iOS向けのJailbreak(脱獄)ツールとして人気の「unc0ver」が、最新バージョンとなる「v6.0.0」をリリースしました。この最新バージョンはiPhone 12を含む「ほとんどすべてのiPhone」を脱獄可能で、iOS 11から記事作成時点での最新バージョンのひとつ前となるiOS 14.3までを網羅しています。

Jailbreaking app gets update to support iOS 14.3 and iPhone 12 • The Register

https://www.theregister.com/2021/03/01/jailbreaking_app_gets_update_to/

Unc0ver jailbreak tool works on most iPhones, including 12 - 9to5Mac

https://9to5mac.com/2021/03/01/unc0ver-jailbreak/

Hackers use a vulnerability present in iOS 11-14.3 to jailbreak iPhones

https://www.techspot.com/news/88778-hackers-use-vulnerability-present-ios-11-143-jailbreak.html

New Jailbreak Tool Works on Most iPhones

https://www.darkreading.com/vulnerabilities---threats/new-jailbreak-tool-works-on-most-iphones/d/d-id/1340286

How to Jailbreak iPhone 12 Running iOS 14 to iOS 14.3 Using the Unc0ver 6.0.0 Tool

https://wccftech.com/how-to/how-to-jailbreak-iphone-12-running-ios-14-to-ios-14-3-using-the-unc0ver-6-0-0-tool/

現地時間の2021年2月28日、unc0verのバージョン6.0.0がリリースされました。これはiOSで確認されている脆弱性「CVE-2021-1782」の競合状態を悪用し、昇格された特権でコードを実行できるようにすることで、脱獄を実現しています。AppleはiOS 14.4でこの脆弱性に対する修正を加えており、iOS 14.3への暗号署名を停止することで、ユーザーがOSをダウングレードできないようにしています。



そのため、iOS 14.4にアップデートしていないiPhoneのみ、unc0verのバージョン6.0.0を使った脱獄が可能です。unc0verはiPhone 11/12/12 Pro MaxなどさまざまなiPhoneでunc0verのバージョン6.0.0を検証したとしており、最新のApple端末をサポートしている脱獄ツールはunc0verのみです。

脱獄はある程度の技術的な知識と、iOSの新機能やセキュリティパッチを見逃す覚悟が必要です。また、銀行関連アプリなどの機密データを処理するアプリは、脱獄端末では実行できないケースが多くあります。なお、The Registerは「脱獄は明らかに大きなセキュリティリスクをもたらします」とし、脱獄はリスクのある行為であると警告しました。



iOS 14をサポートしている脱獄ツールは他にもありますが、iPhone 12などの最新端末をサポートしているのはunc0ver以外にありません。脱獄ツールとして名高いCheckra1nはiOS 14をサポートする初の脱獄ツールとなりましたが、iPhone 6s Plusや初代iPhone SEといった、古い端末でしか動作しません。

アメリカでは脱獄は合法ですが、イギリスではグレーゾーンに位置する行為です。Appleの基準ではiOSのソフトウェアライセンス契約に違反します。また、脱獄するとAppleの保証を受けられなくなりますが、端末を工場出荷時の状態に戻すことで、再び保証が受けられるようになるとのことです。

iOSを脱獄すると、App Storeでは配信していないアプリを入手可能となるだけでなく、ファイル管理やスクリーンショット作成に焦点を当てた「より機能的なツール」も使用できるようになります。また、OSのUIを変更することもできるため、コントロールセンターのカスタマイズ性が向上するなどの利点もあります。



なお、さっそくunc0ver v6.0.1もリリースされており、引き続きiOS 14.3までの脱獄がサポートされています。