玉吉 本店

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 (株)玉吉(TDB企業コード:984014492、資本金4800万円、東京都江戸川区西瑞江3-23-1、代表吉田喜永氏)は、4月27日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。

 破産管財人は村上晋太郎弁護士(東京都千代田区麹町2-4、巻之内法律事務所、電話03-5212-7411)。債権届け出期間は6月1日まで。

 当社は、1952年(昭和27年)2月に創業、60年(昭和35年)9月に法人改組された。もともとは玉子焼きで有名な京都の惣菜メーカーの東京支店から独立したもので、寿司店や弁当業者向けに玉子焼きの製造販売やいくら・のり等水産加工品の卸を手がけていた。
 製造する玉子焼きは、寿司に使用される高級志向の「本玉」、弁当などに使用される低価格の「厚玉」のほか、錦糸玉子、伊達巻きなどがあり、本格的な玉子焼きにこだわり、寿司店などの個別要望にもきめ細かく対応することで信頼関係を構築し、営業基盤を築いてきた。押し寿司などに利用されることが多い魚のすり身を使った関西風の玉子焼きや、伊達巻きを製造できる業者は都内でも少なく、取引先には関西風玉子焼きを希望する先も多く、関西をルーツとした独自の製造ノウハウを有していることが大きな強みとなっていた。2002年8月期には年売上高約12億1200万円を計上していた。

 しかし、ここ数年は大手の大量生産による廉価品の台頭や、需要先である寿司店や弁当業者、惣菜業者などは後継者難や業績不振により廃業や閉店が続き、加えて、大手スーパーなどからの値引き要請の強まりによる収益性が低下。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響で受注量が大幅に減少したことから2020年8月期の年売上高は約4億2000万円に減少、2期連続の赤字を余儀なくされていた。金融機関から返済猶予を受けるとともに、収益性改善のため、従業員の削減、配送の外注化など採算確保に努めたが奏功せず、コロナ関連融資も受けられなかったことで2021年2月に事業を停止していた。

 負債は2020年8月期末時点で約6億5200万円。