2023年スマートウォッチのキラー機能は「健康」へ! 次に期待されるのは血圧測定でしょ
最近ではアプリの利用よりも、運動データや心拍数などを測定する機能に注目が集まりつつある。つまり
・アクティビティートラッカー
・ヘルスケアデータ収集
としてスマートウォッチを使う人が増えている。
このコロナ禍では肺炎の初期を検知できる血中酸素濃度の測定もスマートウォッチの基本機能になっており、健康により気を使う人も増えた。
スマートウォッチで様々なヘルスケアデータが取得できるようになった今、次に期待されているのは血圧測定機能だろう。

スマートウォッチは運動管理やヘルスケア機能への注目が高まる
血圧の測定は、一般的には専用の血圧計を使う。血管を圧迫・解放することで血圧を測定できるのだ。
誰もが血圧を測った経験はあるだろうが、血圧計は腕を使って測定する。
このため医療機関の設血圧計はかなり大きい装置となる。
また家庭用の血圧計は腕に巻きつける「カフ」を薄くすることで小型化されているが、持ち運んで使えるほどには小さくない。手首に装着できる血圧計もあるが、常時つけたままにしておくには大きすぎる。
しかしスマートウォッチで血圧が測定できたとしたらどうなるだろうか?
いつでもどこでも、自宅でも外出先でも、毎日決まった時間に手軽に血圧測定が可能になるのだ。これは今までの血圧計ではできない、画期的な機能と言える。
実はすでに血圧測定可能なスマートウォッチはいくつか市販されている。血圧測定方式には
・血圧計と同様の血管を圧迫するカフを使ったもの
・心拍数とセンサーによる血流の測定から推測する光学センサー式
この2通りがある。
カフを使った血圧測定は「オシロメトリック法」と呼ばれ、医療機関で計測する血圧とほぼ同等の正確な測定データを得ることができる。
日本でも販売されているオムロンの「HeartGuide(HCR-6900T-M )」はその代表的な製品で、医療機器とも認定されている。外観は普通のスマートウォッチだが、時計の裏側とベルトの内側に小型のカフが装着されており、血圧を測定するときは実際に血管を圧迫して測定することができる。

オシロメトリック法のオムロン「HeartGuide」
またファーウェイが海外で販売中の「HUAWEI Watch D」も同等の構造で、HeartGuideと同様に、正確な血圧測定ができる。
とはいえどちらの製品もカフを内蔵することから耐久性は気になるところ。
カフ部分を傷つけてしまえば故障してしまうという懸念点がある。
また運動中に汗をかいたときの装着感なども気になるところだ。
なおファーウェイはカフと空気を送るチューブそれぞれを別売し、故障時も自分で修理できるようにしている。
また何よりも気になるのが価格が割高であること。カフを取り付け腕時計の中からポンプで空気を送るという構造のため、一般的なスマートウォッチよりも高価なのだ。2製品の価格は、
・HeartGuide:10万円前後(日本の価格)
・HUAWEI Watch D:6万円程度(海外販売価格)
このように気軽に買おうと思うにはちょっと高い価格設定だ。

ファーウェイ「WATCH D」もカフを使ったオシロメトリック法で血圧を測定する
正確な血圧が測定できる「オシロメトリック法」の血圧測定スマートウォッチは製造コストが高くなる。また補修部品の用意や修理対応といったアフターケア面でも一般的なスマートウォッチより手間がかかる。そのため「オシロメトリック法」の製品はメーカーとしても製品化しにくい。
そこで手軽な方法で血圧を測定できる、光学センサー方式のスマートウォッチが登場してきたのだ。
光学センサーでの血圧測定であれば、既存のスマートウォッチでも血圧推測が可能となるため、コストは大きく下がる。
とはいえ血圧測定は人の命に係わるセンシティブなものであるため、測定データには正確性が求められる。
そのためすべてのスマートウォッチが即座に血圧測定に対応できるわけではない。
Apple Watchも新製品が予告されるたびに血圧測定が噂されているが、まだ実装されていない。
それほどまでに期待されている機能でありまがら、実現のためのハードルが高いということなのだろう。
そんな中、海外ではサムスンのGalaxy Watchシリーズが一部の国で血圧測定に対応している。日本販売モデルでもハードウェア的には対応できるが、医療機器として認定されておらず血圧計としての利用はできない。
またGalaxy Watchの血圧測定でも、数時間おきにオシロメトリック法の血圧計でデータの補正が必要となる。
すなわち光学センサー式の血圧測定は、まだ一般的な血圧計とデータの整合を行いながら使う必要があるのだ。

Galaxy Watchは一部の国で血圧測定が可能だ
そのため現在のGalaxy Watchでの血圧測定機能は、自宅にも血圧計があり、外出中にも血圧を測定したい人向けの機能と言える。残念ながらGalaxy Watchだけを買って血圧を測定するというわけにはいかないようだ。
それでもGalaxy Watchは一部の国ながらメーカー公式で血圧測定が可能であることを謳い、補正が必要であることも明らかにするなど良心的だ。
インターネット上で探すと、実は血圧測定を謳うむスマートウォッチはいくつか販売されている。
だが測定した血圧データの補正についての説明が無かったり、簡素な説明ですませていたりするものもある。
スマートフォンでの血圧測定を、血圧傾向チェック程度に簡易的に使うのであればいいかもしれないが、医療機器としてより正確な血圧測定や確認をしたい用途に使うのであるならば、現時点ではメジャーメーカーの製品以外は安心できないだろう。
スマートウォッチの市場はまだまだ拡大が続くとみられているが、いま以上の性能アップは各社ともにアイディアが枯渇し、限界を迎えているとも言えるだろう。
2022年に登場したApple Watch UltraやGalaxy Watch 5 Proのように、バッテリー容量の増大は、スマートウォッチの欠点を解消する一つのトレンドとして各社も追従するかもしれない。
しかしそれ以上に、ヘルスケア関連の機能強化は、健康管理、病気の予防といって効果面からも、医療機関や保険業界なども大きく注目しており、非常に大きな市場になると見られている。
中でも血圧データは現代社会において健康を維持するために必須とも言える機能だ。
高齢化する現代社会では、心臓や脳疾患に結びつく高血圧対策として日常的な測定の定着が求められている。
2023年のスマートウォッチには、光学センサーを使った正確な血圧測定が自在に行える大手メーカー製品の登場に期待したい。
執筆 山根康宏
