1億5000万円が当せんした京都・蓮久寺の三木大雲住職

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 ある日突然、大金を手にした男たちは幸せになれたのか。宝くじ「高額当せん者」に、“その日” 以降を振り返ってもらった。

「おーい、大雲(だいうん)。俺や。バラや。バラ買うてこい」

 2019年1月、三木大雲住職の夢に出てきた大黒様は、関西弁で「バラ」を求めた。

 創建360年を超える蓮久寺(京都市)は廃寺寸前で、震度3程度の地震で全壊しそうな状態。三木住職は、「教えを広め、拝む場所を提供したい」と、仏に祈ったことがあったのだ。

 三木住職は眠りから覚めて、頭を抱えた。

「バラってなんやろう? と。周囲の人と相談し、『バラ肉』もしくは、『薔薇』ではないかと。大黒様は関西弁だったので、『それは絶対お肉や!』となったんです(笑)」

 だが、三木住職がバラ肉を買いに出かけた「スーパーマツモト」の精肉売場の従業員は、首をかしげて返した。

「大黒様が言うのなら、宝くじのことちゃいますか?」

 スーパーの向かいには、宝くじの販売店ができたばかり。三木住職は導かれるように、宝くじ売場へと向かった。

「バラをください」

 初めて宝くじを買う三木住職は、販売中のくじから、七福神のイラスト入りの「初夢宝くじ」を選んだ。バラを10枚購入して、車のダッシュボードへ入れて3カ月。また夢を見た。

「大雲、 “お金の実” を早く取りに行かんと腐るぞ!」

 正月に買った宝くじのことを思い出し、未開封のまま窓口へ持ち込んだ。

「もうこの時点で当たっていると思っていました。これが私のお金だったら、『やったー!』となる可能性はありますが、蓮久寺の仏さんに言われて買っているから、お使いみたいなもんです」

 1等1億5000万円の当せんを知らせる店員の手はガクガクと震えていたが、住職は平常心だった。

「職業柄、私は我欲や執着を手放すことができました。でも一般の方々は難しいでしょう。私にとっても、振り込みまでの1週間は心を落ち着かせ、整える期間になったと思います」

 当せん金で当初の予定どおりトイレや本堂を改修。新たに家4軒ぶんの土地を購入し、駐車場を造った。

「これから本堂も直すんですけど、お寺はちょっといじるとすごいお金がかかるので、最終的には借金ができます(笑)」

 後日、住職は宝くじ購入をアシストしてくれた精肉売場を訪れた。

「じつはあのときに買った宝くじが当たっていたんです」

「え? 私、そんなことを言いましたっけ?」

写真・馬詰雅浩