界にも強い雑食系。バンドの推し活も熱心にしている。落語家の夫と二人暮らし。


