【裏ラベル日本酒】フレッシュな酸が春の味わい「司牡丹 純米しぼりたて 生酒 裏バージョン」〜第二十三夜3本目〜

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弱冠24歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入! 酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは? 第二十三夜は、ラベルの文字が反転した「裏ラベル」を特集。3本目は高知を代表する蔵が手がける裏バージョン。(photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita)

第二十三夜3本目は、春らしいピンクのラベルの限定酒「司牡丹 純米しぼりたて 生酒 裏バージョン」

高知県高岡郡の歴史ある酒蔵「司牡丹酒造」による数量限定の裏バージョン(右)。4種のお米を使い、気温が高い時に仕込んでいるため酸が強め。表となる純米酒(左)には、永田農法による高知県四万十産米を使用。左:「司牡丹 米から育てた 純米酒」1301円、右:「司牡丹 純米しぼりたて 生酒 裏バージョン」1340円(各720ml・ひいな購入時価格)/司牡丹酒造株式会社

娘・ひいな(以下、ひいな)「最後は『司牡丹』です! 今回は、表のお酒が難しくて。純米酒なことと精米歩合70%ということで選んでみました」父・徹也(以下、テツヤ)「裏に対する表のお酒がないわけだね」ひいな「そうなの。この蔵の一番有名な銘柄って何かわかる?」テツヤ「なんだろう?」

ひいな「高知県なんだけど」テツヤ「『酔鯨』?」ひいな「ブー」テツヤ「『南』?」ひいな「ブー」テツヤ「ヒント」ひいな「坂本龍馬に由来してます」テツヤ「俺、倫理・政経だったからなぁ(笑)」ひいな「歴史に弱いと(笑)。『船中八策』です!(ライター注:坂本龍馬が船中にて考えたという策に由来)」テツヤ「へぇ。初めて聞いたよ」ひいな「土佐らしいお酒で有名なの。じゃ、さっそく飲んでみようか」

表も裏も色は一緒のようだけど……!?表から乾杯〜!裏バージョンのフルーティさにぞっこん。

テツヤ「これもまた色は一緒だねぇ」ひいな「だねぇ」テツヤ「差し替えちゃったら、わかんなくなりそう(笑)」ひいな「じゃ、表から飲んでみようかな」テツヤ「まず、匂いかいでもいい? わ! ぜんぜん違うね。めっちゃフルーティ」ひいな「いい匂い」テツヤ「表はミネラル感というか、フレッシュ感というか」ひいな「うんうん」テツヤ「でも、裏の方が好みだな。このお酒は純米?」ひいな「そう。純米酒。お米にこだわった純米酒だよ」テツヤ「なるほどね。どっちから飲む?」ひいな「表からがいい気がするね」テツヤ「表からいこう」ひいな&テツヤ「乾杯〜!」テツヤ「これ、水ですか?」ひいな「うん、水だね(笑)」テツヤ「硬水みたいな。でも、なんかうま味も感じるな。おいしい」ひいな「実はね、この蔵のあるところの水は軟水なの」テツヤ「え、軟水なの? へぇ。これが軟水のお酒とは思えない」ひいな「日本一きれいな水っていわれている仁淀川水系の湧き水を使ってるんだって」テツヤ「高知って、確かに四万十川とか水が豊富な場所だもんな」ひいな「『神々に捧げるための酒造りに、この清水を用いた』と記されてるらしいよ。『司牡丹』の故郷の酒場町は、仁淀川の中流域に位置していて、周囲は山に囲まれた盆地なんだって。湧き水も豊富で、古くから酒造りの町として栄えていたとのこと」テツヤ「良さそうなところだねぇ。聞いてるだけで景色が目に浮かぶよ」ひいな「いいよねぇ」

テツヤ「きれいな川を想像しながら、今度は裏を飲もう」ひいな「あぁ、ジューシーさが違うね」テツヤ「しぼりたて感あるね。俺、『司牡丹』は表も裏も好きだな」ひいな「おいしいよね。このしぼりたての裏ラベルに合わせたもの、持ってくるね!」テツヤ「楽しみ〜」

「司牡丹 純米しぼりたて 生酒 裏バージョン」に合わせるのは、いちごたっぷり贅沢な「いちごムース」

テツヤ「お!? 冷蔵庫から出てきたぞ?」ひいな「いちごのムースです!」テツヤ「おぉ、いちごかぁ! おいしそう」ひいな「この上にお酒をたらしてもいいかもね」テツヤ「うわ、それやりたい!」ひいな「一個やってみよっか」

テツヤ「いただきます! あぁ、これはね、裏とめちゃ合うよ」ひいな「合う?」テツヤ「合う合う。これはすごい合う。お酒入れたら一気に大人のデザートに変身した」ひいな「おいしい〜!」テツヤ「表とはどうだろう?」

テツヤ「表と合わせると、すごく苦みが勝っちゃうね」ひいな「うわ、びっくりするほど苦いね」テツヤ「いちごの酸味と、裏の酸味がマッチしたのかな」ひいな「ムースのコクを流してくれる感じもいいよね」テツヤ「裏との相性がぴったりだね」

季節ごとに、その時にしか味わえないおいしさがあるのが、日本酒らしさ。

テツヤ「日本酒ってさ、2ヶ月くらいでできるんだっけ?」ひいな「うん。早かったらそれくらいかな」テツヤ「お米からつくるとなると1年がかりだもんね。俺たちの仕事と違って、1年通してやっと結果が出るんだよ」ひいな「すごい仕事だよね」テツヤ「すごくクリエイティブな仕事だよね。農業とか酒造りって。想像力が必要な仕事だと思うな」ひいな「うん。そうだよね。あと、結果がすぐに出ない怖さもあるし」テツヤ「それには、経験とセンスと想像力が必要じゃない? この麹を使って、この酵母を使って、というかけ合わせを脳内で考えて、実際に様子見ながらやるわけでしょう?」ひいな「うん。お米洗う時間とかでも変わってくるくらいだから」テツヤ「含水率が違ってくるっていうこと?」ひいな「そう。それを計算してお米を洗って、浸水して」テツヤ「その日の湿度とかもあるわけでしょう?」ひいな「そうそう」テツヤ「すごいよな。そのさじ加減で味が変わっちゃうわけだから。でもさ、自分の中の芯がしっかりしてたら、そのブレがおもしろさになるのかな?」ひいな「今回は、こんな味になったってね」テツヤ「そう。全部はコントロールできないわけじゃない? そのコントロールできないことをおもしろく思える人がやってられるのかな。だから、『2019年が最高の出来だった!』みたいなことが起こるんだもんね」ひいな「そうだね」テツヤ「その味の違いがおもしろいわけだし。いつも安定した味を提供することも大事なのかもしれないけど。日本酒の良さってさ、熟成酒もいろいろ紹介してきたけど、季節ごとに、その時々の瞬間でおいしいっていうのがいいなと思ってて」ひいな「うんうん、今しか出会えない、いろんな味を楽しみたい」テツヤ「今を楽しみたいよね。ナチュールワインの造り手も、そのタイミングで造ったものを楽しむ感じがある」ひいな「そこが似てるよね」テツヤ「だからこそ、毎年違った味ができるんだもんね」ひいな「ね。次々と出るお酒を追っかけるのが大変だけど、それが喜びでもある」テツヤ「裏ラベルも、もっと追っかけたいね」

【ひいなのつぶやき】“チャレンジタンク”ともいわれる「裏ラベル」。酒蔵渾身の1本を見つけたら味わってみるのも楽しいですよ!ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中