ウェブサイトやポスターなど、何かをデザインする時に美しいフォントは必須ですが、手書きの文字はデジタルにはない独特の良さがあり、近年は注目度が増しています。デザイン性が高く美しい文字を自由自在に書けたら便利だろうなと思いつつ、実際に試してみるとなかなか難しいということで、初心者が「モダンカリグラフィー」に着手する時に気をつけるポイントがLettering Dailyで公開されています。

How To Do Modern Calligraphy (3 Popular Styles 2019) | Lettering Daily

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◆モダンカリグラフィーとは?

文字を美しく見せるカリグラフィーは中東や西欧における書道のような位置付けで、ポスターやフライヤー、看板などで人目を引くために使われることもしばしば。カリグラフィー自体は1世紀後半に起源を持つ古い技術ですが、近年は「モダンカリグラフィー」と呼ばれる新しいタイプの文字が注目を集めています。

モダンカリグラフィーの定義は明確ではありませんが、一般的には古典的なカリグラフィーよりも自由度の高いものだとされています。以下が「Copperplate」と呼ばれる古典的なカリグラフィー。特定の道具を使用して、高さと角度を厳密に測定しながら書かれます。



一方でモダンカリグラフィーはこんな感じ。古典的なカリグラフィーに比べ、文字の形や曲線に規則性があまりないように見えます。



ただし、モダンカリグラフィーは「何もかもが自由」なのではなく、基本ルールが存在するとのこと。

◆道具

古典的なカリグラフィーではつけペンが使われますが、モダンカリグラフィーはつけペンのほか、筆ペンや鉛筆、マーカー、パラレルペンなどが用いられます。完全に初心者の場合はつけペンよりも、より柔らかい筆ペンの方がオススメとのこと。

つけペンは馴染みのない人も多いかもしれませんが、ペン先と軸という2つの部分から構成されています。軸はストレートなものと、斜めの角度を保つオブリックホルダーがあり、いずれも慣れるのに時間がかかります。またメンテナンスも必要なので、扱いの点で初心者は筆ペンから始めるのがいいわけです。



by Art Lasovsky

また、HBの鉛筆やシャープペンシルでもOK。なお、カリグラフィーのガイド線を引く際にも鉛筆が必要になります。

さらに、ガイド線を引くために定規が使用されます。定規の中にはローラー付きのものもあり、実際に使用する様子は以下のムービーで見られます。

Roll N Ruler.MOV - YouTube

◆モダンカリフラフィーの書き方

一見すると自由に落書きしているだけかのように見えるモダンカリグラフィーですが、いくつかの規則があります。最も重要なのは「どの線を太くして、どの線を細くするか」ということですが、この答えは「下から上に引く線は細く、上から下に引く線は太い」というものになります。

これが上記の規則に従って書いたもの。細い線はペン先で書き、太い線はしっかりと圧をかけて筆全体で書いていきます。



完全な初心者は、まず基本的なストロークを練習することが推奨されています。さまざまな形の文字の中には共通する形状が含まれているので、その形状を練習していけば、あとは形状をくっつけるだけ。以下が基本ストローク7種類。



例えば小文字の「a」は2番目と5番目の形状をくっつけたもので、「m」は1〜3番目をくっつけたものになります。



また、カリグラフィーを上達させるには練習が必須ですが、「文字の中には共通する形状がある」ということを覚えていれば、効率的な練習が可能。覚えておくと便利な5つの小文字のグループは以下の通り。

1:真っすぐな線/i、l、t、f

2:分岐がある文字/n、m、h、b、p、k、r

3:逆方向の分岐がある文字/u、y、a、d、g、q

4:長円を含む文字/o、c、e

5:斜め線を含む文字/s、v、w、x、z



◆モダンカリグラフィーのポイント

1:一貫性

古典的なカリグラフィーのように完璧な一貫性を必要とするわけではありませんが、自由度の高いモダンカリグラフィーであっても一貫性を持たせると全体に視覚的な調和が生まれ、美しい見た目を実現できます。初心者はガイド線を無視しがちですが、ガイド線は必ず使うようにすること。

これがガイド線を引きつつ書いたモダンカリグラフィー。さまざまな部分でアレンジが入っていますが、「高さ」と「角度」は同じであるため、一貫性があり目に美しく写ります。



2:バランス

初心者が文字のバランスを理解するのはなかなか難しいことですが、練習を重ねると次第に理解することができるとのこと。

注意するべきポイントとしては、「左右のどちらかに過度な重みをつけないようにすること」だそうです。

3:間隔

文字と文字の間に適切な間隔を持たせることで、単語や文章が読みやすくなります。そして、十分な間隔を一貫性をもって維持するには、ストロークをゆっくりにする必要があります。1つ1つのストロークでペンを持ち上げ、前の文字との距離を確認することが大切です。



◆人気モダンカリグラフィーのテクニック

1:BOUNCE LETTERING

まず定規と鉛筆を使って、基準線やミーンラインといったいくつかの線を引いていきます。線と線の間の幅や傾きは自分の好みで調整してOK。



まずは鉛筆で下書きを行います。BOUNCE LETTERINGはBOUNCE(跳ねる)という言葉の通り、文字が上下に跳ねているかのような形がポイント。この形を作るために、文字の端が基準線から上下にはみ出すようにします。



下書きを終えたら筆ペンで清書。「上への線は細く、下への線は太く」をここで意識します。



2:DISTANT LETTERING

DISTANT LETTERINGは文字と文字の間にDISTANT(距離)があるカリグラフィー。より「流れている」雰囲気を出すために下線は定規ではなく手書きで書いてOK。ただし、斜めの傾きがある線は一定間隔にするため定規を使います。



下書きで気をつけるポイントは、終わりのストロークだけに勢いを持たせること。



それぞれの文字の間隔がしっかりとってあることを意識しつつ、清書を行います。完璧に清書しようと考えなくてもいいですが、ハッキリ書きすぎないようニュアンスを持たせてきます。



3:FAUX CALLIGRAPHY

FAUX(偽の)という名前がついたこのカリグラフィーは、細いペンや鉛筆で線取りし、後からカリグラフィーっぽく肉付けしていくというもの。

ガイド線の引き方は上記と同じで、まずは細いペンで文字を書き、太線にする「下から上の線」がどこかを特定します。



そして「下から上の線」に太さを追加し……



塗りつぶしていけばOKです。



モダンカリグラフィーに慣れてきたら、自分の直観に従ってオリジナルのカリグラフィーを作成できるようになるとのこと。カリグラフィーの上達に必要なのはとにかく練習で、1日10〜15分の短い練習を繰り返すことが推奨されています。