2000年に中国で発掘されて以降死蔵状態にあったという卵の化石がほぼ完全な状態の「生まれる直前のオヴィラプトロサウルス類」を内包していると判明しました。このオヴィラプトロサウルス類は現代の鳥類がふ化直前に取る姿勢に近い状態で化石となっており、鳥類と恐竜の間に存在するミッシングリングの解析に役立つものと期待されています。

An exquisitely preserved in-ovo theropod dinosaur embryo sheds light on avian-like prehatching postures: iScience

https://www.cell.com/iscience/fulltext/S2589-0042(21)01487-5

Dinosaur embryo discovery: rare fossil suggests dinosaurs had similar pre-hatching posture to modern birds

https://theconversation.com/dinosaur-embryo-discovery-rare-fossil-suggests-dinosaurs-had-similar-pre-hatching-posture-to-modern-birds-174040

Impeccably preserved dinosaur embryo looks as if it 'died yesterday' | Live Science

https://www.livescience.com/dinosaur-embryo-fossil-egg-discovered

恐竜の胚は恐竜がどのように進化したかを理解するために重要な鍵を握っていると考えられていますが、めったに出土しない上、出土したとしても破損があるなどの問題が存在します。しかし、新たに発見されたおよそ6600〜7200万年前のものと推定されているオヴィラプトロサウルス類の胚の化石は、「ほぼ無傷」といえる状態だったとのこと。オヴィラプトロサウルス類はアジアと北アメリカに分布していたと考えられている獣脚類で、歯がない点やくちばしが短い点などが特徴とされています。

この化石の発見者となったのは、中国の石材産業大手の英良集团(YING LIANG Group)が運営する英良石自然史博物館で学芸員として働くKecheng Niu氏。この化石は2000年に購入されて以来、同博物館の倉庫の中で死蔵状態にありましたが、Niu氏が卵の割れた部分から数本の骨がのぞいていることを発見。化石を覆っていた岩石を除去し、胚の完全な骨格を明らかにしました。

この化石の学術的な重要性に気がついたという同博物館は、国際的な考古学チームを招聘(しょうへい)。この考古学チームは問題の化石を「Baby Yingliang(ベイビー英良)」と名付け、研究結果をCellやChemの姉妹誌である、生命科学・物理科学・地球科学専門誌のiScience上で発表しました。

内包されていたオヴィラプトロサウルス類の胚は、全長がおよそ27cm。卵の殻に沿う形で背中を反らせて体を折りたたんでおり、頭が足先と同じ位置に来ています。研究チームによると、この姿勢はこれまでに出土した恐竜の胚では見られなかったもので、「現代の鳥類がふ化直前にとる姿勢と近い」とのこと。

今回出土した胚に肉付けを行ったイメージムービーはこんな感じ。

Animated life reconstruction of a close-to-hatching oviraptorosaur dinosaur embryo - YouTube

鳥類における同様の姿勢をとる動きは「Tucking」と呼ばれており、中枢神経系によって制御される行為であることや、ふ化の成功確率を大きく引き上げる行為であることが知られています。鳥類はふ化に際して卵の殻をくちばしで突き破って出て行きますが、くちばしを安定させるために体を丸めて頭部を右翼の下に収めるというのがTucking。Tuckingを行っていない場合はふ化に失敗する確率が高くなるとのこと。

ニワトリは産卵から21日でふ化し、日数に応じて徐々にTuckingの姿勢を変化させるそうで、今回のオヴィラプトロサウルス類の胚がとっている姿勢は17日目に近いとのこと。

2016年にもTuckingをとるオヴィラプトロサウルス類の胚についての研究結果が報告されており、Tuckingが鳥類特有の行動とされることから、研究チームはオヴィラプトロサウルス類が現代の鳥類と同様のふ化前行動を示した可能性があると主張。現代の鳥類が恐竜から進化したという説を補強する証拠の1つになり得ると語りました。