プレゼンで「パワポ」を使ってる人は情報弱者。 ホリエモン流“伝わるスライド”の作り方
社会人にとって欠かせないスキルのひとつが「プレゼン力」。
でも、求められる要素が多岐にわたり、世の中で“いい”と評価されているプレゼンのスタイルも千差万別。「結局、いいプレゼンってなんなの?」と頭を抱えるビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。
そんな疑問を解決できるのが、堀江貴文さんの新著『堀江貴文のゼロをイチにするすごいプレゼン』。
人一倍“ムダ”を嫌い、電話ですら「コスパが悪い」と切り捨てる堀江さんですが、プレゼンには「わざわざやる価値」を見出し、自身のオンラインサロンでも定期的にプレゼン勉強会が開催されているんだとか。
同書の中に、その答えがたっぷり詰まっていました。
スライドを見せる「目的」をはっきり持つこと
スライドで一番伝えたいことは何か?
スライドをつくるときには常にこの点を意識しよう。
初心者に限って、色や飾りをたくさんつけたり、変わったフォントを使おうとするのだが、「あれもこれもと欲張らない、盛らない」ことはとても大事だ。
文字や写真、色などがゴチャゴチャしていると、要点が伝わりにくいだけでなく、見ている側にとってはストレスになることもある。
人間の脳は、本人の意思とは関係なく、目の前に何か出されれば「これはなんだろう?」と解析しようとするからだ。
だから、複数のインプットが同時にあると脳には大きな負担がかかってしまう。
したがって、ゴチャゴチャしたスライドを繰り返し見せられると、聴衆は疲れ、その理解力は鈍っていく。つまり、集中力が切れてしまうのだ。
色は統一されているほうが、読みやすいしスタイリッシュだ。
スライドの枚数が多すぎるのもNG。そもそも、限られた時間内に全部紹介しきれない。しかも、枚数が多くなればなるほど印象に残らなくなる。
結果として、情報を大量に詰め込み、飾りをたくさん入れたスライドは、どんなに頑張ってつくったものであっても、あなたのプレゼンの「邪魔」をする可能性が高いのだ。
スライドは聴衆の心を動かすためのもの
「とにかく情報を詰め込みました!」的な、残念なスライドはすごく多い。
当然ながら、聴衆はプレゼンターの話はそっちのけで、情報を読むことに集中してしまう。
そんな退屈で無意味なプレゼンにしないためも、スライドは効果的なものにして、パッパとテンポよく見せていくべきだ。
そのときに大切なのは、スライドにこだわり何時間もかけてデザインする暇があったら、伝えたいことをもっともシンプルな形で伝え、聴衆の心を動かすためにどんな工夫ができるのかという点について知恵を絞るべきということだ。
プレゼンの主役はあくまでも中身であって、スライドは伝えるためのツールにすぎない。
読み方が難しい漢字、専門用語の補足や、言葉で伝えにくい情報を伝えるために利用するもの、ぐらいに割り切って考えるといいだろう。
プレゼンのスライドは、単なる資料ではなく、プレゼンをより素晴らしいものにするためのエフェクト(効果演出)だ。
パワポより便利なツールに注目せよ
「まだパワポなんて使ってるの?」
パワポで作成したスライドを見ると、真っ先に思ってしまう。
僕はスティーブ・ジョブズが自らのプレゼンのためにつくったといわれるプレゼンテーションソフト「キーノート(Keynote)」を強く推奨している。
「会社のPCにインストールされてない」「ウィンドウズのPCしか持っていない」など、キーノートを使っていない人の言い分はさまざまだろうが、要するに「よく知らない」という人が依然として多いのだと思う。
知らない。面倒くさい。自分の知っているやり方を変えたくない。
こんなふうに思考停止してしまう人のことを、僕は「情報弱者」と呼んでいる。
明らかに便利なツールがあるのだから、利用しない手はない。僕はジョブズを絶対視するわけではないが、「スライドをつくるのならキーノート」が断然おすすめだ。
キーノートの利点は、なんといってもデザイン性の高さ。「字間」の詰まり方一つ取っても美しい。テンプレに文字をはめこむだけできれいに見える。
また、機能がシンプルなので直感的な操作でレイアウトが簡単に行えるし、さまざまなエフェクト(視覚効果)も使いやすい。しかもパワポより安価だ。
