オミクロン変異株で2022年はどうなる? 外為オンライン・佐藤正和氏
実際に、個人消費の物価動向を示す11月の「PCEデフレーター」は前年比で「5.7%」上昇しており、1980年以来39年ぶりの高い伸びを示しています。FRBが最も重視する、価格変動が激しい食品とエネルギーを除いた「コア・デフレーター」も「4.7%」上昇しており、こちらも1983年以来の高水準となっています。
そういう意味でも、今後はインフレとの戦いが継続していくものと考えられます。年が明けたからといってすぐに動きがあるわけではないと思いますが、2月以降の展開次第では、これまでの「株高、ドル高」といったシナリオが不安定になってくる可能性もあります。1月はいわばその助走の期間と言っても良いかもしれません。
問題は、先進国で唯一「蚊帳の外」に置かれている日本経済ですが、実は日本の消費者物価指数も携帯電話の値下げ分を差し引いた数値では「2%」を超えてきました。11月の「企業物価指数」も前年同月比で9.0%上昇し、1980年12月以来41年ぶりの上昇となっています。相変わらず原油価格も高止まりしており、日本の物価も今後は上昇していく可能性があります。
すぐにどうこうと言うわけではありませんが、2023年以降は日本の金融政策も大きな転換を求められるかもしれません。ドル円相場も、早ければ1月中にも11月に記録した1ドル=115円52銭の高値を超えて、円安に進んでいく可能性があります。1月の各通貨の予想レンジは次の通りです。
●ドル円・・1ドル=113円−116円
●ユーロ円・・1ユーロ=127円−132円
●ユーロドル・・1ユーロ=1.1150ドル−1.1450ドル
●英国ポンド円・・1ポンド=152円−156円
●豪ドル円・・1豪ドル=81円−84円
――2022年の金融相場はどんなマーケットになるのでしょうか?
これまでもお話ししてきたように、2022年は世界的に見て「インフレとの戦い」になると思います。インフレとの戦いによって、金利が上がれば、株も売られるわけです。FRBがきちんとインフレを抑え込めるかにかかっていると言っていいでしょう。
実際のところ、今後は金利が確実に上昇していくと予想されているわけですが、金利が一直線に上昇するかというとその判断が難しいところです。場合によってはバブル化しつつある株が売られて、その大量の資金が債券市場に流れて債券が買われれば、金利は思ったように上昇しない可能性もあります。そうなれば、今度はドルが売られて円が買われる可能性が出てきます。円高局面がやってくる可能性も排除できません。
あるいは、今年同様に来年も株式市場が上昇を続けて、債券市場も金利が穏やかに上昇して米ドルが買われる・・・、という展開も当然考えられます。とは言え、ずっと続いてきた「ゴルディロックス(適温)相場」で安心していると、足をすくわれる可能性もあります。穏やかだった金融市場も、時として「魔が差す」ことがあるということです。
――2022年の為替相場で注意すべきこととは?
米国株の上昇によって、世界中の経済が牽引されてきた2021年でしたが、今後の展開は不透明です。世界を見渡してみても、今後オミクロン株を上回るような変異株が出てくる可能性もありますし、さらにはロシアとウクライナ国境の地政学リスクの高まりなども懸念されています。
これまでずっと続いてきた株式市場と金利との関係も、昔のように「金利が上昇すれば株が売られる」といった正当な「相関関係」がまた戻ってくる可能性もあります。いずれにしても、2022年も不透明なマーケットといっていいでしょう。
これまでと同じパターンだろうとは思わずに、きめ細かな投資行動を心がけたいものです。ちなみに、年末年始にしばしば見られる瞬間的な相場変動である「フラッシュクラッシュ」のリスクにも要注意です。可能性はかなり低いと思いますが、急激な円高が襲うケースもあります。ポジション管理を徹底して年明けの市場に注意しましょう。(文責:モーニングスター編集部)。
