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定期的なグリスアップがメンテの第一歩

オースチン・セブンは、軽量化を強く意識して設計されている。必要なメンテナンスの頻度は、現在のクルマの比ではないほどに高い。すべてのポイントへ定期的にグリスアップすることが、まずその第一歩となる。

【画像】クルマ産業へ偉大な貢献 オースチン・セブン 同年代のモデルと比較 ヒーレー100も 全128枚

トランスミッションは、かなりギア比が低かった。日常的な運転でも、4速MTでは3速と4速の出番が非常に多い。3速MTなら、ほぼトップに入れっぱなしになる。


オースチン・セブン(1922〜1939年/英国仕様)

696ccか747ccの直列4気筒エンジンはトルクが充分にあり、粘り強く柔軟に走る。調子が良ければ、回転数の変化などに気難しいことはない。

パワー不足を感じる場合は、点火タイミングの微妙なズレや、キャブレターの不調が原因のことも少なくない。排気ガスが青白く煙ったり、エンジンオイル漏れが酷かったり、始動性が極端に悪い場合はエンジンのリビルトを考えたい。

オースチン・セブンの部品は、英国では今でも簡単に入手できる。専門ガレージやオーナーズクラブなどの環境も整っており、ベアリングのリビルドなども対応可能だ。

エンジンは耐久性に長けるとはいえず、別のユニットへ載せ替えられている例も多い。セブン・オーナーの間では、エンジン・スワップは特に珍しい作業とはいえない。

生産が後年の方が運転しやすい

モデルライフを通じて、オースチンによる細かな改良が頻繁に施されてきた。エンジンスターターは、1931年9月にトランスミッション・ボックスの上からエンジンの横側へ移動している。そのため、新しいクランクケースも採用されている。

トランスミッションは、変速時にギアの回転数を調整するシンクロメッシュが装備された後期型より、初期型の方が頑丈だった。クラッチは、1936年8月以降からフリクション・プレートが変更され、つながりやすくなっている。


オースチン・セブン(1922〜1939年/英国仕様)

ワイヤーで操作する初期のブレーキは、ワイヤーの伸びや部品の摩耗が原因で、本調子の時ほど効かない場合も珍しくない。オイルやグリスでブレーキシューが汚れても、効きが弱くなる。ボディが重くなるほど、顕著に制動力へ影響が出ていた。

1938年からは、ロッドブレーキへ変更されている。これらの改良で、生産が後年なほど運転しやすいといえる。

今回ご登場いただいたセブンは、1932年後半に作られたボックスサルーン。基本的な構造は多くのセブンと共通しているが、10年前の発売当初と比べると、ほぼすべての部品が変更されている。

ホイールベースは初期型より約150mm長い。車内空間を広く取れ、大きなドアのボディを載せられるようになっている。

これから探す場合は、大事に乗られてきたセブンを時間を掛けて探したいところ。オーナーになったら、ぜひこれまで同様に大切にして欲しい。

購入時に気をつけたいポイント

シャシーとボディ

シャシーは、リアのサスペンション・スプリングのマウント付近が錆びやすい。スチール製ボディパネルの内側には、木製フレームがある。角の接合部分やドアの開口部、窓の周辺は腐りやすい。

ボディパネル自体は、フロント・バルクヘッドやリアの角、ドアの下部、フロントフェンダーの付け根、ボディサイドのランニングボード付け根、サンルーフ、排水用チャンネル材などが錆びやすい。アルミ製ボディは、サイドシルがひび割れることがある。

エンジン


オースチン・セブン(1922〜1939年/英国仕様)

シンプルな直列4気筒エンジンは、あまり堅牢なユニットとはいえない。モデルライフを通じて改良が加えられ、最高出力は当初10.6psだったが、後期では17.2psへ向上している。しかし、メンテナンスやセットアップで大きな違いも生む。

排気ガスに混じる白煙やエンジンオイル漏れ、純正以外の部品、キャブレターやディストリビューターの状態などに注意したい。リビルド用の部品は、英国では簡単に入手できる。

トランスミッション

初期の4速MTには、シンクロメッシュが装備されていなかった。ダブルクラッチでの変速は不可欠といえる。

距離を走るほど内部摩耗も進む。過度なノイズや振動、フルード漏れがないか確かめる。トルクチューブは、プロペラシャフトのエンドフロートの状態がチェックポイント。

サスペンションとブレーキ、ステアリング

車体を浮かしフロントタイヤをゆすり、キングピンの摩耗を確かめる。ホイールベアリングやブレーキライニングの状態も確認したい。

ステアリングラックに亀裂がないか観察する。サーキットで開かれるクラシックカー・イベントに参加するなら、ブレースでの強化が必要。

インテリアと電装系

現在まで生き延びたセブンの場合、内装は殆どが張り直されている。作業内容と素材や部品が妥当か確かめたい。空気で膨らむシートクッションは、座り心地が良い。

オースチン・セブンのまとめ

オースチン・セブンの仕様は多岐に渡り、同じボディのセブンと出会うことは英国でも殆どない。これまでの100年で整備が繰り返され、何人ものオーナーや整備士がオリジナルへ拘らず部品を選んできている。

細部に至るまでオリジナル状態を保っている例には、かなりの高額がつく。だが、クラシックな乗用車として運転を楽しむ程度なら、それにとらわれず状態の良い例を探す方が賢明。比較的手頃に、1世紀前のクルマと一緒のカーライフを堪能できる。

良いトコロ


オースチン・セブンと当時の生産工場

英国には友好的なオーナーズクラブと複数の専門ガレージが存在し、部品も入手しやすい。アップグレードされた新品のクランクシャフトすら手に入る。維持のための体制は手厚い。シンプルで信頼性が高く、運転が楽しい。

良くないトコロ

多くのオースチン・セブンが、オリジナル状態を保っていない。小柄なボディで運転には一癖あり、乗り手を選ぶことは確かだ。

オースチン・セブン(1922〜1939年/英国仕様)のスペック

英国価格:165ポンド(チャミー仕様/1923年時)
生産台数:29万924台
全長:2621-3023mm
全幅:1170-1295mm
全高:1475mm
最高速度:67-88km/h
0-97km/h加速:−
燃費:14.2-18.4km/L
CO2排出量:−
車両重量:432-635kg
パワートレイン:直列4気筒696/474cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:10.6ps/2400rpm-24.3ps/5000rpm
最大トルク:−
ギアボックス:3速/4速マニュアル