コーヒーには、死亡リスクや心不全のリスクを下げる効果があるとする研究結果が存在しています。新たに、コーヒー豆を極低温で粉砕することで「健康的で風味豊かなコーヒー」を作り出せることを、ロシア・スコルコボ研究所の研究チームが明らかにしました。

Skoltech | A Skoltech graduate pioneers cryogenic coffee grinding

https://www.skoltech.ru/en/2021/04/a-skoltech-graduate-pioneers-cryogenic-coffee-grinding/

今回行われた研究は、2016年に発表された「コーヒー豆をマイナス100度で粉砕すると、粒子の均一性が15〜20%向上する」という研究結果に基づいたもの。ただし、2016年の研究では粒子の大きさが測定されただけで、コーヒーの味に関連する測定はされませんでした。研究チームは「粒子が大きくなるとコーヒーが水っぽくなり、小さいと苦味が増すことが知られています。そのため、粒子の均一性がコーヒーの味に影響している可能性があります」と、今回の研究が行われた背景を語っています。

研究チームは、「室温で粉砕したコーヒー豆(左)」と「マイナス100度の低温下で粉砕したコーヒー豆(右)」を実際に準備し、両者の違いを観察しました。その結果、低温下で粉砕したコーヒーが室温で粉砕したコーヒーと比べて乾燥してサラサラとした質感になることが明らかになりました。



研究チームによると、コーヒー豆を室温で粉砕すると、コーヒーの粒子に空いている微小な穴からコーヒーの香りや栄養が含まれた「コーヒーオイル」が出ていくとのこと。コーヒーオイルは空気中の酸素と反応して揮発してしまうため、コーヒー豆を粉砕してから時間が経過すると香りや栄養が少なくなってしまいます。

これに対して、マイナス100度の低温下ではコーヒーオイルが凍結するため、香りや栄養を粒子から逃がすことなくコーヒー豆を粉砕できます。研究チームは、「コーヒー豆を低温下で粉砕すると、コーヒーの鮮度・香り・栄養を長時間維持することができます。これは、コーヒーショップで行った試飲テストでも確認されました」と述べ、低温下で粉砕したコーヒーが味と栄養の両面で優れていると主張しています。



なお、記事作成時点では、研究チームは「マイナス100度の低温下でコーヒー豆を粉砕する安価な装置」を開発するために、クラウドファンディングで資金を集めています。