三井住友DSアセットマネジメントの今井拓見氏と、アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの滝沢圭氏と井村真也氏に、今後のAI産業の展望と「グローバルAIファンド」の運用の見通しについて聞いた。(グラフは、「グローバルAIファンド」の設定来のパフォーマンス推移)

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 三井住友DSアセットマネジメントが設定・運用する「グローバルAIファンド」の基準価額が再び4万円の大台をクリアして設定来の最高を更新しようとしている。2021年10月末まで年初から14.04%増と、20年の年間86.90%のトータルリターンに続いて好調を維持している。20年と比較すると21年のパフォーマンスは鈍化したように見えるが、今後の見通しをどのように考えればよいのだろうか。三井住友DSアセットマネジメントの今井拓見氏と、同ファンドを実質的に運用するアリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの滝沢圭氏と井村真也氏に、今後のAI産業の展望とファンド運用の見通しについて聞いた。
 
 ――米国でテーパリング(量的金融緩和の縮小)が始まり、相場が転機を迎えているように感じられます。ファンドの運用チームは現状をどのようにみているのでしょう?

滝沢 運用チームは、現状を冷静に見ています。昨年に金融緩和やデジタル・トランスフォーメーションにより大きく上昇した株価が、今年にある程度の調整が入ったことは想定の範囲内の動きです。むしろ、急ピッチで上昇していた株価が落ち着いたことで、良い投資のチャンスが得られたと考えています。

 たとえば、当ファンドのポートフォリオの予想PERは9月末現在で約33倍です。これは、同時点で過去1年平均の約39倍や、過去3年平均の35倍よりも低い水準です。株価が緩やかな上昇にとどまる中で、好調な業績が継続していることでバリュエーションの面で魅力的な水準になっています。

今井 昨年までは、金融相場で何を買っていても株価が上がり、米国株に投資するのであれば、NASDAQ100などのインデックスに投資すれば十分に良いパフォーマンスが獲得できた状況でした。しかし、米国の金融政策が正常化に動き、金利が上昇する局面に変わると、成長を続けられる企業を選んで投資する選択眼がパフォーマンスを左右します。これからが、アクティブファンドの腕の見せ所といえると考えています。

 ――「グローバルAIファンド」が銘柄を選ぶ視点は?

滝沢 当ファンドの特徴でもあるのが、AI(人工知能)に関連する企業群をテクノロジーセクター(情報技術と通信サービス)だけに限定していないということです。たとえば、ファンド設定時(2016年9月)は、テクノロジー以外の業種への投資比率は19%でしたが、現在では32%に高まっています。AIが各業界に浸透してきたことを映して投資範囲が広がっています。

 現在の経済局面は、コロナ禍で中断された旅行や外食やエンタメなどの産業が再開に向かっています。このような経済再開企業の間でもAIを活用して業績を伸ばしている企業が多くあります。現在のポートフォリオは、GAFAM(アルファベット(グーグル)、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)といったITジャイアントをアンダーウエイトにし、中小型株式やIT以外の分野で積極的に投資機会を見つけています。

 たとえば、民泊で知られる「エアビーアンドビー(AirBnB)」は昨年10月以降に投資開始し、今年になって保有株数を増やしています。ホストのための宿泊需要と適正な価格予想やゲストのバックグラウンドチェックなどにAIを活用し、非常に良い結果が得られていることを評価しています。また、ライドシェアやフードデリバリーで有名な「ウーバー(Uber)」は、今年保有株式を利益確定のために売却したのですが、株価が下落したことで改めて購入しました。

 電気自動車の「テスラ」は、ポートフォリオの組み入れ筆頭銘柄ですが、今年7−9月期決算で予想よりも利益率が高かったことが話題になりました。運用チームがテスラの組入比率を高く維持している理由が「利益率の改善期待」でした。自動運転ソフトを自ら開発し、他のEVメーカーよりも利益率が高く、テキサスや独ベルリンの新工場も稼働すれば、ますます売上が拡大し、利益も大きく伸びると考えます。これからも業績の上振れ期待があるという見方です。