見た目そのまま内面一新 ボルボC40 リチャージ・シングルへ試乗 航続距離476kmへ
新開発の駆動用モーターで後輪駆動へ
内燃エンジンから電気モーターへの転換は、自動車業界での当たり前も覆そうとしている。これまでモデル中期のフェイスリフトといえば、スタイリングやインテリアの刷新が中心だった。しかしボルボC40 リチャージの場合、見た目は発売当時のままだ。
【画像】見た目そのまま内面一新 ボルボC40 リチャージ・シングル 競合クラスのBEVと比較 全128枚
しかし、それ以外の部分へ確かな改良が加えられた。外見に騙されてはいけない。特に電動パワートレインのアップデートは大々的といえ、今回試乗したシングルモーターの場合、駆動輪がフロントからリアへ変更されている。

ボルボC40 リチャージ・シングル(欧州仕様)
ちなみに、ボルボで後輪駆動を選択できるようになったのは、25年前に生産終了を迎えた940以来。バッテリーEV(BEV)のダイナミックな進歩と、クラス内での激しい競争をうかがわせる内容ともいえる。
ボルボXC40とボディ違いの兄弟モデルといえるC40は、航続距離や電費、急速充電能力などで、同価格帯のモデルでは少々遅れを取っていた。そこで大型SUV、XC90の後継モデルとなるEX90の技術などを活用し、実力を大幅に高めてきた。
C40のリアアクスルを動かす新開発の駆動用モーターは、EX90ではフロントアクスルを担当するユニット。従来は社外品を用いていたが、今回は独自開発のアイテムで、トランスミッションと一体になった構造により電費効率も高めている。
穏やかな走りが似合うクロスオーバー
駆動用バッテリーは冷却システムがアップデートされ、最も高効的に働ける温度へ保たれるようになった。DCで最大130kWまでと、充電速度も高速化されている。ただし、テスラ・モデルYは250kW、ジェネシスGV60は350kWまで対応させているが。
C40のシングルモーター仕様、リチャージ・シングルの場合、駆動用モーターとバッテリーには2種類が用意される。1つが238psの最高出力と67kWhの容量が組み合わされたもの。もう一方は、251psに79kWhが組み合わされたものとなる。

ボルボC40 リチャージ・シングル(欧州仕様)
英国へ導入されるのは前者のみ。今回試乗したのは、開発終盤のパワフルな後者だった。
ボルボの塗装色を記憶していない限り、マイナーチェンジ後のC40だと見た目から判断することは難しいだろう。とはいえ、スカンジナビアン・デザインの上品さを漂わせるスタイリングは、今でも新鮮さを保っていると思う。
前輪駆動から後輪駆動へ変化したとしても、運転体験に大きな違いが及んでいるわけではない。落ち着いた色調のボディカラーのように、穏やかな走りが似合う。
実際のところ、アクセルペダルを強く踏んでリアタイヤが蹴る振る舞いを体感しない限り、駆動輪が違うこと自体も気づきにくい。リアタイヤが主体の、活発なコーナリングを楽しめるわけではない。
航続距離は476kmへ ライバルと互角に競える
ステアリングの反応は若干シャープさを強め、コーナリング時のバランスが少し改善している。それでも、C40は快適な乗り心地で安楽に目的地まで移動したい、従来どおりのコンパクトなボルボだ。
エネルギー効率は向上している。リチャージ・シングルのカタログ値での電費は5.6km/kWhから5.9km/kWhへと、1kWh当たりで走れる距離が300mほど伸びている。1度の充電で走れる航続距離は、437kmから476kmへ約40kmも長くなった。

ボルボC40 リチャージ・シングル(欧州仕様)
もっとも、シングルモーターのC40の場合、効率の伸びは小さい。ツインモーターのリチャージ・ツインでは、違いは更に大きい。航続距離は447kmから550kmへ、110km以上も長くなっている。
筆者が試乗したのは、比較的気温の低かったスウェーデンだったが、メーター用モニターには5.9km/kWhの電費が示されていた。ジェネシスGV60やアウディQ4 スポーツバックeトロンといったライバルと、互角に競える数字といえるだろう。
見た目はそのままのマイナーチェンジだが、内面で得た進化はかなり包括的。本来C40が備える長所にはまったく手を加えず、短所といえた部分をしっかり改善させている。筆者なら、お手頃で実用性で勝るXC40を選ぶとは思うけれど。
ボルボC40 リチャージ・シングル(欧州仕様)のスペック
英国価格:4万8355ポンド(約778万円)
全長:4431mm
全幅:1850mm
全高:1582mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:7.3秒
航続距離:476km
電費:5.9km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1977kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:79kWh
急速充電能力:130kW(DC)
最高出力:251ps
最大トルク:42.7kg-m(システム総合)
ギアボックス:シングルスピード・リダクション
