埼玉西武ライオンズの本拠地西武ドームの大改修が完了し、立地と土台はそのままながらも上質なグランピング感を出してきた件。
ついにグランピング感が出てきました!
球・春・到・来!行ってまいりましたプロ野球開幕戦へ。公式戦はまだ開幕しておりませんが、開幕シリーズのチケット争奪戦に破れたため(※球団が意図的にブラックリストで僕を弾いていると睨んでいます)、心の開幕を20日にすることとしたのです。試合はオープン戦、相手はヤクルト。パ・リーグ相手ですらありません。しかし、いいのです。開幕だと決めた日が開幕です(※なお、この日の帰り道で「緊急事態宣言解除されたから開幕シリーズを追加販売するわ」という発表を知り、心の開幕を早まったことに気づきました)。
それに開幕シリーズを待っていられないような気持ちもありました。なにせ今年は待望の球場改修仕上げの年だからです。バブルの遺産だけでやりくりしていると心ないインターネットで揶揄される我が西武球団ですが、昨今は一時的な景気浮揚によって投資へと舵を切ってきました(※コロナ禍の到来により投資のターン終わり)。
入団拒否の理由にまで挙げられたボロい選手寮(何故か壁にトゲトゲがついている)や、何年も壊れた網戸を放置したままだった室内練習場(壁に木の絵を描いて森にとけ込ませる工夫アリ)、2軍用の球場や売店・球団事務所などを次々に建て替えてきた西武球団。今や敷地外を一切見ないようにすればハマスタに匹敵するオシャレ感あふれるスタジアムと言ってさえいいでしょう(※敷地外を絶対に見ないでくださいね/我が球場の周辺には中華街や馬車道はない)。
そして今年、念願の球場改修が完了するのです。こちらは建て替えではなく「リノベーション」といった内容ですが、それでもやらないよりはずっとありがたい。立地と土台という、変えようとしてもちょっとやそっとでは変えられない根本的問題以外は手をつけた。その点において球団の奮闘は大いに讃えたいところ。不治の病は治せていないけれど、それ以外の骨折とか盲腸とかは全部キレイに治してくれたお医者様でも見るような目で、僕も心からの感謝をしているところです。
↓何かゲートなんか作っちゃって、変わった感出してきましたよ!
↓い、い、色が違う!!
西武系伝統の緑を止めて、茶色で統一する気のようです!
確かに緑はイヤというほど周辺にあるので、ちょっと茶色があってもいいですね!
球場に到着するや早速僕はアレを見に行きます。2万円を払って10年間球場前広場に敷設されることになった刻印レンガです。買ったときには「寄付」のような気持ちでしたが、実際見に行くとなると案外気持ちもアガります。自分のレンガがそこにある喜びを感じながらの訪問です。
同じような気持ちのお仲間か、あるいは「こんなもん誰が買うんだ?」という好奇心か、レンガサークルにはたくさんの人が群がっています。ミレーの落穂拾いのようなポーズの人々が、時計回りにグルグル周回しているさまは、ちょっとした秘密結社の儀式のようでした。もちろん僕もその列に加わって自分のレンガを探します。
周辺からは「辻監督のレンガだ!」「東尾修さんのレンガだ!」など著名人レンガを発見した人々の報告が飛び交い、そのたびに落穂拾いがそこに集まります。スペースとしては大した広さではないものの、限定1万個(※シリアルナンバーを見ると実数は5000個くらいの模様)という触れ込みのレンガだけあって、そのなかの1個を見つけるのはなかなか大変です。
「どの位置に置いたかくらい教えてくれや…」
球団から来たメールには「16〜19列のどこか」としかヒントがありません。結局何周かして探し回り、ようやく自分のレンガを見つけたとき、「ははーん、ブラックリストだな?」とまたもピーンときました。何と僕のレンガは駅の改札から真っ直ぐこのレンガを目指してきたときに「真っ先に踏みそうな場所」に置いてあったのです。もしや球団による「全員に踏まそう」「摩耗させよう」というたくらみなのか。これは定期的に様子をチェックしてマイレンガを守らないといけないかもしれませんね!
↓みんなで落穂拾いをするレンガサークル!
↓マイレンガを見つけました!見つけたら踏まないように歩いてくださいね!
↓ちなみに、もうすでに文字が読めないレベルで摩耗している人がいたので、直してあげてほしいです!
↓買った人向けに全部のレンガを撮影しておきました!自分のレンガを探してみてください!
レンガを確認すると今度は場内エリアの改修確認へ。まずは子どもたちが遊具で遊べるというキッズフィールドへ。さすが敷地だけは余裕のある西武球団だけあって、ドーンと巨大な遊具が設置されています。まだ体験はできませんが、スライダー系やアスレチック系の遊具は子どもを放流すれば1時間くらいは勝手に遊んでいそうな感じ。「ふわふわレオ」とかの列ばかり長くなるヤツではない遊具をチョイスしたのは、なかなかいいのではないでしょうか。こういうのができると「ボールパーク」って感じがしていいですよね。
↓これは結構子どもたちが食いつきそうですね!
