日本ハム・万波中正【写真:石川加奈子】

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ドラフト1位の吉田輝は広島相手に5回1失点でプロ初勝利を挙げる

 2018年10月25日に行われた「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」で、北海道日本ハムは支配下選手7人、育成選手1人の計8選手を指名した。ファイターズの今年のドラフトは、高校野球ファンからの注目度が高く、甲子園でも活躍を見せた選手たちを次々と指名したことでも話題となったが、そんな期待のホープたちはここまでどのようなルーキーイヤーを送っているのだろうか。

 今回は、昨年のドラフトで入団した選手たちが、今季記録している1軍と2軍での成績をそれぞれ紹介。未来のファイターズを担う若き逸材たちが、プロ1年目に見せている歩みを振り返っていきたい。

吉田輝星投手(ドラフト1位)
1軍成績:2試合 1勝1敗 8回 6奪三振 防御率6.75
2軍成績:10試合 0勝4敗 29回 25奪三振 防御率4.66

 大きな期待と共にプロ入りしたゴールデンルーキーは、その右腕で球史に新たな1ページを刻んでみせた。高卒ルーキーながら2軍では8試合に登板した時点で防御率2.35と好投し、早期の1軍入りも見えてくる状況に。昇格への“最終テスト”となった6月4日の巨人戦では3回6失点と打ち込まれたが、首脳陣からの期待は変わらず。6月12日の広島戦で、ついにプロ初登板のマウンドを踏んだ。

 甲子園での快投によって日本中の注目を集めたヒーローは、1軍の舞台でも堂々とした投球を展開。セ・リーグ3連覇中の広島打線を相手に5回1失点の快投を見せ、21世紀生まれの選手として、初めてNPBで勝利を挙げた投手となった。だが、プロ2戦目となった6月23日の中日戦では3回5失点とプロの洗礼を浴び、翌日に一軍登録を抹消されている。新たな壁に直面した若き右腕は、2軍での研鑽を経てさらに大きくなった姿を見せてくれるか。

○野村佑希選手(ドラフト2位)
1軍成績:出場なし
2軍成績:60試合 3本塁打 25打点 45安打 1盗塁 打率.208

 2017年夏の甲子園で2年生ながら花咲徳栄高校の4番を張り、全国制覇に大きく貢献した野村選手。プロでも二軍では1年目から3番や5番を任されるケースが少なくはなく、球団からの大きな期待がうかがえるところだ。とはいえ、成績面では打率.200前後といきなり大活躍とはいかず、現在はプロの球と木製バットに適応している最中といったところかもしれない。

 それでも、チームトップタイの25打点を記録してクリーンアップに必要な勝負強さを示しているあたりが大器たるゆえんか。すでに3本塁打を放って長打力の片鱗も見せており、今後さらに適応が進んでからどのような成績を残してくれるのかは見ものだ。両親が日本人ながら自身は米国生まれで、ミドルネームの「ジェームス」という愛称でも知られる野村選手。将来の主砲候補として、これからさらに多くのアーチをかけていくことができるか。

○生田目翼投手(ドラフト3位)
1軍成績:1試合 0勝0敗 2回 1奪三振 防御率18.00
2軍成績:11試合 2勝2敗 36回 24奪三振 防御率3.50

 高校生の指名が目立った中で、唯一の社会人からの入団となった生田目投手。当然ながら求められるのは即戦力としての働きだったが、自主トレ中に右ひじの張りで出遅れてしまう。復帰後は2軍で経験を積み、6月1日のオリックス戦で先発として初めて1軍のマウンドに上がった。だが、2回4失点と打ち込まれてこの大チャンスを活かせず、ほろ苦いデビューとなってしまった。

 それでも、2軍では徐々に状態を上げ、防御率も3点台半ばまで改善。大学、社会人を経てプロ入りした24歳の右腕にとって、その実力を証明するためにもここからが踏ん張りどころ。大学時代から150キロを超える快速球で注目を集めてきた生田目投手は、チーム全体に疲れがたまってくる後半戦に新たな活力をもたらすような存在となれるだろうか。

ドラフト4位万波は1年目で早くも8本塁打をマークし自慢のパワーを見せつける

万波中正選手(ドラフト4位)
1軍成績:出場なし
2軍成績:54試合 8本塁打 23打点 34安打 0盗塁 打率.210

 横浜高校では下級生時から抜群の身体能力を武器に中軸として活躍し、一時はベンチ外に落ちるほどのスランプも乗り越えてプロ入りを果たした。まだ粗削りな面は否めないが、7月19日まで1割台だった打率は徐々に向上。高校時代から定評のあったパワーはプロの舞台でも大いに発揮されており、高卒1年目からチームトップ、リーグ全体でも6位タイとなる8本塁打を記録している。

 現時点でのハイライトといえる試合の一つが、5月10日の楽天戦。2点ビハインドの10回裏、2死1,2塁という状況で打席に入ると、福山博之投手からバックスクリーンへ劇的な逆転サヨナラ3ランを放っている。まだまだ成長過程ながら、将来は走って守れる長距離砲へという期待も持てる未完の大器。今後、誰にも予想がつかないような成長曲線を描いていく可能性も十分にあるはずだ。

