グランエース登場後もハイエースは別車種として継続販売

 トヨタが新型の大型ミニバン「グランエース」を東京モーターショーにて初披露する(展示されるのはトヨタ車体のブース)。3列6人乗り仕様、4列8人乗り仕様が設定されるフルサイズワゴンのボディサイズは、全長5.3m・全幅1.97m・全高1.99mと国内の乗用車としては最大級といえるもの。エンジンは2.8リッターディーゼルの設定と発表されている。

 この「グランエース」、じつは海外では新型ハイエースとして販売されているクルマのワゴン仕様といえるものだ。ご存じのように海外向けのハイエースは、さまざまな安全要件や積載性のニーズに応えるべく、ノーズのついたセミキャブオーバースタイルの巨大なボディへと成長している。

 しかし、新型ハイエースであるはずのモデルに「グランエース」という別名が付けられるということは、日本ではハイエースは従来モデルを継続販売するということだ。はたして、その理由は何が考えられるのだろうか。

ハイエースは4ナンバーサイズが絶対条件となっている

 日本で販売されているハイエースには1ナンバー(普通貨物)、4ナンバー(小型貨物)、3ナンバー(普通乗用)の3タイプがある。このなかで、圧倒的に支持されている「ザ・ハイエース」といえるのは4ナンバーの小型貨物バージョンだ。4ナンバーということは乗用車でいう5ナンバーと同じサイズであるから、全長4.7m・全幅1.7m・全高2.0m以内に収まっている。このサイズであることが日本の1BOXバン市場においては基準であり、もはや規格的なものとして認識されているといっても過言ではないほどだ。

 そこには外野があれこれ言う余地はなく、現場の空気として4ナンバーボディがデファクトスタンダードとなっているという事実がある。つまり4ナンバー仕様をなくした新型ハイエースを出しても受け入れられるとは考えづらい。

 もしハイエースが4ナンバーボディをやめ、海外仕様をそのまま販売したとすれば、4ナンバー1BOXのライバルである日産キャラバンNV350にほとんどのユーザーが流れることだろう。それが容易に想像できるだけに、日本仕様のハイエースを一気に大きくするわけにはいかないのだ。

 ちなみに、ハイエースにおける4ナンバーと1ナンバーの比率は、近年の販売実績において、おおよそ6:1となっている。キャンパーのベースとして海外仕様のハイエースを求める声があるのも事実だろうが、全体のトレンドからするとわずかなものであって、4ナンバーサイズを死守することが最優先といえる。

 なお、ハイエースの3ナンバー仕様は10人乗りワゴンと、普通自動車免許で運転できるギリギリの定員で、様々な送迎用として使われている。2019年内に発売されるという「グランエース」は、その延長線にあるゴージャスな送迎車両といったニーズを満たすことはできそうだ。また、経済的なディーゼルエンジンを使っていることから多人数乗車に対応するワゴンタクシーとしても一定の支持を集めるのではないだろうか。