↓別料金ですが!
「ここで金取るのかよ」と考えてはダメですよ!
「野球しか見ないのに遊具代をチケットに含めてきた」とならないよう、遊具代は使う人だけが払う良心的システムです!
その後は新たな飲食売店などを視察。一塁側・三塁側の外周通路には銀だこ、31アイスクリーム、HUB、さぼてん、牛たん利久など著名なチェーン店が並んでいます。イトーヨーカドーのフードコートとよく似たラインナップですが、このあたりはセブンアンドアイグループの紹介などもあったりするのでしょうか。「ここでしか食べられないもの」は少ないながらも、「結果的にこういうの食べるよね」という安心感のある店が揃っています。
ついつい新店舗となると「埼玉らしくて西武らしくて特徴的な思い出になる店」というのを考えてしまいますが、それは1回か2回で満たされて「結局チェーン店」みたいなことになるもの。これまでも「巨大なフードコート」として地域住民の休日の遊び場(※野球は見ない/駅前でご飯食べるだけ)としても活用されていた球場ですが、一層フードコートらしさが出てきました。店舗自体も大きくなって、作業しやすそうで結構です!
↓立派なフードコートになりました!
↓とがった店もちょっとだけ増えました!こちら米野智人OBが出店するヴィーガン系のお店です!
↓なお、ゴミ箱が意識高くなりましたので、ゴミは意識高く捨ててくださいね!
弁当を食べたあと、どこに何を捨てればいいのか、じっくり考えてから捨ててください!
僕はよくわからなかったので持ち帰りました!
いよいよ球場内を散策すると、座席を中心にリノベーションが施されています。半個室やテラス席など家族・グループで食事をしながら楽しめるスペースがさらに増えていたり、ブルペンやベンチ前の様子を堪能できる専用席なども新設されています。全体的にイスにはチカラを入れており、新しい席は基本的にフカフカです。
そして、そのフカフカ感は今回最大の改修となったバックネット裏スペースを素晴らしい居心地にしてくれていました。黒光りするソファーとなったバックネット裏席は、座っているだけでゆったりした気分となり、身体の疲れが取れていくようです。座りやすく、背中やお尻が蒸れることもありません。試合中に「座り疲れ」を感じて身体をほぐすなんてこともなくて済む快適さ。
しかも使いやすい。テーブルとして使える平らな肘掛けや、足元に荷物を突っ込め荷物用の隙間、さらにはコンセントまでついているという気の利き具合。ノートパソコンを広げながら観戦するもよし、スマホの充電をするもよし、新幹線のグリーン席に乗っているときのような気持ちです。コロナ禍によって前後左右がいないぶんの快適さを割り引いても、「プレミアム」を冠するに足るしつらえでした。このバックネット裏なら接待で使っても許されそうです!
↓座り心地が悪いソファーから、座り心地がいいソファーになりました!
↓何かホテルのラウンジみたいなテラス席もできてる!
野球全般に関する設備も大型ビジョンがより大型でより鮮明なものになっていたり、バックネット裏にも小型のビジョンが設置されていたり、照明が明るくなっていたり、防球ネットが内野全体に広がっていたり、さまざまな方面で改修が施されています。普段からホテルと同じ基準で球場に難癖をつける僕の目で見ても、「立地と土台以外は全部直した」と太鼓判を押せる状態です。過ごしやすく、夢がある。「なんか床が汚いなー」とか「なんか薄暗いなー」とか、そういう地味な落胆が消えて(※階段は歪んでるが)、素直にまた来たいと思えるオシャレ感が球場内でも整ってきました。
こうなると虫が例年以上に飛び交っていることや、隙間風が吹いてくることも「グランピング」と思えるから不思議なものです。ホテルではなくテントでも、内装をしっかりして快適に過ごせれば、グラマラスキャンピングとして上質な体験になるように、西武ドームでも上質な体験は可能だったのです、グランピングであれば。何ならテラス席では焚き火でもできたら最高だなと思います。テラスで野球を見ながら焚き火でマシュマロを焼いて食べる…いかにもグランピングにありそうな光景ですし、やってみたい。そんな夢が自然と広がるような空間です。
どうぞみなさんも、生まれ変わった西武ドームへ足をお運びください。「あー、こんなとこまで来ちゃった」という惨めな気持ちになることはもはやない、そう断言します。むしろ、「うわー、何て快適なキャンプでしょう」というプレミアムな体験ができる、そういう場所になっています。大切なのは敷地外の散策とかをしないこと。それさえ守っていただければ、素敵な休日が過ごせるはずです!
↓さまざまな改修箇所を動画でまとめておきました!観戦の参考にどうぞ!
敷地外に出なければ初デートとかで行ってみてもいいかもしれません!
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