○柿木蓮投手(ドラフト5位)
1軍成績:出場なし
2軍成績:15試合 2勝1敗 25.2回 17奪三振 防御率9.47

 根尾昂選手(中日)、藤原恭大選手(千葉ロッテ)らと共に春夏連覇を達成し、3年夏の甲子園では後の同僚でもある吉田輝投手に投げ勝って甲子園の優勝投手にもなった柿木投手。高校野球ファンから大きな注目を集めた逸材は、現在、プロの舞台で新たな壁に直面している最中と言えそうだ。

 2軍では高卒ルーキーながら多くの登板機会を与えられ、既に2つの白星も記録。しかし、防御率は9点台と厳しいプロの洗礼を浴びている。25回2/3で21四球と制球にも課題を残しており、投手としてはまだ成長過程にあるということかもしれない。高校球界屈指の強豪校で激しい競争に勝ち抜いてきた右腕は、一足先に1軍でプロ初勝利を挙げた吉田輝投手らと切磋琢磨できる環境を、今後の成長へとつなげられるだろうか。

○田宮裕涼(たみや・ゆあ)選手(ドラフト6位)
1軍成績:出場なし
2軍成績:48試合 0本塁打 11打点 29安打 5盗塁 打率.228

 同期入団の高卒ルーキーたちは甲子園の舞台でスポットライトを浴びてきた選手たちばかりだが、田宮選手は唯一甲子園の出場経験がない。しかし、大舞台での実績はなくとも、プロの舞台では確かな存在感を発揮。守備の負担が大きい捕手を務めながら、ファームで打率.228と野村選手や万波選手を上回るアベレージを残しており、新たなステージでその対応力の高さを証明している。

 田宮選手がその才能を示しているのは打撃面だけではなく、盗塁をすでに5つ記録している点も目を引くところ。そのスピードは高校時代から高い評価を受けており、守備面でも強肩に加えて俊敏な動きが光る。「走れる捕手」となりうる、身体能力の高さは大きな魅力だ。2歳年上で同じく俊足を備える郡拓也選手との捕手争いは、近未来の2軍における楽しみな要素の一つとなることだろう。

球団史上初の育成選手として獲得した海老原は2軍で7本塁打をマーク

○福田俊投手(ドラフト7位)
1軍成績:出場なし
2軍成績:32試合 2勝2敗2セーブ 44.1回 48奪三振 防御率4.67

 2023年に新球場が開場する予定の北海道北広島市に本部を置く星槎道都大学から、地元の北海道日本ハムに入団した福田投手。身長170センチ、体重74キロとプロの投手としては小柄な体格だが、球持ちの良い左のスリークォーターから投じられるボールは独特の軌道を描く。2017年秋の明治神宮野球大会では主戦投手として母校を北海道勢初の決勝進出に導いており、プロの舞台でも躍動が期待されるところだ。

 2軍では貴重な左腕としてチーム2位となる32試合に登板しており、プロ1年目から多くの経験を積んでいる。防御率は4点台後半とまだ安定しているとは言えないが、イニング数を上回る三振を記録している高い奪三振力は持ち味の一つ。登板機会こそなかったが、5月末には一軍への昇格も果たしている。宮西尚生投手、公文克彦投手、堀瑞輝投手と左のリリーフは粒ぞろいだが、独特のフォームを持つ道産子左腕はその中に割って入れるか。

○海老原一佳選手(育成ドラフト1位)
1軍成績:出場なし
2軍成績:46試合 7本塁打 25打点 33安打 0盗塁 打率.220

 北海道日本ハム史上初の育成選手として入団した海老原選手は、ファームで持ち前のパワーを活かした豪快なバッティングをたびたび披露。打率こそ.220にとどまっているものの、7本塁打はリーグトップと4本差。プロ1年目の育成選手という立場を感じさせない見事な長打力をプロの舞台でも示し、万波選手に次ぐチーム2位の本塁打数を記録している。

 西川遥輝選手、大田泰示選手、王柏融選手、近藤健介選手といった主力がひしめく外野はかなりの激戦区だが、海老原選手が持つ長打力という武器はチームに新たな可能性をもたらしうるものだ。大学と独立リーグを経て、育成選手としてプロの門を叩いた苦労人は、支配下登録、そして一軍デビューという第一の目標に向けて、飽くなきアピールを続けている。

 見事な1軍デビューを飾った吉田輝投手、1年目から持ち前のパワーを発揮している万波選手と海老原選手は初年度から活躍を見せているが、それ以外の選手たちはいずれもプロ1年目の序盤から大活躍とはいかず。プロのレベルの高さをあらためて感じるところだが、そんな中でも打撃と足で存在感を示している田宮選手や、2軍戦で登板を重ねて持ち味を発揮している生田目投手と福田投手は、早くもその才能の一端を示していると言えそうだ。

 アマチュア時代に華々しい活躍を見せて注目された選手にとっても、あるいは甲子園未出場や独立リーグ経由という立場から這い上がってきた選手にとっても、プロの舞台での評価を分けるのは試合で残した結果が全て。それぞれの課題に直面しながら鍛錬を続ける若武者たちが、鎌ケ谷から北の大地へと羽ばたいていく日が来るのが、今から待ち遠しいところだ。(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)