そもそもキーノートはiPhoneとiPad、Macには標準で入っているし、Mac版はもちろん、Windows版もネットでダウンロードできる。
さらなる利点は、iCloud上で使えること。アップルIDさえ持っていれば、キーノートをわざわざPCにインストールする必要はない。
ネットにつながる環境があってiCloudにアクセスできれば、どんな端末でも使うことができるのだ。極端な話、移動中のタクシーの中でもiPhoneでスライドをつくれてしまう。
プレゼン初心者は「ゴシック体」を使うべし
スライドの文字の見やすさ、読みやすさは、デザインやレイアウトだけでなく、その書体によっても大きく左右される。
日本語の場合、代表的な書体といえば「ゴシック体」と「明朝体」だ。
ゴシック体は、縦と横の線の太さがほぼ同じ。明朝体は新聞などで採用されている書体で、縦の線に比べて横の線が細いのが特徴だ。
一般的にゴシック体は、可視性の高い(判読しやすい)書体、明朝体は可読性の高い(読みやすく、長い時間読んでも疲れにくい)書体とされている。
どちらもそれぞれ特長があるわけだが、プレゼンのスライドで重要なのは、可読性よりも可視性、判読性を重視した見やすいフォント選びだ。
そこで僕は、ゴシック体(ヒラギノ角ゴ)をおすすめする。プレゼンのスライドづくりに慣れていないのであれば、なおさらだ。
デザインのプロであれば、明朝体も効果的にレイアウトすることはできるが、文字が細いので、広い会場などではどうしてもわかりづらくなる。
遠くから見ると、明朝体の細い線がかすれて、読みにくくなるのだ。プレゼンでは短い時間で伝える必要があるので、ぱっと見て読みやすいゴシック体を選んだほうがいい。
ゴシック体(ヒラギノ角ゴ)は、iPhoneとMacのシステムフォントに採用されている書体だ。
それ以外にも神戸市の鉄道のサインシステムや、ネクスコ東日本など高速道路を運営する3社が高速道路に設置する、案内標識に採用されている。
それほど可視性・判読性が高く評価されている書体ということだ。
プレゼン初心者は、まずゴシック体でスライドをつくってみよう。
お金をケチらず、いい写真・イラストを使え
たとえば、料理のおいしさを言葉で表現するのは、食レポのプロでもなければ難しいものだ。
しかし、肉汁がしたたるステーキの写真を1枚でも見せれば、誰もが「おいしそう」と思うだろう。
言葉で伝えきれない情報を一瞬で伝えられる写真は、時間効率化のための最良のツールなのだ。
それを理解せず、ネットで拾ってきたような適当な写真を貼りつけたスライドを見ると、「カッコいい写真1枚で全然変わるのにな」と、残念な気持ちになる。
それと同時に、「プレゼンターの熱意も、その程度のものなのだろう」と思わざるを得ない。
プレゼンに限らず、僕はこれまでも「お金はコスパを考えて使おう」と繰り返し言ってきた。お金なんてただの紙切れ。うまく使い倒してその恩恵にあずかればいい。
たとえば、通勤ラッシュでの肉体的・精神的ストレスは、仕事の生産性に悪影響を及ぼすといわれている。
朝早くから満員電車に揺られて、仕事で最大限のパフォーマンスを発揮できるはずがない。家賃が高くても仕事場の近くに住み、いい仕事をして結果を出したほうがずっとコスパがいいとは思わないだろうか?
また僕は基本的に、移動にはタクシーや車を使う。誰にも邪魔されず、車内でサクサク仕事できるのですごく効率がいい。「コスパ」を考えて行動しないともったいない。
肝心なところでお金なんかケチるな、と声を大にして言いたい。スライドにはいい写真やイラストを使おう。
写真やイラストの1枚の値段なんて、プレゼンを成功させ、ゲットしたいものを手に入れられることの価値に比べたら、微々たるものだろう。
「堀江式メソッド」初公開。人生を変えるプレゼン術がここに!
数え切れないほどのプレゼンを見てきた堀江さんが、独自のメソッドをついに初公開!
『堀江貴文のゼロをイチにするすごいプレゼン』には、あなたのプレゼンスキルを飛躍的にアップさせる、堀江流のテクニックが一冊に凝縮されています。
堀江さんいわく、プレゼンとは「伝える力」。相手に想いを伝え、心を動かすためのテクニックが必要なんだとか。
大事なプレゼンを控えた人はもちろん、プレゼンに苦手意識がある人にも手にとっていただきたい一冊です。